●幕間・スノーリズ、異世界の癒やしを体験する
◆今回はマリィ母親ことユリス付きのメイド・スノーリズ視点のお話です。
それはそろそろ雪解けも間近というある晴れた日のこと、
ガルダシア城と名を改めた元名も忘れられた古城の無駄に広い中庭に数人のメイドが集まっており、そんな集団を目にした私が中庭に赴き、その中心にいたトワにこの集まりはなんなのかを訊ねると、
どうも彼女達はお風呂作りをするとのことで、それならば他に、足りない備品やこれから来るだろうお客様に備えて調度品を揃えるべきではないか。
私がそう言ったところ、トワによると、そちらの方は既に手配済みとのことで、そもそも、このお風呂作りは、我々ユリス様付きのメイドがここにやってくるよりも前から計画されていたものとのことだ教えられます。
そして、この時期、もう雪もふらないだろうと、マリィ様の魔法によって中庭の雪を溶かし、地面も完全に乾いたということで、今日ようやく建設に入ったそうで、そんな話をしたのが今朝のことだったのですが――、
夕方、場内での仕事を終えた私がトワを呼びに行ったところ、そこには既に大きな丸太小屋が建っていました。
そんな丸太小屋に私が小屋の中にいたトワに詰め寄ると。
「トワ、これはなんなのです。お風呂を設置するのではなかったのですか?」
「ええ、だから浴場ですよ。水場というものは建物を傷めるそうですから、中庭に別途建造したのです」
確かに水を大量に使う施設というのは他の建物よりも劣化が早いといいますが――、
「こんな立派なものを作るなら城の補修など他にすることがるのでは?」
「ああ、城の補修なら既に行っていますよ。いまは錬金術を使い魔鉄鋼製の鉄棒を埋め込む作業を終え、外装を綺麗にするべく魔法式を付与したタイルシートを虎助様に作ってもらっているところです」
成程、そういえば無骨な鉄の骨組みが見えている箇所が幾つかありましたね。
前々から、あれは何かと気になっていましたけれどそういうことでしたか。
しかし、魔法金属製の骨組みとか、本国の貴族たちが聞いたら目玉が飛び出てしまうような話ですね。
私は言葉を心の中で呟きながらも、他にしなければならない補修を差し置いて作っているのではないなら仕方がありません。
「しかし、この小屋の中は温かいですね」
雪がふらなくなって久しいとはいえ、日が沈めばまだまだ寒いこの季節、室内とはいえ、ここまで温かいとはどういうことなのか、小屋の説明を聞いて落ち着き、改めて気付いた部屋の内部の状況にそんな戸惑いの声をこぼしたところ。
「この建物には、温室と同じく〈温暖化〉の魔法が付与されていますから、因みにこの仕組みは今後、城の各所に取り入れられる予定です」
「至れり尽くせりですね」
「ふふっ、この程度で驚いていては気が休まりませんよ」
この丸太小屋に張り巡らされる魔法式の概要からの鼻で笑うような反応、そんなトワの反応に促されるように向かった先は浴室でした。
そこには広い浴室の半分を埋めるように大きな浴槽が設置されていて、
「これは?」
「当初、お二人専用のお風呂を別に作ろうという意見もあったのですが、姫様がどうせならば皆で使える広いお風呂を作りましょうということでこのような形になりました」
「まったくあの方は――」
元王族が我々メイドと同じお風呂に入る。それが体を洗う補助としての役割なら、まだ分からないのでもないのですが、それを同じ城に暮らすものとして同等に受け入れるなどとは、ユリス様に似てしまったのでしょうね。本当にマリィ様には呆れさせられてしまいます。
そして、トワが鼻で笑うようにしたその本命――、
なんでも、このお風呂は魔石やドロップといったエネルギー源になるものを利用することで、自動でお湯を張ることができる魔導器がついているのだそうです。
通常ならば、水魔法の使い手と火魔法の使い手、二人の魔法使いでやるべき作業が、ただ魔導器を発動させるだけでいいだなんて、本当にどうなっているのでしょう。
私は明らかにお風呂に使うべきではない魔動機の説明に、軽く頭痛をおぼえながらも、いったん脱衣場に戻ります。
そして、改めて脱衣場の中を見回して――、
「しかし、浴室も浴室ですが、ここにもよくわからないものが多く設置されていますね」
「この浴場は姫様の要望で虎助様の世界の浴場を参考に作られていますから、我々では理解しがたいものも幾つもあるのは当然です」
大きな姿見や作り付けの棚など、用途がハッキリしているものは幾つかあるのですが、それ以外には、どう使ったらいいものやらと首を傾げてしまうものばかりです。
中でも、特に目につくのは、休憩所のような場所にドンと置かれた大きなテーブルのようなもの。
テーブルの中央になにやら仕切りのような小さな網がかけられていて、椅子もなく、側にいろいろと道具のようなものが置いてあるのですが、「あれはなんなのでしょう」トワに聞いてみると。
「あれは卓球という遊戯を楽しむ為の道具です」
「卓球、ですか?」
「ええ、虎助様の世界では国同士で競技会が行われるほどの遊戯だそうです。
私達の国でいうところのテキテスのようなものでしょうか。
虎助様の国ではこのような形態の浴場に必ずといっていいほど設置されているものだそうですよ。やってみますか?」
「そうですね」
虎助様のオススメとあらば、ユリス様とマリィ様も興味を持たれるでしょう。
ならば、お二方が実際に楽しむ前に、我々が安全確認しなければ、
ということで、私はトワと実際に試してみることにするのですが……、
「思ったよりも簡単なものですね」
小さな陣地、小さな板、小さなボールを打ち合うというその仕様に最初は戸惑ったのですが、たしかにこれはテキテスと同じような遊戯です。
テキテスが円形の陣地で魔球を落とさないように打ち合うのに対し、こちらは少し複雑な決まりがあるようですが、力加減さえ憶えてしまえば問題ありません。
「さすですねスノーリズ。では、少々スピードを上げますよ」
ですが、トワがそう言った次の返球から徐々に玉を打ち返す速度が上がっていきます。
そして、狙いすましたようなタイミングで振り抜かれるラケット。
単純に球速が増しただけ、これならばまだ対応できる。
そう思って打ち返そうとしたのですが――、
手元で玉が伸びるですって!?
結果、空振りに終わった私を見て、トワは少し自慢げに転がり戻ってきたピンポン玉を拾い上げると、それを道具箱に片付けながら。
「いまのはドライブと呼ばれる技だそうです。玉を擦り上げるように打つことによって強力な縦回転をかける技です」
そして――、
「さて、他のものの説明にまいりましょうか」
次の説明に移ろうするトワ。
しかし、私はその手を撮って。
「まだ勝負はついていませんよ。ルールによると先に11点取った方が価値だったハズです」
そう、今の1点はただの始まりでしかありません。この卓球という遊戯を試すというのなら最後までやるのが筋ではないでしょうか。
別に負けたからといってどうということではないのですが、これをこれから楽しむかもしれないマリィ様とユリス様の為に最後まで体験してみるべきなのです。
そんな私の主張にトワはフッと笑い、「しょうがありませんね」と勝負を再開させるのですが、戦況は芳しくありません。
カットサーブにバックフリック。トワは私の知らない技術でもって私を追い詰めてきます。
「くっ――、トワ、あなた、この競技を相当やりこんでいますね」
「そうでもありませんよ。姫様が使う浴場に置く以上、卓球がどのようなものなのか、お二人に説明する必要がありましたからね。少々虎助様にご教授いただいただけのことです」
冷静にそう答えていますが口元が緩んでいますよトワ。
おそらくトワは私がこれに興味を持つと予想して、虎助様に訓練を頼んだのでしょう。
前に男性とのお付き合がないことをからかったことへの仕返しでしょうか。
まったく、本当に負けず嫌いな妹です。
しかし、姉として、同じくメイド達をまとめる立場の者として、負けっぱなしは許されませんねと、意気込んでみるのですが、やはり基本的な技術の差はいかんともしがたいものがありますね。
トワに撃ち勝つには、私も虎助様の訓練を受ける必要がありそうですね。
そういうことなら仕方がありません。今はあまんじてこの敗北を受け入れておきましょう。
「他に気になるものはありますか」
「そうですね。あそこに並べられている珍妙な魔導器はなんでしょう」
結果、善戦むなしく勝つことができなかった私は、ご機嫌なトワの声掛けに改めて脱衣場の中を見回して、
それは化粧台のようなものでしょうか、ここにあるということは戦闘に関わるものではないでしょうが、逆に何に使うものなのか気になると訊ねたところ。
「あれは美顔器ですね。肌の調子などを整えることができる魔導器です」
「ふむ、表舞台に立てないとはいえマリィ様とユリス様の美貌を保つのは重要です。その為に用意したものですね」
「いえ、あれらは私共の私物です」
は? なにを言い出すのですかこの子は?
私は自分の耳を疑いながらも詳しく聞き直してみます。
すると、これは一部のメイド達でお金を出し合って虎助様の世界の道具を購入し、それを魔力で動くように改造してもらっているのだそうで、マリィ様はマリィ様で幾つかこういう魔導器を持っているとのことです。
しかし、まだうら若いマリィ様はあまりこういうものに頼る必要は無く、だからこそと言いますか、トワを始めとした年長のメイド達がみんなで協力して買っていると。
本当に何をやっているのですかアナタ達は――、そう叱責したくなるような話なのですが、話を聞くに、この美顔器なるものは、あの万屋のオーナー様によって魔法的にも強化されたものだそうで、その効果は絶大なものなようです。
成程、それならばトワ達がここまで前のめりになるのも当然なのかもしれませんね。
なにせ、かの万屋のオーナーといえば、アヴァロン=エラをアヴァロン=エラたらしめるゲートを始め、各種聖剣、恐るべき性能を秘めるエレインというゴーレム達の製作者でもあるのです。
これはユリス様にもご報告をしなければならないでしょうね。
そう、これはあくまでユリス様の美貌を保つ為に必要なことなのです。
別に私が使いたいのではありませんよ。
そんなことを心の中で呟きながらも視線を落とすと、そこには小さな台によくわからない持ち手のような物がついた魔導器らしきものが置かれていました。
「トワ、これは何なのです?」
形状からして上に乗って使うもののようですが、これもまた美容に関する魔導器なのでしょうか?
私が聞くとトワが苦々しい顔を浮かべて、
「それは悪魔の魔導器です」
「悪魔の魔導器?」
なぜそんな物を設置しているのか、私がやや強い口調で問い返すと、
トワから、これは自分の重さと体脂肪――、つまり自らの体がどれだけ緩んでしまっているのかを計測する装置のようなものだという説明がありました。
虎助様の世界の人々は、日々この魔導器に乗って自分の体作りに気遣っているとのことです。
確かにそれは悪魔の魔導器ですね。
「乗ってみますか?」
「いえ、いまは止めておきましょう」
私は普段から節制しているので特に問題はないと思うのですが、ここには他のメイド達の目があります。彼女達の前で下手な結果を出すわけにはいきませんから、後でこっそり試してみることにしましょうと珍しく笑顔を浮かべるトワに、私が本日何度目かになる睨みを効かせていたところ、どこからか軽快な音楽が聞こえてきます。
どうやらお風呂の準備が完了したみたいです。
「では入ってみましょうか」
「そうですね」
魔導器を使い自動で張ったお湯が熱くなりすぎていないか、なにか余計な変化をしていないだろうか、そんなことを確かめるべく、私とトワは服を脱いで、実際にオフロに入ってみることにするのですが――、
「えっ」
浴室に入るやいなや広がる木の香りに思わず声が出てしまいます。
わざわざ全て木造で作ったのはこれを狙ったものでもあったのですね。
私が目を瞑ってその香りを楽しんでいると。
「スノーリズ。湯船に入る前にこちらで体を――」
トワに誘導された先にあったのはシャワーなるお湯が吹き出す魔導器でした。
どうやら、ここで体を清め浴槽を汚さないようにするみたいです。
マリィ様とユリス様に入ってもらうとすれば、新しくお湯を張り替えることになるでしょうが、皆が使うお風呂です。入る前に体を綺麗にするのは当然ですね。
と、さっそく体を洗おうとするのですが、トワがなにやら見慣れない容器を持っています。
「トワのボディソープは違う種類なんですね」
「ええ、姫様やルクス、ウルと私とでは肌の状態が少々違うようですから」
なんでもトワのそれは自分の肌質・髪質に合わせたもののようで、わざわざ虎助様に注文して買ってきてもらっているこれをトワは常用しているみたいです。
これは後で詳しく聞かなければならないことが増えましたね。
まあ、今回はお試しでということでトワのものを使わせてもらいましょうか。
私はトワの方のボディソープをプッシュ。その液を手に取るのですが。
「リズこれを使って下さい」
いざそのボディソープを使って体を洗おうとしたところ、トワから一つの魔法式が表示された魔法窓が飛ばされてきます。
「これは?」
「キメ細かな泡を作り出す魔法です」
ええと――、
「なんといいましたかトワ?」
「だから、キメ細かな泡を作り出す魔法です。私が作りました」
聞き間違いと思いましたが、そうではありませんでした。
しかも、トワが自ら作った魔法だそうです。
「どうしてそんな魔法を――」
「知っていますかリズ。肌というものは存外弱いもので、布などでゴシゴシと洗ってはいけないのだそうです」
なんでも、強く体を洗うことにより、肌が乾燥しやすくなったり、体臭が強くなってしまうことがあるそうです。
しかし、そんなことの為だけに魔法を創作するだなんて、アナタともあろう人が、なにを無駄な時間を過ごしているのですか?
他にない魔法を作るということは、恐ろしく膨大な時間がかかるものです、そのことからトワを問い詰めようとするのですが、トワはあっけらかんとこう言うのです。
「そういえばリズは知りませんでしたか?」
「なにをです?」
「万屋にあるパソコンという機械、あれを使えば簡単な魔法なら、誰にでもオリジナルの魔法を作れるのですよ」
つまり、トワはそのパソコンとやらを利用して独自の魔法を作り出したと――、
しかも、仕事の合間を縫うように一日二日で――、
……宮廷魔道士達が聞いたら怒り狂いそうな話ですね。
しかし、それくらいに簡単に作成できるのですか。
ならば私に言うことはありませんね。
なによりも、この泡は気持ちいいものです。
と、そんな説明でちょっとした誤解も解決。私達は体や髪の洗った私達は体を流し、湯船へ向かいます。
そして、おそらく人生で始めてでしょう。広々とした木で作られた湯船の中に体を沈めます。
すると――、
「「あ゛あ――」」
じんわりと体に広がる温かさに、つい、おかしな声がこぼれてしまいました。
ですが、それはトワも私と同じようです。私よりも情けない声を出し、人には見せられないような姿を晒しています。
「これはいいものですね」
「本当に……、お城の方でもこの幸せが味わえるとは、是非にと姫様に進言した甲斐がありました」
「お城の方でもとはどういうことです?」
「アヴァロン=エラにもこれと同じようなお風呂があるのです。ただ、タイミングによっては他のお客様がいてゆっくり使えないのですよ」
トワもどうして虎助様がそこまでするのか、最初は理解できなかったそうですが、確かにこれは実際に味わってみなければ実感が持てないでしょうね。
私はこのとろけるようなお風呂の効果にトワの言葉を納得しながらも、今日はあまりゆっくり浸かっている余裕はありません。
もう二時間ほどもすればユリス様とマリィ様がアヴァロン=エラから戻ってくるのです。それまでにお湯を張り替えなければならないのですから。
残念ですが、ゆっくりするのはお二方が入った後ですね。
私は名残惜しいという気持ちを抑えてお風呂から上がると、体を拭きます。
そして、そろそろ職務に戻るとしましょうかとメイド服を着ようとするのですが、
そこへ下着姿のトワが何やら瓶に入った薄黄色の液体を持ってきて、
「お風呂から上がった後すぐに水分を取るのが重要なのだそうです。今回は虎助様の国の作法に習ってフルーツ牛乳を選んでみました。腰に手を当て一気にどうぞ」
どうしてお風呂に冷温庫があるのかと思っていましたが、この為でしたか。
しかし、お風呂上がってすぐに冷たい飲み物ですか。
少々はしたない気もするのですが、それが作法というのなら仕方がありません。
私達は適度に冷えた牛乳を豪快に飲み干して、
「「プハ――」」
脱衣場で最後の仕上げをしていたメイド達が驚いてこちらを見ますが、一気飲みの後にこうなってしまうのは必然です。
だから、「何か?」と仕事に戻るように視線を送って、
「それでは着替えてしまいましょうか」
体裁を整えるべく、そうトワに声をかけるのですが。
「いえ、着替えの前にマッサージチェアを試すべきです」
「マッサージチェア? なんです。それは?」
「そこにある椅子型の魔動機ですよ」
そう言ってトワが指差す先にあるのは黒い革張りの椅子。
少々豪華な椅子のようですが――、
「ただの椅子ではないのですか?」
こんなものになんの価値があるものか、私が訊ねると。
「これはマッサージ機といって、自動で全身を揉みほぐし、体のコリや疲れを取ってくれる魔動機ですよ」
体のコリを取る魔動機ですか。
「詳しく聞いてもいいでしょうか?」
日々激務をこなすメイドにとって体にたまる疲れの解消は重要なことです。
冷静を心掛け、続きを促す私に、トワはニコリと微笑みながらマッサージチェアの詳細な効力を教えてくれます。
それによると、この魔動機は虎助様が暮らす世界に存在する機械を改造して作ったものだそうで、なんでも指圧巧者であるらしい虎助様のマッサージを擬似的に体験することが出来る魔動機なのだということです。
虎助様がそんな技術まで持っていたことも驚きですが、なにごとに対しても厳しい評価を下すトワが巧者と言ってのけるその技術は気になります。
なによりも、メイド服に着替えたら皺になるかもしれないというのなら仕方がありません。
すぐにこのマッサージチェアの使い方を聞いみてたところ。
「簡単です。座ってスイッチを押せば、後はマッサージチェアが自動で天国へと連れて行ってくれることでしょう。スノーリズ、試してもらえますか?」
「ふむ、ただ発動させるだけで天国へですか――」
そんな馬鹿なと思っていた時期が私にもありました。
ですが――、
「どうです。マッサージチェアは?」
最高に決まってるじゃないですか。
なんです。なんなんです。この魔動機は、これこそが悪魔の魔動機ですよ。
「聞こえていませんね。暫く使い物になりませんか。お二人が帰ってくるまでには正気に戻ってくださいね」
いえ、聞こえていますよ。
ですが、答える時間も惜しいのがこの機械がくれる天国です。
ということで、トワがそう誤解をしてくれるのなら、ここはしばらくこの天国を享受することにいたしましょう。
ユリス様がこの椅子の存在を知ってしまったら、私が使う機会が減ってしまうのは確実ですからね。
ああ、お金を溜めて虎助様に私専用のマッサージチェアを作ってもらうという手もありますね。是非検討をしておきましょう。
◆さすがのスノーリズもマッサージチェアには勝てなかったようです。
軽い運動からのお風呂、そして水分補給をしてのマッサージチェアのコンボは凶悪だと思います。
〈美泡生成〉……ソープ類から洗顔・ボディウォッシュなどに適したマイクロバブルを作り出すためだけの魔法。
〈アスモデウスの玉座〉……日本製の十万円ほどのマッサージチェアをソニアが改造。
衝撃・重力・誘引などの魔法を付与することによってその効果を高めている。
ダミー人形のような魔導人形を使うことで、虎助が持つマッサージ技術を記憶、その結果をインベントリに記録させ再現している。