表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覇狼、地を貫く  作者: 神箭花飛麟
臥竜、雲を掴む
19/24

XVII 再会

時代考証などはすべて集英社「アジア人物史 第5巻 モンゴル帝国のユーラシア統一」に拠ります。

西夏から十日。

舜とタリゲーンは、アウラガに戻ってきた。

「やっと着いたな」

タリゲーンが言った。

「はい...」

舜は疲れていた。

だが、無事に帰れた安堵感もあった。

「まず、殿に報告だ。ついて来い」

「はい」


---

二人はテムジンのゲルに向かった。

途中、訓練場を通り過ぎた。

兵士たちが訓練している。

その中に―

一人の少女がいた。

馬に乗り、弓を構えて、的を狙っている。

放つ。

シュッ

的に当たった。

「よし!」

少女が別の大人と喜んでいる。

舜は何気なく見た。

だが―

(...あれ?)

何か、引っかかった。

少女の声。

どこかで聞いたような...

「舜、どうした?」

タリゲーンが呼んだ。

「あ、すみません」

舜は慌てて追いかけた。


---

テムジンのゲルに着いた。

「殿、戻りました」

タリゲーンが報告した。

「おお、よく戻った」

テムジンが笑った。

「で、どうだった?」

「はい。西夏は、予想通り衰えていました」

タリゲーンが詳しく報告する。

舜も記録を渡した。

「ふむ...」

テムジンが読んでいる。

「よくやった。舜、お前も成長したな」

「ありがとうございます」

「ゆっくり休め。また後で話を聞く」

「はい」


---

ゲルを出た。

「舜、疲れただろう。休んでこい」

タリゲーンが言った。

「はい、ありがとうございます」

舜は自分のゲルに戻った。

荷物を置く。

(やっと帰ってきた...)

舜は横になった。

だが、眠れなかった。

(さっきの少女...)

なぜか、気になる。

(どこかで...)

舜は起き上がった。

鞍の袋から、緑の本を取り出した。

久しぶりに開いてみる。

少し忘れかけている日本語が並んでいる。

(この本...一体何なんなんだ)


---

その時、外から声が聞こえた。

「星歌、もう一回やってみろ」

さっきの大人の声だ。

(星歌...?)

舜は息を呑んだ。

その名前。

聞き覚えがある。

(まさか...)

舜は外に飛び出した。


---

訓練場に走った。

そこに、さっきの少女がいた。

大人が弓を教えている。

「もっと腕を伸ばせ」

「はい」

少女が弓を構える。

舜は近づいた。

心臓が激しく打っている。

(まさか...まさか...)

少女が矢を放った。

的に当たる。

「よし、上手くなったな」

アーチャイが褒めた。

「ありがとうございます!」

少女が笑顔になる。

その声を、舜ははっきり聞いた。

(...星歌!?)

舜の手から、本が滑り落ちた。

バサッ

音がした。


---

少女が振り向いた。

目が合った。

一瞬、時が止まった。

「...え?」

少女が呟いた。

舜も動けなかった。

(星歌...星歌だ...!)

少女―星歌も、舜を見つめている。

(この人...知らないはずなのに...)

星歌の目が、舜の足元に落ちた本に向いた。

緑の本。

(...!?)

星歌は自分の馬の鞍の袋に手を伸ばした。

中から、同じ緑の本を取り出す。

二つの本。

まったく同じ。

「...その本」

舜が震える声で言った。

「あなたも...持っているんですか?」

星歌も震えていた。

「はい...子供から...」

「夢の中で...?」

「...はい」

二人は見つめ合った。


---

「まさか...」

舜が一歩近づいた。

「星歌...なのか?」

「...え?」

星歌が驚いた。

「なんで...私の名前を...」

「俺だ。舜だ」

「...!?」

星歌の目が見開かれた。

「舜...!? 嘘...!?」

「本当だ」

舜が頷いた。

「星歌...本当にお前なのか?」

「舜...!」

星歌が駆け寄った。

二人は抱き合った。


---

「舜...舜...!」

星歌が泣いていた。

「誰かに会いたかった...ずっと...!」

「俺も...」

舜の目にも涙が浮かんでいた。

「ずっと探してた...」

二人は、しばらく抱き合っていた。

周りの兵士たちが、不思議そうに見ている。

アーチャイも、驚いた顔をしている。

「...お前ら、知り合いか?」

アーチャイが聞いた。

「はい」

舜が答えた。

「友達です。日本で、知り合いだった」

「...日本?」

アーチャイが首を傾げた。

「説明は後で...」

舜が星歌を見た。

「星歌、お前も...あの本で?」

「うん...飛行機が墜落して...」

「飛行機...?」

「あ、ごめん。説明するね」

二人は座った。

お互いの話を始めた。


---

舜は、図書館で本をもらったこと。

草原に飛ばされたこと。

テムジンに拾われたこと。

星歌は、留学の飛行機で本をもらったこと。

墜落したこと。

ボオルチュに拾われたこと。

二人の話は、ほとんど同じだった。

「...信じられない」

舜が呟いた。

「俺たち、同じように...」

「うん...」

星歌が本を見つめた。

「この本が...私たちをここに連れてきたんだね」

「そうみたいだ」

舜も自分の本を見た。

「でも、なんで...?」

「分からない...」


---

その時、ボオルチュが来た。

「何事だ?」

「ボオルチュ殿」

舜が立ち上がった。

「この人は...俺の友達です」

「...友達?」

ボオルチュが星歌を見た。

「はい。日本で、ずっと一緒だった友人です」

「ほう...」

ボオルチュが興味深そうに見た。

「お前も、不思議な奴だと思っていたが...」

ボオルチュが笑った。

「二人揃って、か」

「...すみません」

「謝ることはない」

ボオルチュが二人を見た。

「殿に報告しろ。きっと、面白がる」


---

その夜、舜と星歌はテムジンに呼ばれた。

二人並んで、跪いた。

「顔を上げよ」

テムジンが言った。

二人は顔を上げた。

テムジンは、二人を見比べた。

「友達、か」

「はい」

舜が答えた。

「同じ本を持ち、同じようにここに来た」

テムジンが笑った。

「面白い」

「...申し訳ありません」

「謝ることはない」

テムジンが立ち上がった。

「むしろ、好都合だ」

「...え?」

「舜一人でも優秀だった。二人なら、もっと使える」

テムジンが星歌を見た。

「星歌、お前も舜と同じように、俺に仕えろ」

「...はい!」

星歌が頷いた。

「よし」

テムジンが満足そうに言った。

「これで、俺には二人の史官がいる」


---

ゲルを出た。

二人は、夜空を見上げた。

星が輝いている。

「舜...」

「うん」

「会えて、よかった」

「俺も」

舜が星歌を見た。

「これから、一緒に頑張ろう」

「うん」

星歌が笑った。

二人は、同じ空を見上げた。

運命が、二人を繋いだ。

そして、これから二人は、歴史の目撃者として、共に歩んでいく。

草原の風が、二人を包んだ。

レビュー、評価、感想をしてくだされば嬉しいです!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ