第19章 選択
夕暮れ。
宿の部屋。
エナは、
ベッドに腰かけ、
杖を見つめていた。
静かな評価。
中級下位相当。
その言葉が、
頭から離れない。
自分は、
まだ最底辺の治癒師。
そう思ってきた。
でも。
現実は、
少し違う。
ノック。
ロシュが、
顔を出す。
「話、いいか」
エナは、
うなずく。
ロシュは、
椅子に座る。
「誘いが来てる」
エナは、
胸が跳ねる。
「……誰から?」
「中級パーティ」
空気が、
重くなる。
「支援役が
欲しいってさ」
エナの頭が、
真っ白になる。
引き抜き。
ガルドと、
ミレイアは?
「断った」
ロシュは、
すぐ言う。
エナは、
目を見開く。
「え?」
「決めるのは、
お前だ」
ロシュは、
真剣な顔。
「でも、
俺は……」
言葉を切る。
「一緒にやりたい」
胸が、
締めつけられる。
その夜。
四人で、
簡単な夕食。
ガルドが、
言う。
「話は聞いた」
ミレイアも、
うなずく。
沈黙。
エナは、
俯く。
自分が、
足を引っ張るのが
怖かった。
でも、
置いていくのも
怖い。
ガルドが、
短く言う。
「選べ」
「俺たちは、
止めない」
ミレイアが、
続ける。
「どこに行っても、
あなたは
あなた」
ロシュは、
何も言わない。
エナは、
手を握る。
震えている。
頭では、
分からない。
でも。
胸の奥に、
答えがある。
「……ここに
いたい」
声が、
小さい。
でも、
はっきり。
ロシュが、
笑う。
ガルドは、
うなずく。
ミレイアは、
静かに目を閉じる。
エナの目から、
涙が落ちる。
選択。
それは、
自分で決めた
初めての
大きな一歩だった。




