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圧倒3

ホードラー王国軍先鋒を任されておきながらラークは目立った戦果も無いことを部下から突き上げられていた。

親が貴族と言うだけで粋がる子供の相手などしていられないラークは、ひたすら聞き流すだけにしていた。

「ラーク騎将!夜襲を仕掛ければ勝てます!」

若い騎士が血気にはやった目でラークに詰め寄るが、ラークは相手にしない。

その代わり部下の魔術師が答えていた。

「夜襲をするにしても、隠れる所など無いぞ?夜陰に紛れたから夜陰になる様なものではない」

夜襲は相手も警戒していると魔術師は主張したが、若い騎士たちは、蛮族にそんな知能はない!と言って聞き入れない。

その様子にラークはいよいよ我慢が限界に近付いていた。

「ラーク騎将!やるべきです!偉大なるファマティー神が我等の信仰心を試しておられるのです!」

神の名を盾に主張する若い騎士をラークは睨み付けた。

はっきり言ってラーク自身は神がどうのこうのなどどうでもよかったのだか、神の名を出されて何もしなければ異端者扱いされかねない。

何せ今回はファマティー教から聖戦認定された戦争だからだ。

しかし、だからといって無駄に消耗させる訳には行かない。

「よかろう、やってみるがよい」

ラークの言葉に若い騎士たちは喜び勇んだ。

「ありがとうございます!」

若い騎士はそう言い、取り巻き連中も自分たちの意見が通じて浮かれていた。

が、ラークはそこまで甘くない。

「ただし!気取られるといかん。君らの部隊だけだ」

ラークの通達に数が足りなくなり、今度は一斉に不満を言い出す。

コロコロ変わる態度に疲れながらラークはそれ以上は認めなかった。

「大勢で奇襲なんて無理だ。攻撃も一撃離脱に努めよ」

有無を言わさぬ迫力に若い騎士たちは押し黙ったが、その目には不信感が宿っていた。

もっとも、そんな事は知ったことではない。と言った風に背中を向けたラークを恨めしい目で見ながら彼等は天幕を出ていった。

「よろしいのですか?」

配下の魔術師がラークの意思を確認する。

そのラークは、せいぜい痛い目を見れば身の程がわかると言うものだ。

と冷たく突き放した。


「あの臆病者め、俺らで戦功を挙げて目にもの見せてやる」

若い騎士たちは口々に不満を口にし、ラークの消極的態度を批判した。

結局、若い騎士たち率いる500の兵が夜陰に紛れて自衛隊の陣地へと密かに動き出した。

しかし、その動きは自衛隊に筒抜けだった。

どんなに注意して隠密行動を取ろうと、事前に設置されていたセンサーや暗視装置で警戒されていれば丸見えも良いところだ。

しかも、狭い平地にはクレイモア対人地雷がまだまだ残っている。

森はその様子をカメラで見ながら飛んで火に入る夏の虫だな、と言った。

即座に戦闘配置が連絡され、全員が攻撃体勢に入る。

高橋は暗視ゴーグルを着けて銃を構えた。

「まだ撃つなよ。引き金に指はかけるな」

静かに指示を出し、ホードラー王国軍部隊の動きを見る。

約500人程の歩兵を中心とした部隊が平地の草地を慎重に進んで来ていた。

しかし、そこはクレイモア対人地雷が大量に配置されている。

中には遠隔起爆形式でタイミングを見計らって起爆できるものも混ぜられていた。

そして、遂に引っ掛かった者が出る。

炸裂音と共に悲鳴がこだました。

死ねた者はまだいいだろう。

だが、中途半端に怪我をした者は長く苦しみながら息絶えて行かねばならない。

「くっ!またあの魔法か!?」

クレイモアの存在など知るよしもない騎士たちは魔法の餌食にならない様に身を伏せた。

しかし、魔法ではないので身を伏せたから大丈夫と言うものでもない。

暗視ゴーグルを着けた井上は、同じように狙撃任務を負った少数と同じように射撃許可のもと正確に騎士や兵士を撃ち抜いて行く。

最早一方的な殺戮の様相だ。


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