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風学部基本科一年生の少年の話。

何やら体育祭で一年生はみんな目が死んでるようです。


〈今回の登場人物〉

・谷町くん

…体育祭の競技の練習は大変だった様子。学校にもそろそろなれてきた。幼なじみがいる。

・樋口さん

…最近新聞部に入った。サイドポニーだったりする。

 地獄をみた。

俺はこの学校の体育祭をなめていた。


 国立魔法学校体育祭当日。

それは春の陽気でありながらもうすぐ夏が迫るようにも感じられる日だった。

 今年の春、この学校に入学した俺は少し変わった校風と上級生の奇行に悩まされながらも少しずつ毎日の出来事に耐性ができていた。

もう火学部寮が爆発しても私はなにも感じない、と火学部に進学した幼なじみは言っていたが、俺も自分の寮が竜巻の被害あったり、突如十センチ浮いたとしても動揺しなくなった。

一つある弊害と言えば、ちょっと生活しにくいくらいだ。

だからだろうか、俺は油断していた。

先輩たちが自分たちの遙か斜め上を容易にぶち抜く思考の持ち主であった、ということをまだ完全に理解しきっていなかったのである。


 来たる体育祭当日、前日まで先輩方による無駄に力の入った競技の指導により俺たち一年はすでにくたくただった。

さらに先輩の中で風学部でありながら水属性の治癒魔法を使える人がいたので、しごかれては回復のループにより、始まる前から精も根も尽きていた。

 そんなわけで開会式が終わり、一年の競技はまだだったことから俺はふらっと少し人混みから離れて日陰へ移動した。

するとそこには例の幼なじみがいた。

あっ、といって彼女は俺の方へやってくると

「最近、というか昨日までどうだった?」

となにやら死んだ目で話しかけてきた。

「お察しの通り。お前は?」

俺が返事をすると

「私のとこも同じ。あと水学部と土学部の友達にも聞いてきたけどどこも同じような惨劇だったみたいね」

と他の学部情報までさらっと教えてくれた。

こいつは昔から情報を集めるのが好きなんだから新聞部にでも入ればいいと思う。

なんだかんだとうだうだ世話話をしていると一つ目の競技が始まろうとしていた。

一つ目は二年生による五十メートルらしい。

先輩方が横四列に並んで、最前列がクラウチングスタートの体勢をとる。

そしてスタートの合図がなった。


爆発が起きた。

直後その爆煙の中から四人がものすごいスピードで出てくる。

どうやら今の爆発は火学部の人が原因らしい。

次に風学部の人が突風をおこしグラウンドに土埃が舞う。

あれ正直目に入ったら相当痛いと思う。

土埃のせいでやや一歩風学部がリードしたが、水学部の人が地面をぬかるませ走りづらくする。

そしてぬかるみをすぐに直した土学部が落とし穴を作り、見事一位でゴールした。


最初のレースを見届けた幼なじみが言う。

「あれ、五十メートルってこんなに長かったっけ」


つっこみどころはそこじゃない。

つっこむべきはスポーツマンシップの行方だろ。

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