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灯りが消えたその後で

作者: 栗山 りょう

毎日同じ日ってないかと思う


良い日もあれば、気分が乗らない日も


でも、僕たちは走り続けるしか他にない

ライブが終わったその空間には、食べ残した皿と空いたグラスが無残に残されて、気だるく生暖かい空気が

流れていた


客席には数人のスタッフや他のバンドのファンたちが談笑やら片づけに追われていた


BGMは古めかしいピアノジャズから、うるさい80年代ポップスに変わっていた


メンバーからはテンポが走る・歌詞を間違える・エゴで曲を決めるな、などと口うるさく言われて気分も上がらないままの

演奏だった


でもお金をもらってする演奏に手は抜けない、沢山の制限のある中で必死に、死に物狂いで、熱く、燃えた


そして今、氷の解けたグラスの中の酒を、ちびりと口にやり、放心した状態でうるさいBGMにおびやかされている


何の為に演奏しているのか、誰の為に演奏しているのか、何を目標に演奏しているのか


むなしさと疲れだけが体をまとっていく


そんな時、一人の女性が近ずいてきたオーナーのミサトさんだった


顔を上げずうつむいていると知ってか知らずか、いつもは口うるさい彼女の口から意外な言葉が発せられた


とっても良かったよ、荒削りの部分もあるけど、あなたのハートがみんなに伝わって、素晴らしい演奏だった

私感動して涙が出てきちゃった


そして軽く微笑んだかと思うと、新しいグラスを私によこし、カウンターへ消えていった


何の為に演奏しているのか、誰の為に演奏しているのか、何を目標に演奏しているのか・・


ハートがじんわりと熱くなるのが分かった


みんなの笑顔の為、その笑顔を見せてもらうため


僕はギターをしょってスキップを踏んだ





疲れた夜も、興奮して眠れない日もある


だけど明日は必ず来る


僕たちはまた可能性を信じて歩き出す

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