第8話 悩める少女
最近の自分は変だ、と沙耶は思う。
いつもなら愛花のからかいなんて軽くかわせてたのに・・・
銀河が来てからは愛花のいいからかいの的になってしまっていた。
何故だろう、と考えてみる。
別に銀河のことが好きとかそういうんじゃない。
でも、べつに嫌いではない。
話していたって別に特別なことなど何もない。
いつも話しているそこら辺の男子とそれほど大差はない。
ただし、ただ一点だけ他の男子と違うところがあった。
それは普通の人にはわからない、沙耶にだけがわかること。
それは銀河には好きな人がいない、ということだった。
沙耶は今までそういう人との関わりは避けてきた。
自分のことを好きになられてて、こっちの気持ちが傾く前に告白されるのは嫌だから。
こう言うと自意識過剰のように聞こえるが、実際そうなのだから仕方がない。
中3の文化祭で無理やり出場させられたミスコンで優勝してからは特にそうだった。
勝手に「学園のアイドル」なるレッテルを貼られ、皆から特別視されるようになり、なかなか男子生徒と話せなくなってしまった。
話しかけても数分するとその人の気持ちが自分に傾くようになってしまったのも一つの原因だった。
そんな沙耶が取った行動が、「好きな人がいる男子とだけ話す」ことだった。
しかし、銀河は違った。
どれだけ話しても自分に気持ちが傾かない。
沙耶にはそれがすごく不思議で、そして嬉しかった。
あ、もしかしてこの感情のせいかな?最近愛花の尋問にあたふたしちゃうのは。
うん、きっとそうだ。納得、納得♪
沙耶は勝手に自分で結論を出した。
そして、気がつくと1時限目の英語の授業が終わっていた・・・
あとできちんと教科書読んどかなきゃな〜、と沙耶は一人で苦笑した。