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類は友を呼ぶ?

◆今回は短いお話+おまけ付きという構成になっております。

 予想通りエルマさんは【G】の影響下になかった。

 ということで、エルマさん featuring 男子高校生共をフォレストワイバーンのディストピアに送り出し、僕はマリィさんと一緒に万屋に戻ってきていた。

 施設のエレイン君にも『よろしく』と言っておいたから、なにか問題があったら連絡してくれるだろうと僕は店番を再開、マリィさんが魔王様がゲームを楽しむ和室に腰を落ち着けたところでふと呟くように言うのは、


「しかし、あの四人で大丈夫でしょうか、ちょっと心配ですわね」


「どうなんでしょう。装備をもたせたから意外といけるんじゃないかと思うんですが」


 元春達との合流後、エルマさんには万屋謹製の装備を幾つか渡しておいた。

 それら装備による強化と素の実力があれば、少なくとも元春達の足を引っ張ることはない、いや、むしろ足を引っ張るのは元春たち三人なのではないかと、心配そうにするマリィさんに僕はそう答えるのだが、マリィさんが心配しているのはそういうことではないようで、


「いえ、(わたくし)が心配しているのはそういうことではありませんの。一種の閉鎖空間であるディストピアの中に、元春達と彼女を一緒に放り込んで大丈夫なのかということですの」


 ああ、そういう心配ですか。


「でも、さすがにディストピア内で不埒なマネはできないと思いますよ」


 ディストピアの中ではちょっとの油断が死に繋がる。

 いくら元春でもディストピアの中では迂闊な行動は取らないだろう。


「それに元春が直接的な行動に出ることはありえませんから、

 考えても見て下さい。言動こそアレですが、元春が直接マリィさんになにかしたなんてことがありましたか?」


「たしかに、言われてみますと、いやらしいことを言ったり、覗き見などをしようとしますが、元春が直接なにかをしてきたことはありませんわね」


 そう、元春は『イエス○○、ノータッチ』と、どこかで聞いたようなキャッチコピーのようなことをなんとなく(・・・・・)守る、ある意味で紳士(・・)な男なのだ。

 まあ、それでも、ラッキースケベとか、偶然による状況は、甘んじて楽しんでいくというスタイルではあるのだが、自分から強引に――、特に気の弱い女子の性格につけ込んで触り(セクハラ)にいくような卑怯極まりない根性は少なくとも持ち合わせていないのだ。

 それに、もしそんなことをしていた場合、義姉さんに母さん、そして千代さんなんかに半殺しにされるだろうから。


「それに男三人と言いましても、元春の他は正則君と次郎君ですからね。あの三人はいっけん危なそうに見えますが、直接的な危険という意味ではほぼ皆無ですから」


 体育会系の天然キャラの正則君に偶像崇拝(アイドルマニア)の次郎君、セクハラ的な言動や天然のしでかし、ムッツリとした視線は免れ得ないが、それ以外は意外と安全だというのがこの三人なのだ。

 だからこそ、(主に元春がであるが――)学校でいろいろとやらかしていながらも、最終的には許されるという、ある意味でお得なポジションに収まっているのだ。


「しかし、改めて思いますが虎助の世界の住人は本当に変わった方ばかりですわね」


「ああ、それはですね。僕の国に『類は友を呼ぶ』という言葉がありまして、元春の周りにちょっと変わった友達が多いんですよ」


「ですが、その理屈だと虎助もその『類』に入ってしまうのではありませんの」


 おっと、ブーメランが飛んできたぞ。

 しかし、これに関してはちゃんとした言い訳が存在している。


「いや、そういった類いの友人は元春とか義姉さんの担当ですから、さすがに『類』には及ばないかと」


 そもそも僕と義姉さんと出会ったのが、僕の母さんと義姉さんのお母さんである寧々さんが友人だったのがきっかけで、そして、小学校に入る前、当時まだ義理の姉でなかった義姉さんと一緒に近所の公園で遊んでいた時に、義姉さんが『面白い子分が出来た』と言ってどこからか連れてきたのが、幼いながらに中二病の片鱗を覗かせていた元春だったのだ。

 つまり、僕の周りに変な人が多いのは、元春の所為であり、義姉さんの所為であり、そして母さんの所為なのだ。決して僕が元春達と同じように括りに入っていたり、魔法特性が〈誘引〉だからとか、そういったこととは全く関係ないのである。


「それに、僕がメインになって友達になった人はみんな普通の人ですから」


「そうなんですの?」


「ですね」


 ただ、そんな彼らも、僕達と――というよりも、義姉さんやら、元春やら、母さんからと付き合う内に、多少エキセントリックな面が出てきたり、妙に好戦的になったりと、困った性格を発症してしまったりもしているのだが、基本的には僕と同じで常識人に当て嵌まっていると思う。


「しかし、虎助の話を聞いたのは初めてかもしれませんね」


「……ん」


「そうですか、僕としてはいろいろと話しているつもりでしたけど」


 一緒にご飯を食べる時とか、ときどき学校での話題も出していたと思っていたけど。

 たしかに、お二人に話すような内容となると、元春由来の話題が多かった気もする。


「でしたら、今度、向こうの様子を録画してきてお二人にお見せしましょうか?」


「それはいいアイデアですわね」


「……ん、楽しみ」



◆おまけ・一方、その頃の彼等――◆



「お、お待たせしました」


「おお、かっこいいっすねその服」


「そうですか。エヘヘ」


「――っ!! エヘヘだと!? おいおい、可愛すぎかよ」


「くっ、悔しいですが、今のは悪くはありませんね」


「あの、お二人ともどうしちゃったんですか」


「ああ、気にしないでくださいっす。ちょっと頭が病気なんすよこの二人」


「正則君、君にそれを言われたくないのですが」


「あ゛あん?」


「で、でも、こんな高価な装備いただいちゃって本当に良かったんでしょうか。私には分不相応というかなんというか」


「いいんじゃないっすか。俺等もこの鎧、タダでもらったようなもんですし」


「それをタダでですか!? あ、あの、私の見間違えじゃなければ、酒井さんの鎧はミスリルの鎧のように見えるのですが」


「そうみたいですね」


「そうみたいですねって――」


「なんでも、この鎧もそうっすけど、万屋で売ってるほとんどのものは虎助んとこで自作してるみたいっすから安いらしいっすよ」


「自作って、ミスリルの鎧をですか。

 ま、まあ、素材に関してはマオさんでしたか、ハーフエルフの彼女がいるということで分からないでもないんですけど、それでもこれは――、

 ……いったい何者なんですか間宮さんって?」


「ええと、学生で雇われ店長で忍者?」


「ん、忍者ってどういうこった?」


「そういやお前らは知らなかったんだよな。実はちょっと前にイズナさんが言ってたんだけどよ。虎助の家って、実は忍者の家系みたいでな」


「……忍者ですか。只者ではないと思っていましたが、ある意味で納得ですね」


「ま、イズナさんならなんでもありだな」


「あの、その方、本当に何者なんですか?」

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