ディロック
もともと日本刀の件は口約束でしかなかっただが、調べてみたからには一応報告を入れておくべきだろう。
ということで、放課後、万屋に出勤した僕は偶然見つけてきた小さな箱を手前に、日本刀入手を依頼したマリィさんに昨日の経緯を掻い摘んで報告していた。
「それで見つけてきたのがこれですのね」
あらかたの話を聴き終えたマリィさんが色とりどりの結晶が詰まった宝石箱を覗き込む。
だが、すぐにその視線は、傍らに立つベルへとスライドして、
「倉庫と言うのはこの子のお腹の中のことですのよね。仰ってくれましたら、私が直接探しに参りますのに」
「でも危ないですから。全部がそういう訳じゃないですけど、向こうは迷宮のようになっていて、あまつさえトラップまであるんですよ。そんなところにマリィさんを連れていけませんから」
日本刀を探すという目的もあるだろうけど、それ以上にバックヤードが、というよりも、バックヤードに収められているだろう武器の類が気になるのだろう。マリィさんはベル君に熱のこもった視線を送るのだが、そんな場所に彼女を連れて行ったら、どんな結果になるのかは火を見るよりも明らかだ。
昨日の実体験を元に引き止める言葉を連ねる僕に、さすがのマリィさんも我儘は言えないと自重してくれたか、しかしそれでも、行ってみたいという気持ちがわずかばかり残っているのだろう。相反する思考のジレンマに、ムムムと大きな胸を抱えるようにして眉間に皺を寄せていたのだが、
「現在、エレイン君達が数名体制で鋭意捜索中ですし、別の角度からの方策も考えていますから。もう少しお時間をいただけますか」
付け加えられた言葉に「そこまで言われては――」と、どうにか僕の引き止めを受け入れてくれたみたいだ。
自分を納得させるように頷きを一つ作ったマリィさんは、その興味を僕の手元に置かれる宝石に戻してくれる。
「それで、この宝石みたいな物は何ですの?日本刀に代わってわざわざ披露するくらいなのだから、普通の宝石では無いのでしょう」
そう言われてしまうと少々ハードルがあがってしまうが、ご機嫌取りの手土産であることには代わりない。
「ええ、名付けてディロック。遅延状態の魔法をロックするということでディロック。何でも魔法をのものを結晶化させたようなマジックアイテムのようで、ゲートを通じてどこかの世界から流れてきたみたいです」
「ディロックですか……。研磨した魔石とは違いますのね?」
実はこのディロックという商品名は、分析の際にオーナーの思い付きから始まった大喜利大会のような命名式において、自分の案が採用されたものだったりする。
異世界の人間であるマリィさんに、果たしてこんなゲームやマンガでのみ使われるような言葉を繋げた造語がきちんと伝わるのだろうかと懸念したのだが、さすがはオーナー謹製の翻訳魔具。どうやらきちんと伝わっているようだ。
反芻するように呟いた後にマリィさんが作った新たな質問に僕が答える。
「ですね。魔素との親和性を得た物質や純粋な魔素ではなく、言った通り既存の魔法を特殊な魔法式で物質化させたもののようです。オーナーの説明では、物質化している構成そのものは脆いらしく、微量の魔力を込めてやると3秒程で閉じ込められた魔法が炸裂する。所謂、手投げ爆弾の魔法版みたいなものなんだそうです」
「つまり誰にでも使える待機魔法みたいなものですのね。説明では構成が脆いとのことでしたが、危なくはないのかしら?」
発動寸前の魔法を保持しておくというのは、技術的に難しいものだと聞いたことがある。
表面上は心配そうなセリフを呟くマリィさんだったが、その実、使ってみたいと言わんばかりの光を瞳の奥に潜ませていた。
「発動してしまった場合、炸裂前にこの小箱に戻す事でカウントがキャンセルされるみたいです。なんでも、箱そのものに特殊な結界を作り出す魔法式が刻まれているようで、余剰魔力を使って物質化を再構成しているのだとか、なので使うなら外でお願いしますよ」
「外でならいいんですの?」
ディロックを構成する仕組みよりも、その効果の方に興味が先にたったのだろう。分かり易過ぎるマリィさんの反応に、僕は全くとばかりに息を吐きつつも頷き、
「売り物ですからね。一つお試しにサービスしますよ。というか、ダメって言っても聞かないですよね。まあ、ディロックの製法は既に分析済みで、原料は魔法そのものなので殆どタダで手に入りますからね。オーナーとしても誰かに試してもらった方が検証という意味でも都合がいいみたいです。適当な人がいなかったら僕がやることになっていましたから」
そんな裏事情を明かしつつ、安全の為に小さなディロックを一つお試しに差し出そうとするのだが、マリィさんは金貨の詰まった袋をカウンターにドスンと置いて「これ全部いただきますわ」といつものように大人買いモード。
「えと、一個試してからの方がいいのでは?」
確かに実験台を勧めたのは僕だけど、それを全部買うとなると話は別だ。
本当に全部買うんですか?と確認する僕に、マリィさんは新しいオモチャを前にしたように無邪気な顔でこう答える。
「いろいろ試した方が楽しいでしょう」
「それはそうなんですけど」
とはいえ、こっちから話を持ちかけて、現金を出されてしまえば、まかりなりにも商売に携わるものとして売らない訳にはいかない。
頑固系店主ってガラでもないからなあ。
已むを得ないと今のところ代わりのない小箱だけは回収。シュールかなと思いながらも、以前、店番の暇にかまけて自作した、新聞紙製の小さなカゴにどっさりと宝石を詰め込んで、最後に注意事項を付け加える。
「ここのあるものは倉庫にしまわれていたものですから、中にどんな魔法が入っているのか分かりません。ですから、できるだけ遠くへ飛ばして下さいね」
と、それを聞いたマリィさんは、少し考えて、
「でしたら、虎助がついてきて下さるかしら?」
下されたご指名に僕が疑問符を挟む暇もなくマリィさんは、
「正体不明の品物を売るのは店主としてどうですの。それに、もともとこれは虎助が実験するつもりのアイテムだったのでしょう。か弱い私に代わって宝石を投げる役目を果たしてもバチは当たらないのではなくて」
そう言われては反論の余地が無いかな。
確かにこれだけの数を遠投するのは女性にとっては辛い作業かもしれない。
効果範囲によっては、何かパチンコみたいなのもセット販売しなければならないか。
僕はそんな事を頭の片隅で考えながらも「わかりました」とマリィの申し出を謹んで承り、ベル君に店番を任せて万屋を出る。
向かったのは万屋から少し離れた位置にある小高い丘の頂上。万屋とゲートの両方から離れていて飛距離を伸ばすという目的も果たせる場所だ。
そして、もしもの場合を考えてだろう。マリィさんが展開してくれた魔法防御に、これって僕は必要なかったのでは?と思わされながらも、カゴに満載された宝石の中から一つ選んでもらう。
「因みに大きさが込められた魔法の威力。色が属性に対応しているとのことですので――」
「それを目安に被害が少なそうなものを選んで様子をみますのね。でしたら、やはりこれかしら?」
察しよく説明を連結させてくれたマリィさんが地面に置いた籠を覗き込み、取り出したのはアクアマリンの輝きを放つディロックだった。
その配色からするに水――もしくは氷の魔法が結晶化されているのだと予想される。
「炎や風、雷よりは安全でしょう。こっちの色も気になりますけど」
アクアマリンの魔石を覗き込む僕の心配顔を見てか、マリィさんのしなやかな指先が、赤に透明、黄色と移動。最後に辿り着いたのはアメジストのような深い紫色をたたえた魔法石。
「毒、ですかね?」
「いえ、毒ならば植物系統を司る緑になるのではありませんの?ああ、虎助の世界では毒の象徴は紫ですのね。私の世界では紫色の魔素は空間を意味しますの。これはメインディッシュですわね」
属性を象徴する色にはそれぞれの世界で差異があるみたいだ。ゲームとかでもシリーズによっては緑が毒のイメージカラーの場合もあるからね。
と、僕は今迄にプレイしたことがあるゲーム設定を思い出しながらも、マリィさんが付け加えた一言に、耳を疑わんとばかりに聞き返す。
「ぜ、全部やるんですか?」
「当たり前ですの。何の為に買い占めたの思っていますの。まずはこれからいきますわよ」
しかしマリィさんは当然とばかりに胸を張り、最初に選んだ青いディロックをつまみ、指先に魔力を集中。有無を言わさず発動状態に持っていくと、それを僕に握らせて、自分はシースルーの魔法壁の陰に身を隠す。
一方、有無を言わさぬ対応で投げるように促された僕は、カウントダウンのように脈打つ青いディロックに、心の中だけで慌てふためきながらもスローイング。
しかし、やはりというべきだろう。最初の出遅れが響いたようだ。
丘を滑るように飛んでいったディロックは地面に辿り着くことなく、その魔法を弾けさせてしまう。
溢れ出したのは膨大な量の水。それが間欠泉のように吹き上がり、夕日に反射、赤色分の強い虹を発生させる。
「水の初級魔法〈水の棘〉に似ていますのね。規模は段違いですが、これならばかなり上空にいる相手への牽制にもなりますの。なかなか面白いものですね。他のディロックにも似たような魔法が封じ込められてますのかしら?次いきますの」
〈水の棘〉とは、地面から十センチ程度の水で出来た棘を無数に生やし、敵の足を止めるという魔法だったはずだ。
しかし、このディロックによって発生した水柱はおよそ十メートルはあるだろう。
マリィさんは立ち昇る水柱を目に分析するような言葉を呟くと、宣言の通り、全てのディロックを試すようだ。次のディロックを手に取ると、魔力を込めて投げるようにと僕に手渡してくる。
と、発動状態にされたディロックを受け取った僕は、その一発を皮切りに、受け取っては投げ受け取っては投げを繰り返し、荒野に爆炎や暴風を生み出す手伝いをさせられる羽目となる。
結果、一つの傾向が炙り出される。
「効果範囲はディロックの形そのままになっているんですね」
球状のものは形そのままに爆発。棒状のものは対空攻撃。三角形のものはショットガンのような範囲攻撃。中には星形なんてものもあったけど、おおよそこの三種類に集約されているようだ。
そして、その規模は、一番大きなテニスボール大のディロックで二十メートル程度と、中級と呼ばれる魔法くらいに抑えられているようだった。
「大きさによって多少の誤差はあるようですが、この規模の被害なら女性でも問題なく使えそうですわね。ですがそうなりますと、やはり肝心なのは例の小箱ですの」
続けての指摘は全くその通りで、突発的な事故による発動や投げ損じなどをしてしまった場合、自分を中心とした数メートルがその魔法に巻き込まれてしまうといった事態に陥りかねない。
その際に安全ピンの代わりとなる小箱があると無しでは安心感が大きく違うのだが、
「それもディロックの組成データから、同じ効果を持つアイテムを試作してますので、その内に代わりとなるものが作れるようになると思いますよ」
おそらく今も進行中だろうオーナーの努力を伝える僕に、マリィさんは「楽しみに待ってますわ」と応えて、急な話題転換。
「しかし、虎助の投擲術は見事なものですわね。何か訓練でも受けていましたの?」
不意の賞賛に照れる僕が苦笑を漏らしながら語るのは小学生当時のエピソードだ。
「昔から母に仕込まれていましたから、こういうのは意外と得意なんですよ。自慢じゃありませんが、このおかげで、昔、野球部の友人からピッチャーをやってみないかとか誘われたくらいですから」
「そのピッチャーというものはよく分かりませんが、正確な場所へと着弾させられる技術は驚嘆に値します。小箱の代わりになるものが完成した暁には、このディロックを購入させていただきますので、侍従達にも教授をお願いしたいものですの」
野球そのものが存在しないのだろう世界に暮らすマリィさんは、小首を傾げつつも、大量購入を約束してくれる。
その申し出は店側としてはありがたいのだが、その後のお願いを叶えるのは少々無理じゃないだろうか。
どうしてそう思うのかといえば――、
「えっと、ゲートっていうのは、その人が入った世界にしか戻れないんですけど」
アヴァロン=エラからの移動は、基本的に来た側に発生した次元の歪みを起点とした一方通行となっており、他の世界への渡航は不可能となっている。
それは自然発生的に発動してしまった空間移動が重複することによる不具合や、一瞬しか現出しない次元の歪みに巻き込まれ、戻れなくなってしまうというケースを防ぐという目的から、そうならざるを得ないらしいのだが、高レベルの魔導師であるマリィさんからしてみれば、そんな事情など百も承知なのだろう。
「だから彼女達をここに連れてのです」
「それなら大丈夫かも――、でもですね。教えるのは吝かではありませんが、相手方に戦力強化に繋がると映ってしまうのでは?」
マリィさんは政治的な理由から田舎の古城に軟禁状態になっている。そんな人物が武器を集めていると知られたら大変なことになるのでは?そんな懸念を訊ねるのだが、マリィさんはあっけらかんと言い放ってみせる。
「これなら宝石にしか見えませんもの。問題ありません」
意図して宝石を模したのかは本来の開発者にしか分からないだろうが、確かにこれならば武器だと疑われる心配は少ないのかもしれない。
とはいえ、使用人が大きな宝石を常に携帯しているというのは少し不自然だと思わざるをえないが……。
残る気がかりを考えていると、少し離れたストーンサークルの中心で光の柱が立ち上がる。誰かがこのアヴァロン=エラに足を踏み入れたのだ。
「誰か来たみたいですね。エレイン君達が動いていないって事は魔獣などではないようですが、一応、終わりにしておきますか?僕も店に戻らないといけませんし」
「ベルがいるでしょうに、任せておけばいいじゃありませんの。それよりも次は特大の炎いきますわよ」
「いや、接客の方も大事ですけど、ゲートから来たお客様が巻き込まれたら困りますし」
「目が届く場所にお店がありますのよ。わざわざ何も無いこちらにやってくるお馬鹿さんが何処にいますのよ。早くお投げなさいな」
光の柱によって知らされる来訪者の存在に、僕はディロック検証の中止を提言するのだが、マリィさんは尤もな意見でそれを封殺。新たに発動状態にしたディロックを投げ渡してくる。
確かにそんな人は滅多にいないと思うけれど、もしもマリィさんの想定を超えるお馬鹿さんがいたのなら――と、とある人物の顔が思い浮かぶも、
いや、どちらにしろディロックが発動してしまった後ではキャンセルは不可能か。
こんな事なら例の小箱も持って来ればよかった。僕は後悔しながらも腕を振る。
そして、独特なサイドスローから投擲された紅いディロックは、約五十メートル程ある緩やかな下り斜面を滑るように飛んでいき、残り二回の脈動を消化したのだろう。何もない地面に着弾。その直後に大爆発。一瞬で炎が四散し、熱波が到達。次に爆音が体の芯を揺らす。
暫く耳を押さえていたマリィさんが指で抑えていても届く音が消えたのを確認して、
「すごかったですの」
今まで一番の威力に、マリィさんは頬を紅潮させ感嘆の一言を零す。ともすれば、よだれを垂らしてしまいかねない陶酔っぷりだ。
そして、
「さて、次がメインディッシュです。お願いしますの」
その興奮が冷めやらぬ中、マリィさんは例の紫色のディロックを手に取り、魔力を込める。
もうこの世界を訪れてかなり経つ、自分だって多少なりとも魔力を操れなくもないのだから、わざわざ魔力を込めてもらわなくても――と、僕なんかは思うのだが、一連の動きとなりつつあったコンビネーションで渡されたのなら、もう投げるしかない。
しかし、妖しく光る紫色のディロックを受け取り、いざそれを投擲しようとしたその時だった。ゲート方向から砂煙を上げて爆進する影がその投擲線上に割り込んでくる。
「何だ今の爆発は?」
発せられた疑問に答えようにも、既に投擲モーションに入っている。ここでの躊躇は、自分のみならずマリィさんをも危ぶむ行為にしかならない。
しょうがない。僕は腕を振り抜くと、そのまま――、
「逃げて下さい!!」
叫ぶのだが、その視界に映りこんだのは、遠目でも目立つスケイルアーマーに身を包んだ人影だった。
うわぁ。予想通りというかなんというか。
微かな放物線を描く紫色のディロックが、おそらくフレアさんであろう赤い人影に向かってまっすぐ飛んで行く。
とはいえ、彼我の距離はそれなりに開いていて、
これなら余裕で避けてくれるだろう。そう思う僕だったが、何を思ったか、フレアさんらしき赤い人影は、自分目掛けて飛んできたディロックを、ライナーを受け止める野球選手の如くダイビングキャッチしてしまう。
そして、受け身を取るように一回転。その勢いで立ち上がると、これは何だ?と訊ねようとでもしたのだろう。キャッチしたそれを掲げた次の瞬間だった。三度の明滅を終えたディロックが崩れ去る。
直後、限りなく透明に近い青の炎が膨張、腕を掲げたフレアさんもろとも周りの空間を食い荒らす。
その暴威は衝撃となって僕達のいる場所まで到達し、僕達を守ってくれている魔法壁を軋ませる。
しかし、それも長くは続かない。
「何ですの今のは!?」
見たこともない現象を目の当たりにしたマリィさんの瞳に興奮の色が宿る。
「水蒸気爆発?いや、水素爆発かな?」
訊ねられた僕は思わぬ現象に動揺しつつも聞かれたからには答えなければ。妙な使命感に駆られて、反射的に目の前で起きた現象がなんなのかと推測を並べるのだが、爆発によって舞い上げられた砂埃が風に流され、白煙をあげ倒れる人影を見た瞬間、脳内に浮かべた可能性がすべて吹き飛んでしまう。
「――じゃなくてですよ。フレアさん!?」
ようやく状況を思い出したかのように叫び、急いで駆け寄ったそこに倒れていたのは、ボロ雑巾と化したフレアさんだった。
「だ、大丈夫ですか?」
「き、君達は、俺を殺す気、なのか?」
心配して覗き込む僕に返されたのはこんな台詞。
しかし、さすがに勇者を名乗ることだけはあるみたいだ。フレアさんは突然の大爆発にも何かしらの防御策を取ったのだろう。至近距離で喰らったにもかかわらず、特に目立った怪我も無いようで、とはいえ、完全にその熱や衝撃を逃がせなかったようで、自慢の長髪はアフロのように縮れてしまい、体のそこかしこには小さな裂傷が見られ、さすがに立ち上がれないご様子だ。
そんなフレアさんを見て、僕はこんな時の為にと懐に忍ばせておいたポーションを取り出すと、甚大な被害を受ける頭部へとエメラルドの液体をふりかける。
そうしてポーションを使うこと三本分、少し遅れてやってきたマリィさんが残念なものを見るような視線を浴びせかけ、冷淡にもこう言い放つ。
「何をやっていますのよ。わざわざ虎助が逃げろと叫んでいましたのに」
今回にばかりは全くもってその通り、毎度のごとくあたりキツいマリィさんに憎まれ口を叩こうにも、ぐうの音も出ないフレアさんであった。
ディロックは魔具でも魔導器でもありません。魔法を結晶化しただけの純粋なマジックアイテムです。




