表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/68

共存への出発地点

日本は保護した難民に生活のための支援を開始する。

それは難民達の想像を遥かに超えた能力を示すことになる・・・。

それが作り出すのは恐れか?

それとも・・・?


第6話「共存への出発地点」

お楽しみください。


尚、本話から投稿文字数の増減が激しくなりますw

日本に保護された難民たちは保護された日からずっと圧倒され続けていた。

彼等の為に自分たちの住居さえまだ出来ていないのに、1日と掛からずに自分たちの住居(プレハブ住居)を建ててしまい、更に食事も与えてくれた。

今までの自分たちには考えられない事ばかりだ。

そして、一番の驚きは火を使わない明かりだ。

彼等にジエイタイと呼ばれる軍人の一人は「デンキ」と説明してくれた。

最初はデンキが恐ろしい魔法なのかと疑ったものの、笑いながら使い方を説明してくれた軍人が実演し害が無いことを示すと物珍しさもあって着けたり消したりを繰り返してしまった。

更に、翌日には集落となった所の真ん中に井戸を掘ってくれた。

何もかもがあっという間にやってしまう自衛隊は魔法使いの集団なのかとさえ思う。

しかし、逆に何故こんなに親切にしてくれるのか?裏があるのでは?と疑ってしまった。

今まで迫害ばかり受けてきた人々に取って同じ仲間以外から親切にして貰う事など無かったからだ。

だが、ここに来て幾つかだが理解した事もある。

自衛隊は規律正しく、そして礼儀を持って接する事が出来る極めて優れた軍隊だと。

そして数日がたった今ではこう言える。

彼等自衛隊、日本人は馬鹿がつくほどお人好しで優しく、親切な人々なのだと・・・。

でなければ自分たちさえ大変な状況でここまではできない。

そう言う意味では彼等難民たちは初めて救われ、初めて対等に付き合ってくれる国と出会えたのだ。

そんな彼等が日本に一時的な保護ではなく、日本と言う国で生きていきたいと思うことは決して不思議ではない。


―――5月28日調査派遣隊基地・・・近郊


この日、高橋たちは自分たちが保護した難民の集落を訪れていた。

高橋たちに取って貴重な休日ではあったが、あれ以来難民たちと接する機会がなかったのだ。

今どうしてるか?ときになり行ってみる事になった。

「高橋さん、井上さんようこそ!」

簡単な柵で囲まれた集落の入り口付近でミューリが出迎えてくれる。

「ありがとうミューリちゃん」

井上が普段の暢気さと調子の良さを発揮する。

そんな井上にミューリも笑いながら答えた。

「皆さんどうぞゆっくりしていってください」

ミューリはそう言って二人を集落に案内する。

集落では難民たちが持ち出せなかった農具などを近くの森から伐採した木材などを使って作っていた。

その様子を見た高橋は、複雑な物では無いものの、自分たちで物を作れる彼等を凄いと思った。

「ここら辺は水捌けも良いし日当たりも良いので畑を作るのに絶好の場所です」

明るく言うミューリの姿は少女らしい本来在るべきの姿があった。

難民たちは種籾や苗などは少数だが何とか持ち出す事は出来たらしく、それを元に作物を作る事にしたのだ。

しかし問題もある。

井戸から水を運び出すのは効率が悪い。

しかし、この辺りに川があるかも分からないのだ。

その為、家庭菜園程度の耕作面積しか維持できない。

「まあ、何とか食べて行けると思いますよ」

そうは言われたが、このままでは不味いと思ったのか、高橋は持っていた無線機を使う。

「あーこちら特別任務部隊の高橋だ」

高橋の突然の行動にミューリが何をしているのかと目を白黒させていた。

そんなミューリに井上が丁寧に説明してくれる。

「高橋は無線機と言う道具で離れた人と会話しているんだ」

それを聞いて驚く表情を見せた。

初めてあった時は魔法を使っていたのかと思ったが、井上は魔法ではない科学技術だと言うのだ。

それはつまり、資質が無い誰でも使い方を知っていれば使えると言うことになる。

「ミューリちゃんたちには魔法に見えるだろうけど、俺らはミューリちゃんの友達のシャインちゃん見たいに魔法は全く使えないからね」

事も無げに言う井上の話にミューリが真剣に頷いた。

こう言うのを見ると、日本と言う国がどれだけ並外れた存在であるかが分かると言うものだ。

「・・・では、その様に手配してください」

話終えたのか高橋がミューリに向き直る。

「一応近くに川があるから、そこから水を引くよ」

高橋はあっさり言ったが、ミューリからすれば大変な作業に思えた。

「そんな・・・川があるなら私たちが何とかしますよ?」

どうせ手が空いてるのだ。

何日かかろうと水を引く為の水路ぐらいは自分たちでやろう。

ミューリは村人たちはきっとそう言うと思い高橋に提案した。

だが、高橋はそんなミューリの頭を撫でながら笑った。

「なに、手が空いてる施設科連中が簡単な水路ぐらいは直ぐに作ってくれるよ」

高橋は笑っていたが、ミューリは笑えなかった。

何せ本来なら数日かかる住居の建築を数時間でやり、一週間以上はかかる井戸堀を1日でこなす彼等なら、それこそ瞬く間にやってしまうと思ったからだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ