第一話
「ちょ、花咲君!?」
「何?」
な、何って。
「は、恥ずかしい…よ。」
「大丈夫。優しくしてあげるから。」
そ、そういう問題じゃ…。花咲君の顔が急激に近づき唇が重なる。
「ん…ふっ、………はぁ。」
「ごめん、苦しかった?」
そんなとこに気使うんだったら、キス…なんかすんなよ!僕の心臓は今にも破裂しそうなくらいドキドキしている。このドキドキが花咲君に届かないように必死になっている自分って…。なんだか体がすごく熱く感じる。………嬉しい、のかな。花咲君とこういうことするの。
「ねえ、」
「何?」
「……………。」
僕に一声かけた後、花咲君は黙り込んでしまった。何か気まずそうな顔をしているのがわかる。そんなに言いにくいことなのか?だったら言わなければいいのに…今言わないといけないことなのかな?僕も少し焦り始めた。彼の表情に対して、どう反応していいのか分からなかった。どうしよ…僕も何気に悩んでいると。
「………あの、さ。い、挿れても、いい?」
何を考えているのかと思えば。
「心配して損した。」
「え?心配してたの?」
「君が何か悩んでいるようだったから大丈夫かな、と。」
僕は思う。そういう言葉は顔を真っ赤にして言ってはいけないと。そんなことをすれば「煽られる」などの言葉を囁かれたりされるのは100%間違いない。こう言うのに慣れていない所為か、僕は顔を真っ赤にしてしまった。好きな人の顔を見ると赤面してしまうのは当然だよな?そして、期待はしていないけど。思い通りの言葉が返ってくる。
「煽られるなあ。」
「それを耳元で囁くな!!恥ずかしいだろ…。」
花咲君は満面の笑みで「そうだね」と、小声で顔を正面にして言った。も〜〜〜!恥ずかしいって言ってるのに!その後、花咲君はずっと、ニコニコと嬉しそうな顔をしていた。好きな人とするのって、やっぱり嬉しいのかな。