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第10章 試験依頼


朝食を終え、

四人はギルドへ向かった。


石畳を踏む足音が、

不思議と揃っている。


エナは、

そのことに気づき、

小さく胸が温かくなった。


ギルドの掲示板前。


人だかりができている。


「中級ダンジョン調査」


大きな文字。


エナは、

思わず立ち止まる。


中級。


自分たちには、

まだ早い。


そう思った。


ガルドは、

腕を組む。


「報酬は、

悪くねぇな」


ロシュが、

目を輝かせる。


「強くなれるやつだ」


ミレイアは、

紙をじっと見る。


「罠が多いって書いてある」


「戦闘より、

対応力が問われる」


エナは、

胸を押さえる。


怖い。


でも。


ミレイアが、

エナを見る。


「あなたの魔法、

向いてる」


「……え?」


「小さい補助を、

切らさない」


「罠にかかっても、

立て直せる」


エナは、

言葉を失う。


ガルドが、

紙を剥がした。


「やるぞ」


「試験みたいなもんだ」


エナの心臓が、

大きく鳴る。


試験。


自分が、

試される。


依頼を受け、

準備を整える。


回復薬。


簡易松明。


縄。


エナは、

自分の杖を

何度も確認する。


折れていないか。


石は、

欠けていないか。


小さな不安を、

一つずつ潰す。


昼前。


ダンジョン前。


岩山の裂け目に、

入口がある。


冷たい風が、

吹き出していた。


「入るぞ」


ガルドの声。


エナは、

深く息を吸う。


――大丈夫。


そう、

自分に言い聞かせる。


中は、

思ったより広い。


天井も高い。


壁に、

古い文字。


読めない。


ミレイアが、

注意深く進む。


床を、

棒で叩く。


「罠あり」


細い穴。


矢が飛び出す仕組み。


ロシュが、

感心する。


「見つけなきゃ、

死んでたな」


エナは、

小さく震える。


歩きながら、

魔法を使う。


軽量化。


持続回復。


集中補助。


小さく。


確実に。


しばらく進むと、

魔物の気配。


巨大な虫型魔物。


キチン質の外殻。


※キチン質とは、

甲殻類の殻のような

硬い外皮のこと。


「正面突破だ」


ガルドが前へ。


エナは、

ロシュを見る。


「集中補助」


ロシュの目が、

鋭くなる。


ガルドの剣が、

外殻の隙間を狙う。


ミレイアの矢が、

関節を射抜く。


虫が、

悲鳴を上げる。


エナは、

小治癒を重ねる。


誰も倒れない。


戦闘終了。


ロシュが、

息を吐く。


「……いけるな」


エナは、

小さくうなずく。


まだ怖い。


でも。


逃げたいとは、

思わなかった。


試験依頼は、

始まったばかりだった。



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