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ミューリの活躍

第13話です。


一つ一つが短いのに良くここまで来たものです。


まあ、私の話はどうでもいいのでw

本編をお楽しみください。

「・・・いい加減休みが欲しい」

夜営の準備をするため火をおこしていた井上が何の前触れもなくぼやく。

佐藤も気持ちは一緒だったが、それよりも任務でしょ?と井上のぼやきに返す。

「ここんところ働きずくめだ!いい加減休みてぇよ!」

井上の愚痴に高橋がため息をついた。

確かに働きずくめだった上に、どうしようもない連中に接して来たのだ。

肉体的と言うより精神的に疲れたのだろう。

「首都を落とせば休めるさ」

気休めにもならない言葉だが口にせずにはいられないのは高橋も疲れているからだろう。

「大体よぅ、上は俺らを便利屋か何かと勘違いしてんじゃねぇか?」

井上の言葉に高橋が動きを止める。

そう、基本的に特殊任務部隊は自衛隊に取って構ってられない様な事柄を解決するために作られたと言っても過言ではない。

高橋にはそれがわかっていたのだ。

「そ、そんな事はないと・・・思うよ?」

あからさまに怪しい態度に井上が何かを察した。

「テメェ・・・知ってやがったな?」

唐突に井上が殺気立つ。


不味い、こいつ本気だ。


とは思ったが後の祭りである。

「知ってて俺らを・・・」

ゆらりと立ち上がると井上は89式小銃を手に取った。

「待て!早まるな!」

慌てた様子の高橋にじりじりと井上が近付いて行く。

完全に戦闘体勢だ。

「それに昇進したじゃないか!?」

高橋が必死の説得を続けるが井上の心には届いていない。

「日本でなきゃ使えないのに昇進して給料増えてもうれしかねぇよ!」

後は取っ組み合いである。

お互い気心が知れた仲であるので、あくまでもふざけているだけなのではあるが、この部隊に案内役として共に行動するミューリには不思議な光景と言えた。

「喧嘩するならご飯あげませんよ?」

子供をたしなめる様に言われた二人はようやく大人しくなった。

「10歳は離れた女の子に叱られるなんて・・・自重してください」

佐藤が止めを刺した。

見事な一撃に二人は本気で膝をつき項垂れた。

その様子に他の仲間が笑っていた。


食事を終えると後はトラックの周辺で交代で見張りをしながら翌朝まで待機だ。

ただしミューリだけは一人トラックで一晩中休める。

冒険者として活動してきたと言ってもやはり高橋たち自衛隊と一緒では疲れが溜まる。

高橋たちは大丈夫でもミューリの様な少女には厳しいのだ。

「あの子は寝たみたいですよ」

一回りしてきた佐藤が焚き火に辺りながら言う。

高橋と井上はそうか、と言うと佐藤にコーヒーを渡した。

「頑張るな・・・あの娘も・・・」

井上がミューリの働きを感心した様子で誉めていた。

「・・・色々思うところがあるんだろ」

高橋はミューリが案内役として着いてくると言った時、やっぱりな、と言う感想を持っていた。

「ずっと彼女や彼女の村を迫害してきた王国がボロボロになっていくんだ。ある意味復讐のつもりなんだろう」

日本なら、あの年頃の女の子は友達と遊び、おしゃれを楽しむ。

もしかしたら恋人とかも居たのかも知れない。

だが、彼女は村の為に金銭を稼ぐため、危険の中に自ら飛び込んで行っていた。

その身の上を聞いた彼等はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。

それでも気丈に頑張る姿に高橋たちは出来る限りの力になってあげようと思う。

「宗教が違うだけで哀しむ事になるなんて・・・酷い世の中だよな」

井上は隠して持参したウイスキーを一口含む。

それを咎める気は誰にもない。

皆出来れば酒でも飲んで忘れたかったからだ。

「だが、忘れちゃならない。この世界ではそれが正しいんだ。むしろ俺達が間違いなんだ」

高橋の話に納得なんかできない。

井上はそう思いながらも高橋もまた心を痛めているのを知っていた。

「だから、傲慢かも知れないが俺達が新しい価値観を作るんだ」

その瞳に宿りし決意の強さは誰もが知っている。

だからこの隊の仲間は高橋に着いていこうと心から思っていた。


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