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遭遇3

「高橋!あれはちょっと兵隊じゃないぞ!」

井上が大声を挙げる。

目立つ位置にいる高橋は銃を構えていたため、距離のせいもあり集団の様子が分からなかった。

だが、井上は双眼鏡で観察していたのだ。

「兵隊じゃない?じゃあ何だ!?」

互いに離れている為、ついつい大声になる。

本来なら色んな意味で不味い行動だが、初めての実戦(雰囲気だけだが)に思わず訓練してきた事が頭から抜け落ちてしまっていた。

「高橋さん!どうも民間人みたいです!と言うか難民みたいな感じです?」

高橋と井上が失態を演じていた所に左側に配置したはずの佐藤一樹さとうかずき二等陸士が同じく失態を演じた。

「難民?・・・どうする?」

佐藤の行動を咎める訳でもなく自問自答する高橋。

そして取った行動は勇敢であると同時に無謀でもある物だった。

「指揮を井上に任せる!ちょっと行ってみる!」

高橋の行動に思わず井上が制止しようと声を挙げたが、高橋は無視して集団に向かって行った。

「か~、馬鹿野郎が・・・!総員、いざとなったら高橋を援護だ!高橋に当てるなよ!」

凄い無茶を言っているのは自覚しているものの、井上はそう言わずには居られなかった。


「止まれ!何者だ!」

アインが近寄って来る妙な姿の男に怒鳴った。

(言葉が通じるかな?)

アインは場違いな疑問を頭に浮かべていた。

しかし、アインの言葉に男は驚いた表情をした。

「・・・日本語?」

アインに詰問された高橋は間違いなく日本語に聞こえた若者の言葉に驚いてしまった。

しかし、まだ20前に見える若者に26にもなる高橋は弱味を見せる訳には行かず、即座に表情を厳しいものに戻すと若者に対し日本語で話かけた。

「自分は日本陸上自衛隊の高橋政信一等陸士です。貴殿方は?」

高橋の言葉にアインたちも驚いた。

彼等が聞いた事もない奇妙な事を言ったからだ。

ただし、アインの驚きは他のものたちと違う物だった。

(・・・言葉が通じた・・・)

微妙にずれた感覚のアイン。

流石に先頭に来ていたシャインが溜め息をついた。

「え~と、こいつは無視して頂戴」

シャインの呆れた様な様子と言葉に高橋は警戒しすぎだったと反省した。

先ほど佐藤に言われた様に彼等の姿はボロボロだった。

「失礼しました。私たちは村を焼け出されて北に向かっています」

ミューリがホードラー王国の手の者ではないと見抜き自分たちの目的を告げる。

「この先は貴方たちの国なのですか?」

ローブを着たシャインが高橋を警戒しながら言った。

もしかしたら追い返されるかも知れない。

いや、最悪は彼等も自分たちを異教徒として・・・。

考えたくは無いが、そう考えて行動しなければならないのだ。

警戒も仕方なかった。

「いえ、この先に国はありませんよ?」

意外にも正直に高橋が答えたのに一同は驚きを禁じ得なかった。

「じゃあ、貴方は何処から来たの?」

怪訝そうな少女二人に高橋は答える。

「まあ、海を渡って来たばかりでして・・・」

後に軽率と言われてしまう事ではあるが、高橋は取り敢えず普通に受け答えする事にした。

「・・・じゃあ、ファマティー教徒じゃないの?」

ミューリが高橋の目を見ながら言う。

まるで嘘を見抜く様な眼差しだ。

「その・・・ふぁ・・・何とか知りません。そもそも我が国は信仰の自由があります。しかも私は無神論者です」

はっきり言えば高橋にとって当たり前の事を当たり前に言っただけだったのだが、彼等はまるで信じられない物を見たかの様だった。

「は?信仰の自由?嘘・・・」

ミューリの呟きが耳に入る。

高橋はそんなに凄い事かな?と思っていた。

「しかも・・・貴方は無神論者?冗談でしょ?」

シャインも高橋の発言が信じ難いのか聞いてくる。

そんな二人に高橋は笑いながら答えた。

「我が日本には信仰の自由がありまして、当然ながら神様を信じない自由もあるのですよ」

敵意の無い笑顔に思わず誰もがホッとした思いだった。

「まあ、それはともかくとして・・・この先に進んでも我々の仲間ばかりですよ?」

焼け出されたとは聞いていたが、このまま通して良いものか判断が付かない。

その為に探るつもりでこう言ったのだが、逆に高橋は更なる難問を作り出してしまっていた。

「お願いがあります。私達を助けてください」

少女たちの懇願に高橋は己の耳を疑わざる得なかった。


助けてください?

え?

なに言ってるのこの娘達?


「ちょ、ちょっと待って下さい。そんな事を言われても・・・」

慌てる高橋の様子に少女たちは目に涙を貯めて更に懇願する。

女の子の涙に勝てる道理もない。

無いが、気軽にいいよと言える訳でもない。

「う~ん、人情的には助けて差し上げたいですが、自分には判断をする権限がありません。上に報告するので少々お待ちください」

取り敢えず自分に出来る精一杯の返答をする。

返答して即座に無線を取り出し、後方にある調査派遣隊本部に連絡を取った。


はい、ここで第2話終了です。


ちょっと話の展開がのんびりし過ぎでしょうか?

それとも駆け足過ぎますでしょうか?


丁度良い感じがつかめてないものですので、もし何かあれば教えてください。

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