第7話 葵
「14歳でメイドなんてできるんだ〜すごいね。」
愛花が尋ねる。
もっともな質問だ。
「ありがとうございます。しかし、正確にはまだ見習いですが。今通ってるのもそういう専門学校です。」
葵が答える。
へえ、メイド育成学校なんてあるんだ・・・
「それどこにあるの?聞いたことないんだけど。」
と再び愛花。
「東京都千代田区の秋葉原駅の近くにあります。」
いや、それ何か違う気が・・・
「あ、そろそろ時間ですので、私はこれにて失礼します。銀河様、今日のお帰りは何時になりますか?」
「うーん、まあ5時くらいかな?」
「では、それまでには戻っておきます。」
と言って、軽く会釈をすると沙耶たちと反対方向に走って行ってしまった。
「何かいろいろ間違ってる気が・・・」
という沙耶のつぶやきに、
「まあ、本人納得してるんだしいいんじゃない?」
と雄二。
「だって、14歳でメイドっておかしいでしょ・・・それに銀河君と幼馴染でしょ?そんな子が同じ家に住んでるなんて・・・」
という沙耶のつぶやきに愛花がクスッと笑った。
沙耶の背筋にゾクッと寒気が走る。
この笑い方はまさか・・・
「あれ?沙耶、もしかしてやきもち妬いてるの?」
沙耶の予想は的中していた。
この笑いはからかい開始の合図である。
「え!?いや、そんなんじゃ・・・」
「まあ、確かに年頃の男女が一つ屋根の下。これはなにがあってもおかしくは・・・」
「ねえ、さっきから何の話してるの?」
と銀河が割り込む。
どうやらさっきから話の内容についていけてないようだ。
「ん?簡単に言うと沙耶がね・・・ムグッ!」
間一髪で愛花の口を塞ぐ。
「何でもないから、銀河君。さあ、行きましょう!そろそろ急がないと遅刻しちゃうよ?」
沙耶が愛花の口を塞ぎつつ、言った。
そして、自ら走り出した。
「うわ、沙耶さん、待ってよ!」
銀河も走りだす。
それを見て雄二も走りだした。
こうして沙耶たち4人は学校まで走り続けることになった。
そして、学校についたのは・・・授業開始の20分前だった。