第19話 ある晴れた日のこと Part2
散歩へ出た二人はとりあえず昼食をとることにした。
というのも銀河が歩いて5分ほどで空腹を訴えたからだ。
今日起きてからまだ何も食べてないそうだ。
それではお腹もすくだろう。
そういうわけで二人は駅前の喫茶店に入った。
銀河はサンドウィッチを、沙耶はそこまでお腹は減って無かったのでチョコレートパフェを頼んだ。
こうして、二人は昼食を食べながら(沙耶はチョコレートパフェだからどちらかというとデザートっぽいが)しばらく雑談していた。
食事がある程度進んだ頃、沙耶は一つ気になっていたことを聞いた。
「朝遅いって言ってたけど、葵ちゃんに起こされたりはしないの?」
「いや、葵はむしろいつも俺が起こしてる。」
銀河がサンドウィッチを食べながら答えた。
葵ちゃん、一体何時に起きてるんだろう・・・
というかそれ以前にご主人様に起こされるメイドって・・・
葵ちゃん、メイドの勉強する前にまずそこから頑張らないと。
沙耶が心の中で突っ込んでいると、
「じゃあ、そろそろ行かない?」
銀河が言った。
沙耶が驚いて顔をあげると、いつの間にか銀河の食器が空になっていた。
どうやら突っ込みを入れているうちに銀河の食事が終わっていたようだ。
「次どこ行くの?」
店を出て、商店街を歩きながら銀河に訊くと、
「決めてない。適当にブラブラ歩こうよ。」
といい加減な答えが返ってきた。
まあ、この計画自体最初からいい加減なものだったから仕方ないと言えば仕方ないが。
こうしてしばらくの間駅前の商店街をブラブラ歩くことになった。
しかし、この暑い中「ブラブラ歩く」という作業はなかなか辛いもので、30分ほどで二人とも汗だくになって疲れてしまった。
沙耶の提案で、駅前デパートに入ることになった。
まあ、沙耶が言い出さなくても銀河が提案してただろうけど。
デパートの中は冷房が効いてて天国だった。
二人はしばらくベンチに座って涼んだ。
沙耶が涼みながら前方を見ると、水着売り場があった。
もう海水浴の季節なんだな、と思いながら店頭に立っているマネキンの来ている白いビキニをじっと眺めてると、
「それ、沙耶さん着たら似合いそうだね。」
銀河に話しかけられた。
「いや、ああいうのってスタイルのいい人とかが着るもんでしょ?私じゃ無理。」
沙耶が自分の体を見ながら言った。
正直そこまで自分の体に自信はない。
「大丈夫、沙耶さんの体なら大丈夫だって。」
銀河が熱く主張したので、
「銀河君、その発言なんかセクハラっぽいよ?」
沙耶はサラッと微笑を浮かべながら返した。
「いや、そうじゃなくて・・・」
銀河は赤くなりながら、一生懸命取り繕おうとして何かブツブツ言っていたが、やがて沙耶の目を見てこう言った。
「でも沙耶さんなら絶対似合うと思う。」
普通なら適当に誤魔化していたのだろうが、沙耶は数秒間何も喋れなかった。
銀河の目はとてもまっすぐで。
嘘などは絶対についてないような目で。
沙耶は思わずドキリとしてしまった。
こんなこと今まで無かったのに・・・
数秒混乱した後、沙耶は微笑んで言った。
「そうね。じゃあ、考えとくね。」
こうして、二人は水着売り場を離れた。
二人はしばらくデパート内を色々歩き回り、デパートを出たのは結局5時すぎだった。
この後銀河が用事があるということで、駅で別れることになった。
沙耶は特に寄るところも無いのでそのまま帰宅した。
家に帰るとすぐに電話が鳴った。
相手は雄二だった。
「久し振り〜。来週暇かな?良かったら海でも行かない?良かったら・・・愛花も誘って。」
いつも通り愛花と出かけたいらしい。
沙耶はOKのサインを出すと、早速水着を買いに行った。
さっきのデパートに。