第11章 連携
ダンジョンの奥へ進むほど、
空気は張りつめていった。
湿った石の匂い。
遠くで、
何かが動く音。
エナは、
胸の前で
杖を握りしめる。
怖い。
それでも、
足は止まらない。
ミレイアが、
手を上げる。
「止まって」
全員が、
動きを止めた。
床の一部が、
わずかに沈んでいる。
「圧力式の罠」
ミレイアが言う。
「踏むと、
天井から槍が落ちる」
ロシュが、
顔を引きつらせる。
「嫌なやつだな……」
ガルドが、
壁沿いを指す。
「端を行けば、
踏まない」
ミレイアは、
うなずく。
一人ずつ、
慎重に進む。
エナは、
最後。
足を出す前に、
小さく唱える。
「軽量化」
自分に。
少しでも、
踏み込みを
浅くするため。
無事、
通過。
胸を撫で下ろす。
「いい判断」
ミレイアが、
小さく言った。
エナの頬が、
少し熱くなる。
先へ進むと、
広い部屋。
中央に、
石の台座。
周囲に、
魔法陣。
「……来るな」
ガルドが言う。
床が、
淡く光る。
魔法陣が、
起動した。
骸骨兵が、
次々と現れる。
五体。
「数が多い」
ロシュが叫ぶ。
エナは、
息を吸う。
「軽量化」
「集中補助」
「持続回復」
一つずつ、
確実に。
ガルドが、
正面突破。
ロシュが、
側面から斬る。
ミレイアは、
後方支援。
エナは、
戦況を見る。
ガルドの動きが、
少し鈍い。
「集中補助」
重ねる。
ロシュが、
囲まれかける。
「軽量化」
すぐに、
方向転換。
ミレイアの矢が、
骸骨の頭を砕く。
一体、
二体。
エナは、
休まない。
小治癒。
持続回復。
小治癒。
誰も、
倒れない。
骸骨兵、
全滅。
静寂。
四人の息だけが、
響く。
「……すげぇな」
ロシュが言う。
「なんか、
噛み合ってる」
ガルドは、
剣を拭きながら言う。
「エナが、
見てる」
エナは、
驚く。
「……え?」
ミレイアが、
うなずく。
「誰が危ないか、
誰に何が必要か」
「それを、
ちゃんと選んでる」
エナは、
何も言えない。
そんなつもりは、
なかった。
ただ、
必死だった。
それだけ。
ガルドが、
短く言う。
「いい連携だ」
その言葉で、
胸が熱くなる。
連携。
自分も、
その一部。
エナは、
杖を握り直した。
まだ、
自信はない。
でも。
仲間となら、
進める。
そう、
思えた。




