第22話 海水浴1日目 Part3
沙耶たちが自分らのビーチのところに戻ると、雄二と銀河がすでに着替え終わって砂の上に寝転んでいた。
雄二はピンク色のビキニ姿の愛花を見て言葉が出ない様子。
何か言おうとしているのはわかるのだが、言葉になっていない。
銀河は最初こそ沙耶の水着をみて驚いていたが、今はとても嬉しそうな顔でこちらに近づいてきて言った。
「沙耶さん、それ買ってくれたんだ。うん、やっぱりすごく似合ってるよ。」
「え、そうかな?あ、ありがとう。」
「やっぱり沙耶さんには白が似合うね。すごい綺麗だよ。」
「銀河君、褒めすぎだよ〜〜・・・。」
水着を見せて銀河を驚かしてからかう予定だったのが、逆にこっちがからかわれてる気分だ。
「じゃあ、とりあえず泳ごっか♪」
この空気を打開すべく沙耶が言うと、
「おう、行こう行こう!」
とその言葉に便乗した雄二が、真っ先に海に飛び込んで行った。
残された4人も、笑いながら海に入って行った。
結局その後2時間ほど遊んだ後、一旦宿に引き上げることにした。
沙耶たちが銀河の車に乗って約10分ほどでそこに着いた。
しかし、そこにあったのは一般に「宿」と呼ばれているものではなく、
「豪華ホテル・・・。」
「豪華ホテルだ・・・。」
「豪華ホテルね。」
沙耶・雄二・愛花が揃って感嘆の声を上げていると、さらに驚くべきことが起こった。
何とホテルで働いている人の全てが外に出迎えているのだ。
改めて銀河の金持ちさ加減を実感してしまった。
当の銀河は慣れた様子で、おそらくこのホテルの管理人と思われる人にお辞儀をしてホテルの中へ入って行った。
沙耶たちも慌ててその後に付いて行った。
さすがに銀河なしでこの空気は耐えられなかった。
そして、行き着いた先は大広間だった。
そこには、先に持って行ってもらっていた5人のバックが置いてあった。
5人はそれぞれのバックの傍に座り、しばらく雑談した。
「相変わらずうちの両親は過保護なんだから・・・。あれほど普通のホテルでいいって言ったのに。」
と銀河が始終愚痴をこぼしていたのには皆苦笑いしていた。
こちらから見れば羨ましすぎる環境だからだ。
まあ、確かにさっきの出迎えは異様だったけど。
「じゃあ、そろそろ部屋に移動しようよ。部屋は個別?」
一通り話したいことは話しきった沙耶が訊くと、
「うん、個別。401〜405号室のどれ使ってもいいよ。ちなみにここが405号室ね。」
と銀河が返した。
一瞬部屋が静まり返ったような気がした。
そして、沙耶がおそらく誰もが思っているだろうことを言った。
「これ、部屋だったんだ・・・。」