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お披露目、黄金騎士

「おお、思ったよりもキラキラじゃねぇんだな。落ち着いた感じでいいんじゃね」


「これもまた味があっていいですわね」


 元春とマリィさんが値踏みするように見るのは新しく黄金の鎧を身にまとった銀騎士。

 ちなみに、この黄金の鎧はオリハルコン合金で出来ている。

 実際、マリィさんの資金力なら純正のオリハルコンで作ってもよかったのだが、トワさんやスノーリズさんから、総オリハルコンの鎧をもう一領つくるのはどうかという意見が上がり、ソニアに相談してみたところ、金の含有量が六割ほどでも、オリハルコンに負けず劣らずの強度と輝きを持つ魔法金属が作れるということで、今回はそちらを使うことになったのだ。


 ベースを金に混ぜたのは銀とアルミ。

 金を減らした分、見た目がアンティークっぽくなって、魔力の伝導率は低くなってしまったが、軽く丈夫に仕上がっているハズだ。


 さて、そんなこんなで銀騎士あらため、黄金に騎士になってしまった遠隔操作ゴーレムなんだけど。


「このゴーレムの名前は八龍、源氏八領の一つから取りました」


「八()だからスケイルメイルなのですね」


 八龍の鎧はオリハルコン合金を加工、龍鱗を模した金属片を作り、それを特殊な編み込みで伸縮性をもたせたアダマンタイトとムーングロウを合わせたワイヤーや鋲で、ヴリトラレザーの土台に縫い付け、作った鎧である。

 ゆえに、その鎧は金属製の鎧の防御力と革鎧などの動きやすさを持ち合わせており。


「ちなみに、この八龍はマリィさんの体型データに合わせて作ってありますので、マリィさんがこの八龍の鎧を装備することも、逆に八龍にマリィさんが持つ他の鎧を装備させることも出来ますよ」


 この八龍は源氏シリーズの中核であり、他の八領との互換性を持たせていたりするのだ。


「それは――」


「マジかよ。

 ちょっと待てよ――ってことは、虎助、おま、マリィちゃんのおばっ!?」


 ズドン。

 元春がなにを口にしようとしたのかは言うまでもないだろう。

 飛んできた火弾に元春が綺麗な全自動ムーンサルトを決めたところで、マリィさんが気を取り直すようにコホンと咳払い。

 ちなみにであるが、元春が言いかけたマリィさんの体型などのデータは、以前から、鎧を作る度にベル君にスキャンをしてもらって、そのデータは鎧の製作者であるソニアに渡されている為、僕は知らない。

 ただ、新しく鎧を作る度にソニアが他の鎧の調整もしたいと言い出すことから、そのデータは日々無視できないほど変化していることが伺える。


「しかし、他の鎧に付け替えられるというのはいいですわね。

 正直、いまの(わたくし)の立場では、八領の活躍の場などなかなかありませんもの」


 ですよね。

 そもそもマリィさんが戦うとなると、基本的にここアヴァロン=エラでとなる。

 しかし、くつろいでくるところに来襲してくる魔獣相手に、わざわざ鎧を換装するのは時間はもったいない。

 というか、そんな時間があったのなら、僕やエレイン君が片付けてしまうだろう。

 だから、特に源氏八領として作った鎧達の活躍の機会はほとんどなく。

 マリィさんも装備作りはあくまでその半分以上が趣味のようなものだから、無理やり活躍の機会を作るのは本位ではないのだろう。


「それでどうしましょう。とりあえず一通りの動作実験は済ませているんですけど、マリィさんも試運転したいですよね」


「そうですわね。手頃なディストピアで試してみましょうか」


「ええと、それなんですけど、八龍はゴーレムだからディストピアは使えませんから」


「そういえばそうでしたわね。ならばティル・ナ・ノーグでお願いしますの」


 ティル・ナ・ノーグ――、

 それはディストピアをダウングレードしたような魔導器で、バリアブルシステムのデータを引用し、立体映像のような敵とダメージを競い合うバトルシュミレーション。


 そんなティル・ナ・ノーグを使い、八龍操るマリィさんがそのテストとして戦うのは、岩塩でできた小巨人ソルトロックゴーレム。

 正直、試運転の相手としては過剰な相手ではあると思うのだが、これから八龍が赴くことになる魔鏡の向こうの世界には、多くのゴーレムが出現する迷宮もあるということで、このソルトロックゴーレムが相手として選ばれたのだが、その迷宮のデータを知る僕としては、正直、ソルトロックゴーレムは過剰過ぎる相手だと思う。


 しかし、マリィさんはそんなデータなど知らないと言わんばかりに、楽しそうに八龍を操作する準備をいそいそと進め。


 うん。こうなってしまったマリィさんはもう止められないかな。

 ということで、


「マリィさん。準備はよろしいですか」


「構いませんわ。やってくださいまし」


 僕の確認に、頭半分をすっぽり覆うような立体映像のゴーグルを付けたマリィさんが答えてくれる。

 これは、八龍の製造に合わせてソニアが新しく設計したヴァーチャルモニター。

 幻覚系の魔法を利用することによって、仕様者の脳に直接映像を送り届ける仕組みになっているそうだ。

 そして、コントローラーをパワーグローブのような直接式にすることによって、より細かい操作が可能となっており。

 ただ、以前の魔法球式コントロール方式も残してあるため、万が一、グローブが手持ちになかったとしても、登録された魔法窓(ウィンドウ)とマスターであるマリィさんの許可さえあれば動かせるようになっている。


 と、準備万端なマリィさん操る八龍の目の前に、タップ一つで現れる巨大な結晶体のゴーレム。

 そして、カウントダウンがあってゲームスタート。

 開幕と同時に放たれるレーザーの嵐。


「相変わらず派手な攻撃だな」


「前に戦った時のデータを元にしてるからね」


 データの元となったソルトロックゴーレムは、このアヴァロン=エラに迷い込んできた時からこの状態だった。

 なので、こうして出頭から光線を全方位に放つのは仕様であり。


「あん時はゲートの結界とアクアちゃんのコンボでやったけど、マリィちゃんの場合、どうすんだ」


「見ていればわかるよ」


 ソルトロックゴーレムはそのボディが岩塩で出来ている為、水属性の攻撃に滅法弱い。

 ただ、マリィさんは水の属性が得意ではなく、ゆえに八龍も水に関する攻撃手段は持っておらず。

 元春の言う通り、ソルトロックゴーレムの光線に対応できる力はないように思える。


 ならば、八龍はどうやってソルトロックゴーレムの光線乱舞に対応するのかと言えば、

 八龍操るマリィさんは、持っていた盾を前にしっかりと構えて、その体勢のまま突貫。

 ソルトロックゴーレムから放たれる光線をその盾で受け止める。

 すると――、


「吸収?」


「全部が全部受け止められるんじゃないんだけど、合成したカドゥケウスの血の力だね」


 その盾を形成するオリハルコン合金の触媒として使われるカドゥケウス。

 そのカドゥケウスと戦っている最中には気づかなかったけど、後でソニアにその素材を調べてもらったところ、カドゥケウスは魔素を吸収する力を持っていたそうだ。

 まあ、その効果は、戦闘中に僕が気付かなかったように、本当に微々たる効果だったそうだが、あの盾はそんなカドゥケウスの特性を強調した作りになっていて、ある程度、魔力を利用した攻撃を吸収できるようになっている。

 だから、ソルトロックゴーレムのレーザー攻撃の威力をかなり抑えることができるわけで、

 さらに、八龍本来の馬力もあって、ソルトロックゴーレムから放たれる光線を、吸収、弾きながらも、その懐に潜り込み。

 振るった剣が大爆発を巻き起こし、ソルトロックゴーレムの体に大きなヒビを入れる。


「おお、爆発剣」


「コールブラストだね」


 それは以前、マリィさんがエクスカリバーに模して作った爆発の魔法剣。

 そして、近付いてしまえばこっちのものと連撃を加えていくマリィさん。

 しかし、ここでソルトロックゴーレムが反撃に打って出る。

 全方位に展開する光線をそのままに、ソルトロックゴーレムが懐に潜り込んできた八龍に巨石といっても差し支えないサイズの結晶体の拳を力任せに振り下ろしたのだ。

 だが――、


「と、少々油断しましたか」


 マリィさんはこの攻撃に素早く反応。

 以前、フレアさんがそうしたように、コールブラストが発生させた爆風を利用することで、間一髪ソルトロックゴーレムの懐から逃れることに成功する。


 ちなみに、ソルトロックゴーレムそのものによる接近戦のデータは無い。

 ただ、同じゴーレムということで、モルドレッドのデータをそのまま流用させてもらうことによって、接近戦のフォローをしている。

 なので、これに関してはサイズの違いから、若干そのサイズのゴーレムよりも緩慢な動きになっているのかもしれない。


 と、マリィさんも僕と同じ印象を受けたのか、冷静にソルトロックゴーレムの動きを確認して、

 相手の動きさえ把握してしまえば後は簡単と、その拙い拳による攻撃を躱し、斬撃を入れて爆発、斬撃を入れて爆発を繰り返し、その体を慎重かつ的確に削っていって数分――、

 ソルトロックゴーレムは四肢を砕かれ、その場から動けなくなり、そのコアを貫かれたところで光粒となって爆散。


「ふぅ、勝利ですの」


 ソルトロックゴーレムの幻影が消えると同時に、顔半分を覆っていたヘッドギアを霧散させ、すっきりと満足そうな笑顔を浮かべるマリィさん。


「それでどうでした。八龍の操作感は?」


「このグローブですか、これのおかげで、以前つかわせていただいた時よりも、相当動かしやすくなっていますわね」


 八龍の製作と並行して作った新しい操作法、そして直感的な操作以外にも、緊急時にタップ一つで特定の行動を取るなど、銀騎士もとい八龍の操作は随分とやりやすくなった。


「ただ、戦いの方は少し突っ込み過ぎだったかもしれませんね。ダメージの方はギリギリでしたから」


 そう言って、解除してマリィさんの手元に浮かんだ魔法窓(ウィンドウ)を指差すと、そこに表示される仮想上の八龍のダメージだ。


「あら、攻撃はほぼ防御していたと思っていたのですが」


「それだけソルトロックゴーレムの攻撃力が高いということなんですけどね。ティル・ナ・ノーグを使った戦闘なら問題はないんですけど、本番の時は気をつけて下さい」


「わかりましたの。ということで、もう一戦お願いでしますか」


「了解です」

◆今回登場したゴーレム。


八龍……銀騎士を改造して作られたナイトタイプの遠隔操作ゴーレム。基本装備はオリハルコン合金で作られた鎧『八龍』。これにはオーソドックスな剣と盾が付随しており、魔素の吸収効果を持っている為、その効果によって八龍はKE11(銀騎士プロトタイプ)や銀騎士よりも運用可能時間が大幅に伸びている。


◆次回は水曜日に投稿予定です。

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