幽霊はつらいよ。
おれさ、死んだんだよ。
え?なぜかって?
決まってんだろ、事故死だよ。事故死。
自殺する理由なんてないし、
この若さで天寿を全うするワケないし、
病気で死ぬ程身体弱くないし。
うん、事故ったんだよ。
なんとなく買い物行ってたら、頭に鉄骨振ってきてさ、
それで即死だよ。
全く、
人生何が起こるか分かったモンじゃないよ。
買い物行って天国逝くなんて。
…うまくない?ゴメンね。
それでさ、
今、
おれってば幽霊なんだよ。
え?どんな感じだって?
それがさ、
あんがい面白いんだぜ。
自分の葬式見たり、
人にとりついたり、
本屋で立ち読みし放題だし、
女の裸見れるし、
…最後のは卑猥だった?
難しい言葉知ってんね、
悪かったね。
とにかく、
楽しいんだわ。
幽霊の友達も出来たし、
それなりにエンジョイしてんだわ。
………………、
……でもね、
でもね、たまにね、
とっても、
とってもとっても、
とおっっっっっても、
虚しくなるんだよこれが。
友達は最初、
おれ死んだとき、
みんなそろって、
「命日には来る」
って、言ってくれるんだよ。
でもな、
そんな約束守るヤツなんて、
誰もいないんだぜ。
みんな口だけなんだよ。
それにさ、
みんな大人になって、
夢を叶えたりするけどさ、
おれ、死んじゃったから、
夢も将来もないんだよ。
ただ、そこにあるだけなんだよ。
けっこうキツいぜ、これ。
そうゆうとき、
幽霊の友達が慰めてくれるけど、
本当に寂しいときは、
ついつい、
化けて出ちゃうんだ。
それで怖がらせちゃってさ。
ホント、悪いことしてるなーって、
後悔しちゃうんだよ。
……ホント、
イヤになっちゃうんだよ。
それにさ、
たまにハンバーガーが食いたくなった時、
おれ幽霊だから、
食えないんだよ。
正直言うと、
そっちの方が、
おれにとって重要な問題なんだけど。
……何がいいたいかって?
そりゃあ、もちろん、
生きるって、それなりにすばらしいって事だよ。
だってさ、
ハンバーガー食えんだぜ?
夢追いかけられんだぜ?
女の身体触れんだぜ?
…ああ、悪かった悪かった!
卑猥でした!スミマセン!
………………、
……ホント、
昔に戻りたいよ。
……フッ、
何、爺臭いこと言ってんだか、
アホらし。
……まあ、アンタに話せて、
少し、
楽になったわ。
あんがとな。
また、
暇な時にくるわ。
もしかしたら、
そんときには、
おれ、天国に逝ってるかもしれないけど、
おれ、アンタのこと忘れないからさ、
アンタも、
……アンタも、おれのこと、忘れないでくれや。
人は、
人に忘れ去られた時に死ぬって、
誰かが言ってたから。
アンタが忘れない限り、
おれ、こんなんでも、
生きてるから。
ずっと、
友達とか、
家族とか、
先生とか、
好きだったあの子とか、
……アンタとか、
この世の全ての人間、
みんな、
みんな、
見守っているから……、
…………………、
すっかり話し込んじまったな。
………また来るわ。
じゃあな。
幽霊のキモチを考えて作ってみました。
皆様も、この子のことを忘れないでいてくれたら、
こんなに嬉しいことはありません。
ご感想、お待ちしてます。