第23話 海水浴1日目 夜
沙耶がシャワーを浴び終わって、ベットの上に仰向けに寝転がっていると、雄二がノックもせずに部屋に入ってきた。
「ノックくらいしなさいよ。着替え中だったらどうする気?」
沙耶が言うと、
「お前が着替え見られたくらいで気にするか?大体着替え中に部屋の鍵開けとく方か?」
と失礼な反応を返した後、
「ところでトランプやらないか。暇でしょうがない。」
と提案した。
まあ、別にすることもないので了承した。
まあ、雄二が誘ったのは当然沙耶ではなく・・・、
「じゃあ、愛花も誘っといてくれる?俺は部屋で準備しとくから。」
と相変わらずのヘタレっぷり。
ようは愛花を誘いたいのだが部屋へ誘いに行く勇気が無いということだろう。
「ねえ、たまには自分で誘ってみたら?その方が愛花も喜ぶかもよ?」
沙耶は最近ずっと言おうと思っていたことを言ってみた。
「はい?何で愛花が喜ぶんだよ。今は俺の片想い中だぞ。」
雄二が反論する。
そんな堂々と言うことじゃないと思うんだけどな・・・。
「そんなの分かんないじゃん。もしかしたらってことも・・・。」
「いやいやいや。無いって。それは。」
そんなことないんだけどな・・・。
まあ、確かに愛花は表情が読みにくいし、分かりづらいことは認める。
沙耶もあの能力が無かったら分らなかっただろう。
確か愛花の心の中にそんな気持ちが芽生え始めたのは合宿の時だったと思う。
おそらく沙耶の知らないところで何か特別なことがあったのかもしれないが、よくわからない。
第一張本人の雄二が気付いていないところを見ると、もしかしたら本当に些細なことだったのかもしれない。
雄二が鈍感なだけの可能性もあるが・・・。
まあ、こんな話を雄二にしたって仕方ないので、沙耶は愛花を呼びに行った。
沙耶がノックすると、愛花が浴衣姿で現れた。
「どうしたの?何か用?」
「トランプやるんだってさ。雄二の部屋集合。」
「ふーん、了解。後から行くから待ってて。」
愛花は答えると一旦部屋に戻った。
1分ほどして愛花は部屋から出てきた。
ただ、髪型がポニーテイルになっていた。
理由を聞くと、トランプの時に邪魔になるからだと答えた。
たぶん本当の理由は雄二と会うためのオシャレなんだろうな、と思ったが、口に出したりはしなかった。
どうせ聞いたって愛花がそんなこと答えてくれるわけないし。
というわけでポニーテイルの愛花を連れて雄二の部屋に入って行った。
部屋に入ると、もう銀河と葵は床の上に座って待っていた。
そして案の定、雄二は愛花の髪形を見て固まってしまっていた。
相変わらず面白い、っていうかわかりやすいヤツだ。
愛花も雄二のこの反応に満足の様子だった。
5秒ほどで立ち直った雄二を中心に、トランプが始まった。