第13話 合宿2日目
2日目の朝。
沙耶は早めに目が覚めた。
別にこのまま2度寝しても良かったのだが、だいぶ汗をかいていたので一回風呂に入ることにした。
この合宿は3日目の流星群が本番なので、それまでは基本的に自由らしい。
だから朝寝坊しようが、いつ風呂に入ろうが何をしてもいいのだ。
ちなみにそういう人もいるので、朝食は用意されていない。
だから合宿の栞の持ち物の欄に「朝食用のパン、及び小腹がすいたとき用の食べ物」と書かれていたのだ。
というわけで沙耶は、持って来たクリームパンを一個食べてから風呂へと向かった。
朝早いせいか、風呂にはまだ誰もいなかった。
風呂に入りながら空を見上げると、雲がいくつも浮いていた。
今日も快晴というわけにはいかないようだ。
この調子で流星群が見れるのだろうか。
沙耶が色々考えながらお湯に浸かっていると、隣の男湯の扉が開いて誰かが入ってきた音がした。
そして、風呂に入ろうとして「熱っ!」と叫ぶ声が聞こえた。
その声でその人物が誰だか分かったので、壁越しに声をかけてみた。
「銀河君♪」
「え?その声は沙耶さん?」
声の主、銀河が答える。
「やっぱりそうか〜。もしかして私が起しちゃったとか?」
「いや。雄二君の足が腹に降ってきたんだ。丁度ミゾオチに入って死ぬかと思った。」
銀河が答える。
なるほど、それは痛そうだ。
それからしばらくの間、沙耶は銀河と壁越しに喋り続けた。
話題が途切れることはなかった。
銀河が相手だと不思議と話が続くのだ。
そうして話し続けているうちに沙耶は危うくのぼせそうになり、風呂から出た。
沙耶が更衣室から出ると、銀河が更衣室の前で待っていた。
そして、沙耶に向って手招きしていた。
「どうしたの?」
沙耶が尋ねると、
「いいから、ちょっと来て。」
と言って部屋へと向かっていった。
そして部屋の中に入り、中を見ると・・・
雄二と愛花が仲良く抱き合って寝ていた。
「本当に仲のいい二人だね。」
銀河が言いながら笑う。
「本当だね。」
沙耶もそう言いながら微笑んだ。
そして、抱き合っている二人を横目で見て笑いながら、沙耶と銀河は2度寝をしようと布団に潜り込んだ。
次に沙耶が起きたのは、愛花に蹴飛ばされて痛みを堪えている雄二のうめき声が聞こえてきたときであった。