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ミューリの活躍4

そのままミューリは兵士たちの話に耳を立てて情報を集めつつ、更に厨房などを行ったり来たりしながら隙を見て館の間取りを頭の中に入れていく。

こう言うのは彼女が昔からやっていた仕事柄、得意中の得意な事柄と言えた。

とは言え、余り時間もかけれないので水汲みに行かされたついでに館内を探索してみた。

そうすると館の一角だけがやけに警備が固く近寄り難い箇所を発見する事ができた。

今まで集めた情報から推測するに、逃げ出した領主以外の人物が指揮を取っており、自衛隊を釘付けにしつつ脱出するための準備中であると言う話らしい。

そして、街の人々が守りたいと思えるだけの器量を持つその人物は王族関係者であると言う話も聞けた。

詳しく調査したいところだが、いつまでも留まればその分危険が益す。

そして自分を心配してくれる人たちを早く安心させる為にも素早く離脱しなくてはならない。

(今夜にも街を出ないと・・・)

ミューリはそう判断した。



ミューリは夕闇が迫るなか、館の敷地の一角に潜んでいた。その時、近くで話し声が聞こえてきた。

「もうすぐだな」

「ああ、そしたら俺たちは降伏するんだっけ?」

「おう、一応庶民には寛容らしいからな」

「どうなるか怖かったと言えば見逃してくれるさ」

どうやら警備についている街の人々が話をしている様だ。

「姫様が無事逃げれるといいな」

「そうだな。王族でありながら俺達の味方だった方だしな」

ミューリは驚いていた。

まさか匿われている人物が王族関係者どころか王族そのものなのだ。

しかも姫様と言う呼び方からして考えると思い付く人物は一人しかいなかった。

(これは・・・凄い話を聞いちゃった)

ミューリはそう思い夜の闇を待った。


日も暮れ、周囲が暗くなったのを見計らい館を脱出する。

しかし、前日と違いやけに警備が厳しい。

(潜入がバレた?いやこれは・・・)

どうやら脱出が近い為にやや殺気だっている様だった。

これは脱出が難しくなる。

そう考えて暗がりを利用して街のなかを走り抜けた。

気配を消しながら城壁に近付いたが、脱出を目前にして油断したのか、それともしばらく落ち着いた生活が続いていたために腕が鈍ったのか分からないが発見されてしまう。

「誰だ!」

城壁まで後一歩の所で発見されたミューリは背後から呼び止められたが、こうなれば、とそのまま城壁に向かって走り抜けた。

「待て!」

「侵入者だ!」

「逃がすな!」

後ろから追跡してくる人々の気配を感じる。

ミューリはそれでも慌てずに城壁に備えられた階段を一気にかけ上がると自分が侵入に使った足場を目指した。

しかし、そこには既に人が集まり足場には到達できない。

「しまった!?」

顔を隠した状態とは言え、正体を知られるのは不味い。

「もう逃げられんぞ!」

「おとなしくしろ!」

降伏しろと言わんばかりの怒鳴り声にミューリは沈黙しつつ懐に忍ばせた円筒形の物体を取り出す。

佐藤が持たせてくれた閃光手榴弾だ。

扱い方は一緒に居たときに教えて貰っている上、実際に使って(佐藤はそれで高橋に殴られているが)みた事もある。

夜の闇に目が慣れてる彼等には強力な武器になる。

ミューリはピンを抜くと懐から取りだし地面に転がした。

一瞬、ミューリを追ってきた兵士や住人の目が見たことのない物体に向く。

その隙を見逃さずにミューリは城壁の外に向けて走り出した。

「待て!」

男たちが制止をかけるが当然無視して鉤爪付きのロープを取り出す。

直後、閃光手榴弾は炸裂し、激しい光と音で男たちの視界と耳を封じた。

「うあぁぁぁ!」

「ひぃ!」

男たちは悲鳴をあげてその場に伏せる。

それを確認しないでミューリは鉤爪を城壁の縁に引っ掻けるとそのまま城壁の外に躍り出た。

一瞬の浮遊感の後、下に向かって落下するがミューリはロープを握りしめ、落下にブレーキをかける。

革手袋が摩擦で焼け付く嫌な音と臭い、そして両手が焼け付くほど暑くなるがかまわない。

だが、地面までまだ幾らかあると言うのにロープはそこまで届かない。

以前の冒険で短くなっていたのだが、補充する機会が無かったのだ。

だがロープの終点間近で完全に落下を止めると、そのまま手を離し下へと落ちていった。


第13話はココまでです。


今まで日本や王国の主要人物ばかりで影の薄いミューリを前面に押し出してみました。


もうちょいどうにかならんかったのか?

とも思いますが、まあ、勘弁してください・・・。


で、では次回またお会いしましょう!w

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