第四話
「‥‥‥‥ん、あれ?」
僕が、目を覚ました場所は無駄にでかい体育館ではなかった。此処って、部室?因みに僕は軽音楽部部員だ。だけど、僕のよく知っている部室ではなかった。‥‥‥‥あ!もしかして。僕は、座っている青い長椅子から腰を上げ、扉の方へ向かった。扉の取っ手をつかもうとした時。
ガチャ
扉が一人でに開いた。まさか、もう誰かが来たとか?やばい!知らない奴がこんななんの関係もないところにいると知れたら‥‥‥‥絶対怒られる。僕は取り敢えず邪魔にならないように一歩後ろに下がりどうしようか戸惑っているだけになっていた。
「あ?誰だお前。」
「どーしたぁ?水城?」
「いや、どうしたもこうしたも。誰だお前?」
水城と呼ばれた男は優しく、少し棘のある声で聞く。なんで2回も?
「えー?誰々ぇて、あ。」
「‥‥‥あ!おまっ」
もう一人の声がした。聞き覚えがあるような。そっと顔を上げて見ると目の前には、あの花咲勇気が立っていた。てことは?ここは野球部の部室?!てか、なんで僕はここにいるんだ?まさか!
「なに?知り合い?こんなバカそうな奴が?お前の?」
水城と呼ばれた男は冷静に僕のことを悪く言う。初対面なのに失礼だなこいつ。「僕は」ちゃんとしないとな。僕も心の中で嫌味を言う。口に出せばいいんだけど、それだったらこいつとやってること一緒になる。それに、「ガキ」みたいなことはしたくない。
「すいません。僕ちゃんとでていきますんで。今す‥‥」
「えー!なんで?!せっかく連れてきたのに意味ないじゃん!」
彼はまさしくガキだ。ガキのように僕がでて行くのを断固として拒否する。てか、やっぱりお前か!!
「僕はここにはようはないんで!」
「俺はあんの!」
「ねぇよ!僕はない!だから今すぐでて行く!」
「だーーーーーーめーーーー!絶対ダメ!ミチルとエッチしたいもん!」
彼のその人ことで部室の中はシン‥と静まり返った。すると、
「ははははははははははははははは!」
水城と呼ばれた男は突然笑い出す。え?なに?てか、僕は知らないけど、
「人がいるところでなにかましてんだよてめぇ!」
「あんた誰かしんないけどさ、面白いな?おい、勇気」
水城と呼ばれる男が「勇気」と言った時、僕の胸に少し痛みが走った。そして、なぜか悲しくなる。え?なんだよこれ。僕は焦り始めた。
「お前が言ってた恋人ってこいつのこと?」
はぁ?その言葉を聞いた僕はさっきまでの悲しさが吹き飛んだ。恋人?誰が?僕が花咲の?
「めっちゃかわいいじゃん!俺にくれよ!」
「あんたなに言ってんの?僕男なんだけど?キモいなお前。」
言ってしまった。なんたる失態。本音をぶちまかしちゃったよ!初対面の人に対してひどい扱いをしてしまった。僕はさっきよりも焦り、何度も謝罪の言葉を水城と言う男に頭を下げて言った。あー!もう僕、死んでもいい。今にも泣きそうになった僕は顔を上げることができなかった。こんな顔を見られたら恥ずかしいに決まってる。別に涙を目に溜めていたり、もうすでに水滴を目からこぼしたりはしていないが、何と無く顔を上げたくなかった。すると、水城と言う男は僕の頭を撫で始める。
「もういいからさ顔上げて?」
その人の声はさっきよりも優しく棘のない声になっていた。僕は水城と言う男の言葉どうりに顔を上げた。後ろでは花咲のやつが笑を堪えているのがみに入った。
うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎!
僕は花咲君に声をかけようとすると
「おま‥‥ん!?」
「え、ちょっ!水城!!?」
手前にいた水城に‥‥‥キスをされた。
(もう呼び捨てでいいよな?)
水城の唇はすぐに離れたかと思うと、また唇を重ねる。うわ!こ、こいつ!ししし舌が!
水城は僕の口にしたを伸ばしてくる。な、なにしてんだよ!僕は、必死に抵抗していたが腕を取られてしまう。
「ん‥‥ふっ、ん‥‥‥はぁ」
「ちょっと!水城!なにしてんだよ!」
「‥‥‥はぁ。ベッツにいいじゃん?お前、周りにもっと可愛い子いんだからそっち取れば?俺こっちもらうわ。」
そう言って水城は満面の笑みを浮かべ僕を抱きしめる。
「な、なに言ってんだよ!それは俺の!誰にも渡す気ねぇよ‼︎お前、ミチル落とすのにどんだけ苦労したと思ってんだよ‼︎」
「な、なに言ってんだよてぇは!僕はお前のこと好きとか一度も思ったことねぇし‼︎」
また、心の何処かで何かが引っかかる感じかした。すると、彼の表情は一変し、辛そうになった。あいからわず水城は僕を離そうとしない。僕の顔は段々と赤くなる。うっ、やばい。恥ずかしいなこれ。僕は花咲君にヘルプの目線を送った。が、彼はそっぽ向いた。
「じゃぁ、俺がもらっちゃおーと!てかさぁ、君勇気と何回エッチしたの?」
また、名前呼び。なんでだろう、別のやつが名前で読んでいるのを聞いたら腹が立つ。
「‥‥‥沢山ですよ。」
僕は質問の答えとして小声でそう答えた。
「じゃあ、キスマークついてる?」
「?‥‥‥なんですかそれ?」
「え?ま、いいや。直接確かめたらはやいし。」
「は?え!ちょっと!」
水城は突然僕の着ていた上ジャージを脱がそうとしてきた。僕は花咲君に視線を向けたが気づいていないのか全くこっちを向いてくれない。え?なんで?助けてくれないの?これって、そんなにどうでもいいことなの?
「あれー?どこにもないなぁ?じゃあ、下かな?」
「ちょっ!もうやめてくださいよ!ないですから!絶対ないですから!」
「みて見ないと分からない。」
水城は意地悪げな笑みを見せズボンをずらす。そして、手で無探る。まじで、なに考えてんだよこの人!僕は怖くなってき、思わず泣いてしまった。涙がこぼれないように腕を目元に当て目をキュッと閉じた。
「ん‥‥‥っ!」
「あ?感じてる?嬉しいなぁ。」
「はぁ、ぁ!‥‥‥‥」
やばい、声が‥‥‥。こっちをみてくれないと分かってはいる。だけど、僕はもう一度花咲君の方へ視線を向ける‥‥やっぱり。彼はこっちを一切向けてはくれなかった。
「はぁ、疲れちゃった。もうこんままエッチしちゃおか?勇気もなんも言ってこないし?」
「終わったんならそこどいてくれない?」
「おー、怖い怖い。はいはい、あ、でも。この子は連れて行かないでね?」
水城はまた僕を抱き寄せる。それをみた花咲君はなにを感じたのかは分からないけど、突然怒鳴りつける。
「連れて行くなって‥‥‥ふざけんな!それは俺のだって言っただろ!行こ、ミチル。」
彼は、僕のそばに寄ってきて腕をとった。僕は水城のことが少し心配て振り向いた。水城は黙って僕たちが去るのをイラただしげにみていた。僕は前に視線を戻し、花咲君の行くところへと無言でついて行った。
来たのはどうやら保健室のようだ。誰もいない。ここでなにをするんだろう?
「花さ‥‥」
「なに?」
彼の声はすごく冷たかった。気まずい。
「いや、なんでもない。」
保健室はとても静かだ。その中に落ち着きのない貧乏ゆすりをし、腕を組み、うーんと唸る男が一人いる。正直煩い。でも、今声を掛けるとまたあの冷たい声で、言葉が返ってくる。どうしよう。もう、帰りたい。僕はその場で立ち上がり、一度彼へ視線を向け前進した。すると
「どこ行くの?」
「カバン取りに教室にい」
「だめ。」
「なんで?」
「‥‥‥‥‥多分、水城がいる。から」
「だからなに?」
僕の返答した言葉が変だったのか、彼は驚いた顔をして僕を見る。
「さっきなにされたのかわかんないの?」
「確かめただけだろ?」
「え?‥‥‥‥はぁ。」
彼は僕に呆れたとでも言いたげにため息をついた。なんだよ!言いたいことあるならいえよ!しかし、彼は黙りっぱなしだった。
「だったら着いて来てよ。そんなに心配なら」
「嫌だ。」
「なんで?」
「俺、あいつ嫌いなんだよ。」
「ふーん」
僕は興味なさげに返答をする。だからなんだよ。さっきあんなにたのしそうだったのに?
すると、彼は僕の方へ寄ってくる。
「なんだよ!今度はなにする気?」
「なにして欲しい?」
彼はまた、意地悪な笑顔を見せる。怖い。
「じゃぁ、水城にお前の名前呼ぶのやめろって言ってよ」
「なにそれ?‥‥‥あ!嫉妬?!」
なんでそんなに嬉しそうなんだよ!これでも結構なやんでんだぞ!なのに、ヘラヘラしやかって。
「‥‥‥‥嫉妬なのかな?」
「え?‥‥‥‥っ〜〜〜〜〜〜〜!」
僕と彼の顔が赤く染まる。やば、恥ずかしぃ!花咲も同じ気持ちなのかな?これって、恋?いやいやいや!ないない!絶対ないな。僕は花咲君の方へ向き直りむっとした顔で
「僕さ、正直お前のこと好きかわかんねぇけど、でも。なんか他のやつが名前で読んでるの聞いたら腹立つんだよ。それに、女子と話してる時、なんか寂しく感じたり。」
「ミチル‥‥‥?」
な、なに言ってんだよ!自分!ぼ、僕が花咲にこ、恋してるみたいじゃん!?足に力が入らなくなってしまい僕はその場でしゃがみこんでしまった。
「え?!み、ミチル!?」
「え、あ。ごめん。すぐ‥‥おさまるから。」
どうしてかは分からない。僕の目から水滴がポロポロと落ちる。その涙はすぐにはおさまらなかった。やばい。早く止めないと!僕は目が赤く腫れるまで、涙か止まるまで目を拭い続けた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい‥‥‥」
僕は、彼に抱きしめられるまで何度も謝り続けた。
「もう、いいから。謝らなくていいから。とりあえず今は思いっきりないてスッキリしよ?」
「え、でも。服が」
「俺のことはいいから。
(本当、ミチルはいつでも人のことばっかりで自分のことは全然気にしないんだ。)」
僕は彼の優しさに負け、言う通りに僕は彼の胸の中で思いっきりないた。
どれくらいだろうか。僕は彼の胸の中で泣いていたはずなのに、いつの間にか寝てしまっていた。気がつけば、朝で、自分の部屋にいて‥‥‥‥花咲君がそばにいてくれていた。それがなぜかすごく嬉しい気がした。
「やっぱり、僕は‥‥花咲のことが好きなのかな?」
「それ、本当?」
「え?!お、起きてたの?」
「ミチルが起きる前から起きてた。30分くらいかな?」
「あ、そう。」
どうしよ!聞かれた?聞かれてた?!やばいよ!恥ずかし!僕は両手で顔を覆い耳まで赤くした。あ、そうだ。僕は学校にいたはず。
「重たくなかった?」
って、聞くこと違うし!なに聞いてんだよ!確かにそれも気になるけどさ!ちょっと早まりすぎ!僕はもう一度顔を両手で覆い、今度は完全に顔が見えないように膝を立てた。
「もう、死にたい」
ボソッと小声で呟いた言葉が彼の耳に入ったようで、彼は怒りを言葉にした。
「今、なんて言った?」
「え?」
「死にたい?なんで?」
「え‥‥‥だ、だって。お前の顔みてたら‥‥‥恥ずかしくなってきて、心臓破裂しそう。」
僕は本当になにを言っているんだか。わけがわからない。そんな顔をされてもいい。もう僕は分かった。僕は、花咲のことが好きだ。だから、「嫌い」だなんて言われて生活するより、いっそ死んだ方がましだ。と思えたのは間違いだろうか。僕にはなにが正しくてなにが間違っているのかわからない。だけど、人の嫌がることはしたくない。邪魔なら邪魔だと言えばいい。死んで欲しいなら死んでくれと言えばいい。どうして僕はこんな考えしかもてないんだろうか。あー、ダメだ。絶えないと。また、泣いてしまう。また、迷惑をかけてしまう。そんなことを考えると涙が止まらなくなる。
どうして?僕ばっかり‥‥不幸なんだ。
「それって、俺のこと好きってこと?
僕は黙って小さく頷いた。
また、あの言葉が‥‥‥
「俺はミチルのこと」
いやだ、聞きたくない!
「ねぇ?何で泣いてるの?なにかあ」
「煩いな!ほっといてくれよ!」
ダメだ。それ以上甘い言葉を言わないで‥‥‥怖いよ。お願いだから
「嫌い」だなんて言わないで!
「昔なにがあったか知らないけど、大丈夫だよ?俺はミチルのこと、ちゃんと好きだよ?」
「え?」
そう言うと彼は黙って僕の頭を撫で、「大丈夫」「大丈夫」「もう、一人じゃないよ?」。その言葉を聞いて、僕は信じてもいいのだろうか。と思ってしまう。僕は‥‥‥勇気の言葉を信じたい。これが夢じゃないことを願いたい。
僕はこの日、勇気に告白された。もちろん僕はOKした。それを拒否する理由はないだろう。僕と勇気は‥‥‥‥‥‥‥両思いになったんだから。
「こんな幸せな日は、初めてだな。」