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レノン占領と王国の終焉3

「何故ですか?」

残念ながら外交に疎いカトレーアはそのまま聞いてしまう。

だが、北野はそれを未熟とは思わなかった。

経験者ならともかく、外交とは無縁の身でありながら良くやっていると言う印象があったからだ。

「当然ながら武装解除はして頂きますが、我々はこの街を確保したいだけですからね。そう言う意味では降伏でも逃亡・・・逃亡とは良い表現ではありませんね。ここは放棄としましょう。まあ、どちらでも構わないのです」

北野の話に騎士たちも騒然となる。

はっきり言えば「王族の身柄に興味がない」と言うのに等しいからだ。

「・・・それは私たちに誇りを失わせる不名誉な選択ですね」

敢えてこう言う事で北野の真意を引きずり出そうとする。

しかし、北野にそんな手は通じない。

「我々も名誉や誇りを大切にします。ですがそれは何に対して・・・かの違いではありませんか?」

北野はそう良いながら笑う。

その様子に、ある程度だがどれだけの修羅場を潜って来たのかが伺えた。

「名誉や誇りを守るのも重要かも知れませんが、その為に大局を身誤るのは如何でしょう?この場合、命と言う実を取ることも必要だと思いますよ」

そう言った北野をカトレーアは見つめる。

そこに確固たる意思が込められているように思えたのだ。

「我々が言いたいのはただ一つ、この街、レノンを我々に引き渡して頂きたい。その形がどうであれ我々は貴女方の身の安全を保証致します」

驚きの提案であったが、カトレーアは即答を避けた。

不名誉な選択かもしれないが、北野の言う様に実を取ることも必要だ。

「では回答は皆と協議してからしたいと思いますが・・・よろしいですか?」

カトレーアの言葉に北野は勿論、と答えた。

「分かりました。結論はそんなにかからないでしょうが、しばらく別室にてお待ちください」

会見はここまでだった。

北野はどう言う形であれ無血開城がなった事を確信し、カトレーアはどう言う形であれ自分の為に血が流れずに済む事を確信した。



しばらくたち、北野が再び呼び出された。

カトレーアたちが正式回答をすると言うからだ。


(・・・予想より早かったな。これは最初から結論を出していた様だ。やれやれ、私もまだまだ甘い・・・)


北野は自分のやり方を反省しながらカトレーアの前に出た。

カトレーアたちの様子からして覚悟は決まっている様だ。

「私達の意思をここにお伝え致します」

ただ決まった事をそのまま伝える事務的な儀式の様だが、だからこそ形式は必要なのだ。

「私達は日本に全面降伏しこのレノンを引き渡します」

カトレーアの言葉に北野は放棄を選ばず降伏を選んだ意図を読む。


そうか、だからこそ慕われているのか・・・。


北野は街の住人を残し一人逃げるのを良しとしないカトレーアに敬意を持った。

「分かりました。日本国は貴女方を含めこの街の住人に一切の危害を加えない事をここに誓約いたします。万が一の時は厳罰をもってあたります」

北野がカトレーアに敬意を持って接する事で逆に信頼を持ってもらえる様に仕向けた。

あざといと言えばあざとい。

しかし、外交とはそう言うものだ。

それに向こうがその真意に気付かなければ美談で終わる話だ。

「ありがとうございます」

端的に感謝の言葉をカトレーアが口にする。

「では、降伏となりますと武装解除を・・・」

北野がそう言った時、騎士の一人が怒鳴り声を挙げた。

「姫様の身をお前らに任せよと言う気か!」

突然の事態に北野も面食らった。

だが、平静を装い冷静に場を分析する。

「お止めなさい。降伏した以上は仕方ありません。この上は潔く身を任せましょう」

カトレーアの言葉に怒鳴り声をあげた騎士が大人しく引き下がった。

「では、武器などの引き渡しは・・・」

カトレーアがそう言い出したのを制し北野が話をしだす。

「いえ、武装解除は兵士や民間人に限らせて頂きます。王女様やその護衛の方々のはそのままで結構です」

北野はそう言って先程の非礼を詫びた。

万が一彼等が何かしらしようとしても、直ぐに鎮圧できるのもあったが、最低限の武装をしないとやはり安心出来ないからだろうと考えたからだ。

「お心遣い感謝いたします」

カトレーアはそう言うと頭を下げた。

「ご安心を、貴女方は我が国のお客様として丁重に扱わせて頂きます」

北野はそう答えると背後に立ったままの二人に自衛隊の進駐を指示した。

これを持ってレノンは日本の占領下になる。

そして、この日から2日後、何ら抵抗も受けずに王都シバリアを占領する事に成功した。


その日を持ってホードラー王国は歴史より姿を消し、大陸における日本の領土となった。


時に6月22日、開戦より約二週間の事であった。


やっと戦争が終わりました。

これで漸く国内となったアルトリア領域における開発に専念できそうです。


さて、ある意味これで一つの区切りになると思いますが如何だったでしょうか?

文章力が乏しいので読み辛い、分かりにくいとかあったと思いますが、そこは今後の成長(作者的なw)を待ってください。


その上で皆様が楽しく読めたのであれば書き手としてこれ程喜ばしい事はありません。


では、次回でまたお会いしましょう。


ここまで読んでくれた皆様に感謝の言葉を!


ありがとうございます。

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