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混乱4

伊庭の提案にしばし場が静まり返る。

現状、調査は日本の国境内に限っており、外には向けていない。

国境近辺から遠方観測するに止めていたのだ。

今のところそれだけで朝鮮半島や台湾、並びに千島列島が確認されないため、別の世界であるのは分かっていたが、万が一にもまだ見ぬ別の国と争いになるのを防ぐ為だった。

何よりもこの世界の文明レベルが解らないのだ。

領空侵犯などして問題を作るわけには行かないのだ。

こればかりは戦後の日本に慢性的に存在する事無かれ主義が未だにあると言う証明だろう。


「しかし、それは・・・」

外務大臣の橋波秀昭はしばひであきが口を濁す。

この世界の国家と問題になった場合、真っ先に彼の元に来る。

橋波はそんな面倒事はごめんだった。

「ですが、現状海しか観測されない以上は敢えてやらねばなりません。まさか引きこもって日干しになれとでも言いますか?」

伊庭はまだ若い(それでも40代半ば)せいか、やや挑発とも取りかねない言動をする。

橋波はそんな伊庭に反論した。

そう言う意味では橋波もまだ政治家として若いのだろう。

「もし何かあったらどうする?誰が責任をとるんだね?」

鈴木は橋波のそう言う物言いがあまり好きになれない。

その為、思わず鈴木が橋波に食いついてしまった。

「責任云々の問題ではあるまい。この日本が飢えるかどうかの問題だぞ」

流石に橋波も鈴木にそう言われては言葉を飲み込むしかない。

確かに今のままでは国全体が飢餓に見舞われるのだ。

「はっきり言って3ヶ月以内に何かしらの食料や燃料の供給元を確保しなければなりません」

そう告げる阿部の表情は暗い。

「食料は備蓄に続いて自給率向上名目で事前に行った事業である程度の供給は可能です。ですが石油などのエネルギーは・・・」

彼の表情の暗さは、事前から石油の備蓄や太陽光発電をはじめとした各種エネルギー確保事業が、軌道に乗るどころか前段階で転移してしまった事による。

「いや、構わん。どのみち3ヶ月程度で出来る事ではなかった」

慰める訳では無いが鈴木はそう言って阿部の苦労を気遣った。

「そうは言うが石油資源だけでなく、各産業に欠かせない各種資源不足の問題もある」

伊達の言葉は日本の将来に暗雲が立ち込めているのを表していた。

「はっきり言って、発表を前倒しするのは難しいんじゃないか?」

友人たる伊達の心配は分かっていたが、鈴木はここら辺りが引き延ばす限界だと思っていた。

「いや、国民はそろそろ現実を知りたいだろう。これ以上の情報統制も難しくなる。ならば・・・」

正直、鈴木に取っても一つの賭けだった。

食料、燃料は配給性にしなければならない上、先が見えないストレスに国民がいつまでも耐えられるとは思えない。

何よりも事実を知らない野党やマスコミ、国民が鈴木を政権から下ろしたがっている。

今の状況で悠長に解散総選挙などやってなどいられない。

そんな事をすれば自滅するだけだ。

「ならば国民に真実を告げ、ある程度でもいい。希望を見付けるまで俺は独裁者となる」

そう言う鈴木の目には汚名を被る悲哀と決意の光が宿っていた。


導入はここまでになります。

初心者なので上手く伝えられてないかもしれませんが、これからもお付き合いいただけると幸いです。

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