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日本への帰郷

第15話です。

ここから新たな展開を迎えます。


ホードラー王国は無くなり、日本はホードラーを含めた地域の開発を進める。

だが、まだまだ難問は山の様に残っていた。


第15話「日本への帰郷」お楽しみください。

ホードラー王国が地名を日本領ホードラー地区と名前を変えたのは王国滅亡から3日後の事だった。

これを持ってホードラーは地区の名前となり、シバリアも王都では無くなった。

しかし、まだ元王国南部は抵抗の姿勢を崩していないばかりか、西部に至っては隣国の動きの活発化により不穏な情勢が続いていた。

西部の諸侯は隣国の動きに逃げられず、仕方なくそれぞれが独立の構えで動いたのだ。

結果、西部では小国が無数に誕生し戦国時代の様相となり、南部では南部諸侯連合が出来上がりホードラー、シバリア奪還の動きを見せる事になる。

しかし、一方の日本も動けなかった。

アルトリア領域の開発と資源調査、そして何より日本の備蓄資源の問題でこれ以上の軍事行動が取れなかったのだ。

その為、南部諸侯連合に対してはシバリア南部の森林地帯を境に防御線を構築、防御の構えを取り、西部に関してはレノン前の川「リバティ」を防御線にして同じく防御体勢を取るに留めた。

また、王国滅亡に伴い新たに法を制定、布告して治安維持を図った。

王国滅亡に便乗して商人やファマティー教会が活発に動き、商品の値上がりや暴動が発生したからだ。

これに対して北野は商品の便乗値上げは独占禁止法を適用、教会の暴動に対しては首謀者たる教会関係者逮捕に留め、参加者たる市民に対しては寛容に努めた。

その為、シバリアは占領してから1週間で沈静化、商人は大人しくなり、教会の暴動も市民が参加しなくなり次第にその影響力を喪っていった。

また、北野は日本の法をほぼそのままに施行し、思想、宗教、信条の自由を保証し、税も王国時代の6公4民から3公7民へと半減化させて不満の解消を行った。

そのかいあってか、異教徒弾圧、迫害は行われなくなった。

やったとしても新たに配備されたホードラー治安警備隊(日本の警察関係者を幹部に現地人で構成)によって逮捕、拘束され裁判にかけられる。

そう言った様々な手で民衆の信頼を得ると共に、不穏分子の排除を行っていた。


―――6月30日、東京内閣総理大臣官邸。


鈴木は一枚の報告書を手にわなわなと震えだしていた。

「油田が・・・確定した・・・」

久方ぶりの朗報だった。

戦争中に発見された油田は間違いなく油田として存在しており、しかも埋蔵量は日本がフルに使っても数百年かかると言う試算だった。

その報告に鈴木は日本にようやく明るい兆しが見えた気になった。

しかし、まだ問題は山積みだ。

何せ採掘開始までまだ時間がかかる上に輸送手段がタンカーしかない。

そこで鈴木はパイプラインの製造を同時進行させる事にした。

とはいえ、正式な採掘さえまだなのに見切り発車過ぎるとの批判もあったが、僅かでも時間短縮になるなら、と油田から調査派遣隊基地港湾までのパイプラインを作らせた。

また、これに先だって調査派遣隊基地も名称をアルトリア基地とし、アルトリア領域を正式にアルトリア地区として制定した。


「日本に残った全能力をまず油田に傾けて、それ以外の資源は引き続き調査だな」

伊達が鈴木の苦労を労りながら言う。

「ああ、ただホードラーの鉄鉱山などから微々たる量でも入って来るからな。しばらくは持つだろう」

所詮は先伸ばしだがな。

と自嘲気味に言った鈴木は、それでも安定供給が可能になる努力は惜しむつもりはない。

「うむ、出来れば南ホードラーを完全に支配下に置きたいな。あそこはホードラーでも屈指の資源地帯らしいからな」

ホードラーの国力情報が揃いだした今だから言えるが、どうもホードラーは南部が資源地帯、東部が農業、漁業地帯、西部が畜産地帯と分けられていたのだ。

とは言っても、あくまでもそう言う形に旧王国がしていただけなので調査次第ではまだまだ資源があるかも知れなかった。

「現状は無理だな。これ以上は日本の寿命を縮めるだけだ。今ある領域を開発して力を持たなければならない」

鈴木の言葉に伊達は残念そうにしていた。

このまま南部も独立してもらい、対等な国交を持ち貿易、とも考えたが、南部の南部諸侯連合はあくまでもホードラーの奪還を掲げており極めて敵対心が強い。

これでは国交など結べない。

「西部の独立した諸侯も似たようなものだが、まだそっちは何とか交渉次第だな」

伊達はそう言って席を立った。

そろそろ記者会見しなくてはならないからだ。

「もうそんな時間か・・・よし、行こう」

鈴木はそのまま立ち上がると記者会見に望んだ。

日本国民にこの報告書にあった事を伝えるために、そしてその為の協力を求めるためだった。


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