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土学部魔法工学科二年生の少年の話。

何やら怪しい行動をとる二年生の四人組がいるようです。


〈今回の登場人物〉

・砂原くん

…ゴーレムは俺の嫁と宣言できる。男性が入ると社会的に死亡する場所を聖地とつい呼んじゃうあれな子。

・竜田くん

…実は下着フェチらしいとかそうじゃないとか。

・清水くん

…スライムをめでるのが主な仕事(自称)。

・穂波くん

…砂原くんの怒りをかってしまった模様。あんちきしょー。

・先輩さん

…別にゴーレムに対して恨みがあるわけではない。余談だがよく購買の手伝いをしている。


 火学部の野郎どもに火力テストのため貸し出した僕の自立型水陸両用ゴーレムを逃がした。

火学部の寮棟が爆発するなんていつものことだ。

うちの寮棟の下が地盤沈下するくらいいつものことだ。

だからってピンポイントで僕のゴーレムが逃げ出すなんて。

 確かにやつら火学部は四つの寮棟の中で一番の損傷率を誇る。

……まあ、二番手は僕ら土学部寮なわけだが。

そんなやつらのところに僕の大切なゴーレム、いや愛娘というか息子を貸した僕がいけないのか。

それともこれは爆発で驚いてしまって逃げ出すくらい自我のあるゴーレムを生成できたことに喜ぶべきなのか。

ていうかどうやって探そう。

あれは風学部にも協力してもらったため、隠密性に優れている。

見つけるには困難を極めるだろう。


「どうすればいいんだぁぁぁああ!」


 うんうんと寮のコミュニティースペースの床で悩んでいた僕に、

近くを通りかかった女子たちがうわーきもーとひそひそ言いつつ早歩きでここを通過していった。

はっは、馬鹿め。スカートの中が丸見え……じゃなかった。

つくづく女子は残酷な生き物だと思う。


ん?


女子?


……


「そうだっ、なんで僕はこんな簡単なことに気がつかなかったんだ!」


 僕のゴーレムは自立型といえどまだまだ知能は低い。本能で動くはずだ。

そして肝心のゴーレムの行動パターンのデータはあの『変態』と名高い風学部から採らせてもらったのだ。

だから僕のゴーレムは

「女子の近くに必ずいる……!」

候補としては女子更衣室、女子トイレ、女子風呂等が思いつく。

だがこれらの場所は男子禁制の場、いわば聖地だ。

例え女子がいない時間帯でも、過去、歴代屈指の才能を持つ女子生徒が作り上げたという自動探索型無差別級進入者撃退ガーゴイルがおり、通常では突破は不可能。

だが、僕の子なら、そこを突破できる才能がある。自信はある。

ならば、気がつかれずにゴーレムを回収するには風学部の力が必要だ。

風学部は聖域のためなら命なんておしくない。むしろ体なんていらない、風になりたいと言い切る。

たぶん聖地に進入するという行為だけでゴーレム回収作戦協力の代金になるだろう。



 風学部寮まで来た僕は早速ゴーレム生成のとき協力してもらった男子生徒の部屋を訪ねた。部屋にあがらせてもらい彼に作戦の説明と協力を依頼する。

彼は話を聞き終わった後、静かに言った。


「ガーゴイル包囲網の突破……、面白い」


「協力させてもらおう」


彼の快諾に僕は思わず頬を緩める。さすがは僕の同志。

「まずは戦闘要員に火学部、敵を錯乱させるために水学部、それぞれ一人をスカウトしにいこうじゃないか」

彼は僕ににやりと笑いかけたのだった。



 この後すぐ僕らは水学部のスライム大好き人間を捕獲。

火学部にて僕の子逃がしやがったあんちくしょーも簀巻きにした。

ついでに拠点もあんちきしょーの部屋にしたやった。

 なんだかんだでノリノリになり、綿密な計画を練っていた僕らは小腹をすかせたため、食堂に向かうことになった。

相変わらず簀巻きのあんちきしょーを引きずっていることには誰もつっこまない。

横を通る一年生が二度見するくらいだ。

二年生以上は見向きもしない。

僕も一年生の頃はきっと二度見しただろうけど今じゃ日常の一コマだ。

きっと感覚が麻痺したのだろう。

しかし三つの学部+1の生徒がこうして手を取り合って協力しているをみるとなんだか感慨深い気がする。

嗚呼、友情っていいなと思っていた僕だったのだが、

火学部寮の出入り口にて恐ろしい光景を目にしてしまった。



「焼きゴーレムー、焼きゴーレムはいらんかねー」



そう言う一人の女子生徒の傍らには

所々黒焦げてロープでグルグル巻きになり引きずられている僕の子がいた……



風学部に転入して風になって消え去りたいと思った。



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