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HEARTS  作者: 泉 伊澄
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第4話 自己紹介

「空風銀河です。これから半年の間、よろしくお願いします。」

銀河の簡単な自己紹介が終わると、ものすごい歓声と拍手が飛んだ。

これは、別に銀河が特別というわけではなく、うちのクラスのいつものノリなのである。

普通なら手を挙げて転校生に地元のことや前の学校のことなどを色々質問して終わりだろう。

しかし、うちのクラスの生徒はそれでは済まない。

転校生との握手は当たり前、ときには「友情表現だ」と言い張って抱きつく生徒もいる。

問題児で有名の黒原は、どこから出したのかクラッカーを持ち出し、パンパンやっていた。

当の銀河はというと、この変なノリについていけず戸惑った様子でなすがままになっていた。


一方女グループは、この新しい転校生の格好良さなどをチェックして、話し合っている。

しかし、今回沙耶は珍しくこの輪の中に入らず、ぼんやりと銀河を見ていた。

最初銀河を見た時は驚きが心の大半を占めていたのだが、だんだん「また会えて良かった」という安心感と嬉しさがこみ上げてきた。

「誰も好きな人がいない男性」に対してこのような気持ちを抱くのは沙耶にとって初めての体験だった。

そのような気持ちでボーっとしていたら、愛花にからかわれた。

「沙耶〜〜、どうしたの?一目惚れでもした?あの転校生に。」

「はい?」

突然の問いに声が裏返ってしまった。

この反応を見て、愛花がクスっと笑った。

愛花のこのクスクス笑いは、からかい開始の合図である。

「へえ〜、沙耶が一目惚れするなんて前代未聞ね。あの転校生のどこら辺が気に入ったの?」

「違う!一目惚れなんかじゃない!!」

何かひどく反論するとこを間違えた気がする。

「へえ・・・一目惚れじゃないんだ〜〜。っていうかそうだよね、沙耶が一目惚れするわけないもんね。」

「え?う、うんそうだよ。私が一目惚れなんかするわけないじゃん。」

「ってことは実は知り合いの彼氏さんかな?あ、そういえば花火大会の日何か約束があるって言ってたよね。それって、もしかして・・・」

「違う!あれは・・・」

「雄二に頼まれて・・・」と言いかけて思いとどまった。

このことはくれぐれも内密に、と雄二から念を押されてるのである。

こうして沙耶はHR中、愛花からの追及の言い訳探しにオロオロし続けることになってしまった。


結局今回のHR(というかもはや銀河の歓迎パーティー)の間中、結局沙耶と銀河はオロオロし続けるハメになってしまった。

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