幸せの定義 [千文字小説]
終わり方が微妙ですが、よろしくお願いします。
「好きだけど、兼弘は私の方に振り向いてくれないもん・・・」
「だから、もういいんだ・・・」
「影から見守ってやることができるなら・・・」
斎川安奈は、幼馴染の鈴木兼弘に恋をしていた。
いいや、今もしていることはしている。
けれども、その想いは決して届かない。
それは、私と兼弘が幼馴染だから…。
『なんで、私達は幼馴染として産まれてきたんだろう?』
私は、兼弘のことを想うと、いつもそんなことを思う。
だって、そういうものじゃないの?
幼馴染が結ばれるのは漫画の中か、神様に幸せを頂けた“ホンの一握り”の人達だけ。
だから、神様から見捨てられた私は幸せになれないの。
―――――*―――――*―――――*―――――
そんな私は、一緒にいる人はそん時によって違ったりするが、大抵は兼弘と安藤創の二人といることが多い。
そんなもう一人の親友的存在に、自分の気持ちを告げた。
と言っても、こいつも幼馴染のような存在であるが、恋愛的感情は勿論無い。
なぜなら、私が兼弘と出会ったのは、赤ちゃんの頃。
けれど、創と出会ったのは小学校に入学した頃。
だから、創は友達としては好きだけれど、恋の相手ではなかった。
とにかく、そんな創に告げると、創はため息を一度吐いて私に言った。
「お前がさ、、、」
「兼弘のことを好きだってのは知ってたよ?」
「けどさ、 そんなことはどうでもいいんだよ!」
「俺が言いたいのは、そんなことじゃないんだ!」
「一体、そのお前が言う“幸せの定義”は誰が決めたんだ?」
「神様っていう奴か?それとも、世間っていう奴か?」
「違うだろ、お前自身だろ??」
「お前は兼弘の気持ち知ってるのか?」
「知らないだろ?聞いてもないんだし、勝手に諦めてるんだから・・・」
「だから、好きなら嫌われるぐらい傍にいろよ!」
「兼弘に幸せになって欲しいなら、まずお前が幸せになれよ!!」
「自分は諦めるから、テメーは幸せになれって?」
「そんなの可笑しいだろ!?馬鹿みたいだろ!?」
「そうは思わねぇか?」
確かに兼弘の言う通りかもしれない。
私は、心の中で勝手に“負け”と決めつけていたのかもしれない。
好きって気持ちもまだ伝えてないのに、勝手に諦めていただけなのかもしれない。
だから、心の内をさらけ出してからでも、いいのかもしれない。
せめて、「好き」ってことだけでも言おう。
じゃないと、創のいう“私の幸せ”も来ないと思うから。