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ミューリの活躍2

翌朝、早くに行動を開始した高橋たちは見渡す限りの平原に存在する城壁を見付ける。

「あれは城壁都市レノンです」

ミューリが自身の知る知識を持って高橋たちに説明する。

「レノンは城壁に囲まれた都市ですが、今では城壁も古く駐留できる戦力も限られて戦略的意味が無くなってますね」

ミューリの説明に佐藤がなるほど、と頷く。

「城壁は街そのものを守るには向いてますが発展性が限られますからね。結果、昔の状態からほとんど発展出来てないのでしょう」

流石に歴史に強いだけあって佐藤の知識はここでも力を発揮できている。

そう言う意味では佐藤の様な人間が一番適応する世界とも言えた。

「でもよ、城壁が邪魔でもその周りを開発すりゃ良いんじゃね?」

佐藤の説明を聞きながら井上は思った疑問を口にした。

「言うほど簡単じゃないですよ?城塞都市は防御を考えた作りです。でも、更に周りに街が広がったらそれを守る為にまた城壁を築かないと意味がなくなりますから」

高橋はその話を聞いて考えていた。

今の高橋たちからすれば城壁は何の役にも立たない。

火砲で吹き飛ばせば良いからだ。

しかし、この世界において日本以外の国に火砲はない。

ならば、自分たちが使う分には強力な陣地になるまいか?

「また高橋が難しい事考えてるぞー」

井上があきれた様に言った。

「真面目過ぎんだよ」

笑いながら言う井上に高橋が反論する。

「お前は不真面目すぎる」

高橋の切り返しに周りで笑いが起きた。

佐藤も笑いを堪える様にしてるが漏れているようだ。

「俺が考えてたのはさ、俺らなら城壁をどう利用するかだよ」

やっぱり真面目な話か、と井上は天を仰ぐようにぼやいた。

「いやいや、考えてみろよ?この世界じゃ発展性のない一時的な陣地にしかならないだろうけど俺らが関与したら?」

その高橋の言葉に佐藤がハッとなった。

「成る程、僕たちなら城壁と言う形に拘りませんからね。それをやれば街は発展性を維持しつつ要塞になり得ますよ」

一人で納得する佐藤の首に腕を回しながら井上はどう言う事か聞いた。

「簡単です。城壁じゃなく水路なら?水運を利用して発展出来ますし、城壁の様に資材集めしなくていいんですよ」

佐藤の答えに井上が成る程、と頷いた。

自衛隊は接近戦をする必要がない。

それなら下手に視界を塞ぐ壁よりも視界が確保でき移動を制限できる水路は最良と言えた。

また、レノンの近くには大きな河があるのでそれを利用できる。

「まあ、あのレノンは自衛隊の基地にするには良い位置にあるしな」

そう言いながら高橋は部隊にレノン入りを指示した。

ここの諸侯は情報によれば既に街を捨てているらしい。

略奪もせずに慌て逃げ出している様なので食料配布なども必要ない。

今回ばかりは楽に行けそうだと楽観していた。

だが、そんな予想とは裏腹に意外な事態が巻き起こる。


「・・・誰だよ、楽なもんだと抜かしたのは」

トラックの周囲に展開しながら井上が愚痴を言う。

「まさか、こんな抵抗を受けるとはね」

高橋も自分たちの見通しの甘さを痛感していた。

彼等の目の前には武器と言うにはお粗末過ぎるものが手にされていた。

木の棒にナイフなどをくくりつけた槍とか、こん棒、そして農具を持った人々が城門の前に陣取り、高橋たちの侵入を拒んでいた。

「・・・さすがに民間人相手だと・・・」

佐藤も想像していない事態に顔面蒼白だ。

ここに来てまさか民衆が彼等に抗戦しようとする等考えもしていない。

「しばらくはにらみ合いだな」

高橋が諦めた様に呟いたが、流石に民衆を相手に武力でどうこうする訳には行かない。

だが、高橋は何故民衆が自分たち自衛隊、いや、日本を拒むのか?

多少なりとも情報が欲しいと思った。


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