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勝者と敗者

王国軍の総力を挙げた戦いは日本の圧勝で幕を閉じた。

だが、明暗を分けた戦いもまだここで終わってはいない。


第11話「勝者と敗者」お楽しみください。

闇が下り、辺りが静けさに包まれる。

そんな中を疲れきった表情で兵士たちは歩いていた。

その兵士たちは元はきらびやかな青い鎧を着ていたはずだが、今では血や泥で薄汚れていた。

ファマティー教の聖堂騎士たちだ。

あの一方的な殺戮の場から一足先に逃げ出していたのだ。

ハーマンはその様子に何故こうなったのか分からないと思う。

信心厚き自分たちが何故こうも無残を晒しているのか?

神は我等を見捨てたもうたのか?

そんな疑問を思いながらハーマンは聖堂騎士に守られる形でホードラー王国王都シバリアへと向かっていた。

「大司教様、味方の陣が見えて来ました」

1人の聖堂騎士が疲れた様子のハーマンに伝えた。

それを聞いたハーマンは前を見る。

木々の間から松明の明かりがちらほらと見えている。


ようやく休める。


そう思いハーマンは安堵していた。

そこには自分たちを待ち受けるものたちが居るとも思わずに・・・。


「一足先に行って食事を用意させなさい」

ハーマンは聖堂騎士に命じると少しでも早く休みたいと願った。

聖堂騎士の1人が走って陣に向かって行くが、突然その聖堂騎士が力なく崩れ落ちる。

何が起きたのか分からない様子のハーマンを訓練を積んだ聖堂騎士たちが壁となり守りの体勢を取る。

だが、飛んできた何かがが爆発しその壁をなぎ倒した。

爆音と同時に森のあちこちから断続的な小さな破裂音が響き、直後聖堂騎士たちがバタバタと倒れて行った。

「て、敵襲!」

「ハーマン大司教を守れ!」

「何処だ!何処にいる!?」

口々に叫びながら倒れていく聖堂騎士たちは為す術がない。

「あ、ああああ!わ、私を護れ!護るんだ!」

馬上から必死の形相でハーマンがわめき散らす。

しかし一際高い位置にいて目立つハーマン程狙いやすい目標はない。

しかも大声を出すので誰が指揮を取っているかバレバレである。

「準備よし」

静かな口調で高橋の部下がいつでも撃てる事を報告する。

「よし、あの煩いのを黙らせろ」

高橋の指示に84mm無反動砲を構えた部下が照準を合わせる。

この84mm無反動砲、元はカールグスタフと呼ばれる物でスウェーデンで開発された物だ。

無反動砲は発射と同時に後方に向けて同質量の物体、もしくは発射ガスを後方に噴射して発射時の反動を押さえた携行式の砲だ。

砲弾も対戦車榴弾から榴弾、照明弾、発煙弾と幅広い。

その性質上発射時に後ろに居たら危険極まりなく、またこの84mm無反動砲は発射時に後方に噴射ガスを出すので夜間であれば爆炎等で目立つ事この上ない。

しかし、一撃で彼等を無力化させるのには都合がいいのも確かだ。

「了解」

84mm無反動砲を構えた部下は答えると即座に無反動砲を発射する。

激しい爆音と共に打ち出された榴弾は真っ直ぐにハーマンの足元付近に向けて飛翔し、壁となっていた何人かを貫き爆発した。

ハーマンは悲鳴をあげる間もなく馬と聖堂騎士と共に吹き飛び、その肉片を辺りにばらまいた。

「だ、大司教!?」

生き残った聖堂騎士たちはハーマンの姿を探すが原形を止めぬ程にバラバラになったため、ハーマンを見つけることは叶わなかった。

そして、追い討ちの様に飛来する銃弾の前に聖堂騎士たちも直ぐにハーマンの後を追うことになった。


「状況終了、次に備えろ」

動く者が居なくなったところで高橋は次の王国軍迎撃の準備をさせる。

おそらく此方の存在には気付いているはずだからだ。

生き残る為に必死になるであろう彼等を相手にせねばならないが、挟み撃ちになっている事実を知らしめる為には必要な事だった。


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