第24話 海水浴1日目 深夜
数時間後・・・。
最初に力尽きたのは葵だった。
トランプを切っているほんの数秒の間に、銀河の肩に頭を乗せて安らかに寝息を立てていた。
「んー、じゃあ終わりにするか。明日もあるし。」
雄二の提案に異論を唱える者は居なかった。
「じゃ、俺は葵運ぶか・・・。沙耶さん、鍵開けてくれる?」
「いいけど、鍵は?」
「俺が合い鍵持ってる。っていうか葵に事前に持たされた。」
と言って銀河は沙耶に鍵を渡し、葵を抱き上げた。
抱き上げた際、ちょっとよろけたようだが何とか大丈夫のようだ。
「じゃ、おやすみ。雄二。愛花はどうする?」
沙耶が部屋のドアを開けながら言うと、愛花から驚くべき返事が返ってきた。
「んー、私は部屋の片づけ手伝ってるよ。」
あの面倒くさがりの愛花が部屋の片づけ?
どっか頭でもぶつけたのかな?
とりあえず私と会ってからはぶつけてないよね、たぶん。
ってことはぶつけたのは私と会う前かな?
いや、その前にそんな部屋散らかってたかな?
あたりをざっと見渡したが、特に散らかったようには見えない。
ここまで考えて沙耶はピンと来た。
まあ、思考の大半は愛花にとって失礼なものだったが。
おそらく愛花は雄二と少しでも長く居たいんだ。
だから、「いや、そんな部屋散らかってないからいいよ。」と答えようとした雄二の足を蹴とばし、目で合図してやった。
それでもよくわかっていなかったようだが、とりあえず承諾はしたようだった。
相変わらずの鈍感ぶりだ。
まあ、相手があの無表情の愛花じゃ仕方ないと言えば仕方ないかもしれないけど。
沙耶は、今のやり取りを微妙な視線で眺めていた銀河を引っ張って部屋を出て行った。
「愛花ってああいう性格だったっけ?真っ先に帰るものとばかり思ってたんだけど・・・。」
廊下を歩きながら怪訝そうな顔で銀河が尋ねてきたので、沙耶は答えた。
「さあ?頭でも打ったんじゃない?どっかで。」