開戦へ3
「そうか、我らの慈悲を拒否したか・・・」
ホードラー王国、国王であるフーリエ・ホードラー四世はただそう言った。
カストィーアは自身の力無さを詫びるため頭を垂れている。
「まあ良い、我が王国の力を見せてやろうではないか」
王の言葉に玉座の間にいる騎士たちが雄叫びをあげる。
如何に騎兵300が葬った力を持とうと、ファマティー神の加護ありし王国軍を前にしては人たまりもあるまい。
そう思うとフーリエ王は立ち上がり宣言した。
「兵を集めよ!諸侯に召集をかけよ!神と王国の力を蛮夷どもに見せ付けてやろうぞ!」
王の宣言に将軍が我も我もと先陣を願い出る。
その前にハーマン大司教が歩み出てきた。
「陛下、我がファマティー教も僅かながらではありますがお手伝いさせて頂きます」
ハーマンはそう言うと、教団より届いた書状を手渡す。
その内容を読み終えたフーリエ王は明るい顔を上げた。
「おお!ファマティー教より聖堂騎士を派遣してくださると!?」
フーリエ王の言葉に勝利が決まったかの様な歓声が挙がる。
「この戦は聖戦に認定されるのですか!?」
将軍の一人がハーマンに詰め寄る。
ハーマンはそれに頷き、ファマティー神の御心です。
と祈りを捧げる。
感極まった様に玉座の間は熱気に包まれた。
そして国内に早馬が駆け巡る。
異教徒を庇いし悪魔の国、日本を討つ!
と言う檄文がホードラー王国内を駆け巡っていった。
戦争の機運が高まり、国外よりも傭兵が集まるのにそうは時間はかからなかった。
一方の日本はと言うと、戦争になると言う鈴木の発表に騒然となるも、突き付けられた要求に国民の多くが憤りを見せた。
しかも、その様子を撮った映像が公開されるとホードラー王国に対する怒りが多くを占めた。
本来ならば他人事の様に海の向こう側の事と無関心であったかもしれない。
しかし、転移して不安ばかりの中でも政府は国民生活を守るための努力を続けていたのは国民の知る所となっていた。
それでも一部野党やマスコミはこぞって反戦運動を展開したものの、目立った効果が無いまま自衛隊の大規模導入が決定した。
限りある資源の問題から、言うほどの数ではないが、一個師団、一個旅団に匹敵する動員は戦後日本に取って初めての事だった。
日本は決断した。
抜かずにいた刃を抜くと言う決断を・・・。
それは戦後、眠っていた日本の魂を呼び覚ます事になった時と言われた。
はい、これで第7話終了です。
ちょっと無理矢理な展開だった気がします。
もうちょっとのんびりやっても良かったかな・・・とw
なにはともあれ皆さんお疲れ様です。
私も2話続けて書いてちょっと疲れましたw
では、第8話でお会いしましょう。