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プロローグ

時代考証などはすべて集英社「アジア人物史 第5巻 モンゴル帝国のユーラシア統一」に拠ります。

本棚の前を通りかかったとき、ふとだれかに呼ばれたような気がして、舜は足を止めた。

「すみません。」とその子は言った。学校の図書館には明らかに異質である子どもだ。まだ十才にもなっていなさそうなその子は一冊の本を持っていた。

「この本を読んでくれませんか。」と彼は言った。舜はとまどったが、何かその本を読まなければならないような使命感に駆られた。

「わかった。」と舜は言い、その本を受け取った。緑色の表紙で題はない。なぜかとても懐かしいように思い、舜は本を開いた。

何時間が経っただろう。彼はその場にいることも忘れ、夢中でその本を読んでいた。本の半ばまで来たとき、舜ははたと気づいた。自らの周りがどこか異国の地になっていた。表紙のような緑色の草原である。雲と草しか目に入らない。「ここは・・・」と彼は呟いた。その時、なぜか馬蹄の音が聞こえてきた。

彼が手にしていた本はモンゴル帝国を築いた英雄チンギス・ハンの一生を描いた物語である。彼の若い時の名はたしかテムジンといった。馬蹄の音が近づいてくる。「子どもか。」とその男は言った。

なぜかその人がテムジンその人だとはっきり分かった。「この者を連れていくのですか。」と側近らしき男が言う。「珍しい服を着ているようだし、何よりここの者ではない。優秀な文官になりそうな目をしている。連れていく」とテムジンが言う。なぜ彼らが喋っている言葉もわかるのかはわからない。

だが、どうやら自分が今読んでいた本の主人公の家に行くことができるらしい。

「俺の家は子供が何人もいて、皆暴れん坊だからな、うるさいぞ。」と言ってテムジンは笑った。とりあえず行くしかないと舜は思った。

世界に選ばれたのだと感じる。これがユーラシアの歴史を変える大きな出会いだとは、誰も知る由がなかった。側近らしい男がため息をつく。どうやらいつものことのようだ。

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― 新着の感想 ―
大きな話の始まりですね ジンギスカンはモンゴル騎兵とか。あの雰囲気はすごく憧れますよ 異世界転生ならぬ過去への転移、大変ですけど羨ましいですよ
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