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第5章 支え続ける影


洞窟の入口は、

黒く口を開けていた。


中から、

冷たい空気が流れ出す。


ガルドは、

剣を抜いた。


「気を抜くな」


ミレイアは、

弓に矢をつがえる。


ロシュは、

短剣を逆手に持つ。


エナは、

最後尾。


心臓の音が、

やけに大きい。


一歩、

足を踏み入れる。


暗い。


松明の光が、

壁に揺れる影を映す。


ぽた、

ぽた。


どこかで、

水の落ちる音。


「軽量化」


エナは、

小さく唱えた。


光は、

ほとんど見えない。


それでも、

確かに放たれている。


通路を進む。


しばらくすると、

前方に気配。


スライムが、

二体。


「弱いが、

油断するな」


ガルドが前へ。


剣が振り下ろされる。


一体目が、

弾ける。


二体目が、

ロシュへ飛ぶ。


「集中補助」


エナの魔法。


ロシュの動きが、

わずかに鋭くなる。


短剣が、

正確に核を刺す。


戦闘終了。


「……やっぱりだな」


ガルドが、

ぼそりと呟く。


ミレイアは、

何も言わない。


だが、

視線はエナに向いている。


洞窟は、

奥へ続く。


分かれ道。


ミレイアが、

地面を観察する。


「左に、

足跡が多い」


「右は、

最近通ってない」


「左だな」


進路決定。


エナは、

歩きながら

魔法を重ねる。


軽量化。


持続回復。


疲労軽減。


小さな魔法。


小さな光。


誰も、

気づかない。


それでいい。


しばらく進むと、

物音。


ゴブリン、

四体。


数が増えた。


「囲まれるな」


ガルドが吠える。


一体が、

ガルドへ。


二体が、

ロシュへ。


一体が、

ミレイアへ。


エナは、

必死で考える。


誰が、

危ない。


ロシュだ。


まだ、

若い。


「集中補助!」


ロシュの背に、

淡い光。


ガルドが、

一体を斬る。


ロシュが、

二体目を刺す。


だが、

三体目の棍棒が、

ロシュの肩をかすめた。


「小治癒!」


傷が、

すぐ塞がる。


ロシュは、

驚いた顔で

自分の肩を見る。


「……助かった」


その一瞬の隙に、

ミレイアの矢が

ゴブリンを貫く。


残り一体。


ガルドが、

叩き斬った。


戦闘終了。


洞窟に、

荒い息だけが残る。


ガルドは、

肩で息をしながら言う。


「……お前」


エナを見る。


エナは、

びくっとする。


「地味だけど」


一拍置いて。


「いないと、

困るな」


胸が、

ぎゅっとなる。


言葉が、

出てこない。


ミレイアは、

静かにうなずく。


ロシュは、

照れたように言う。


「……本当」


エナは、

視線を落とす。


涙が、

こぼれそうだった。


支え続ける影。


それが、

自分の居場所。


今は、

それでいい。


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