第17話 流れ星の夜
沙耶と葵が部屋に着いて皆に伝えて合宿所を出るまで1分かからなかった。
特に愛花と銀河はもうほとんど一瞬だった。
沙耶と葵の横をものすごい勢いですり抜けて行って、沙耶たちが着いた時にはもう高台で寝転がっていた。
沙耶は銀河の隣に腰かけた。
そして空を見上げて、
「うわぁ〜」
思わず声を上げてしまった。
すごく綺麗だったから。
丁度西の空だけが晴れており、そこに星が流れていた。
また周りに星が見えないのも、流れ星を際立たせていた。
他の4人も会話とかはほとんどせず、ただただこの風景に圧倒されていた。
それは後からくる先輩たちも同じだった。
皆来たはいいけど、そのまま固まってしまっていた。
しばらくして銀河が口を開いた。
「奇麗だね。」
「本当ね。」
沙耶が星を見ながらも答える。
すると、銀河が思いついたように言った。
「そういえば、さっきつけといたテルテル坊主と同じ方向だね、晴れてるの。」
沙耶はその方向を見て唖然とした。
確かにその方向につけてた気がする。
「だね!効果あったみたいね。」
「そうだね。あとでもう一回お参り行っとこうか。」
「うん。」
この日も結局望遠鏡の出番は無かった。
結局この3日間、望遠鏡は使わず終いだった。
何とも天体部らしくない合宿だった。
それでも皆満足だった。
こうして奇麗な流星群が見れたのだから。
次の日の早朝、沙耶と銀河は神社へお参りに行った。
テルテル坊主は、きちんと西の空を向いていた。