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「えぇっ、え〜っと、えぇ?」
なんだろ、ちっちゃいおじちゃん。
しかも宙に浮いてる?
「な〜にを驚いちょるんや?
お嬢ちゃんがわしをわしを呼んだんやろが」
推定で全長80センチくらいのおじちゃんが「神さんやで〜」ってニヤ〜ってしてる。
かなり不気味だ。
「髪さん?」
清衣弥の視線はおじちゃんの頭に釘づけになった。
あれは知ってる。
カトちゃんだ。
カトちゃんのヘアー、またはサザエさんの波平ヘアーだ。
「ちがあぁぅぅ、神さんや。
おまえ、わしの頭をジ〜っと見とったな。
そりゃ、けしからんぞ」
うおぉ、ちっちゃいおじちゃんに怒られた。
髪さんじゃなかったか。
紙さんちゅ〜わけでもないだろ。
あっ、これが噂のちっちゃい妖精のおじちゃん?
そうじゃないとすると、まさか、まさかこれが神様?
神さんちゅ〜からよくわからなかったけどよ〜く見ても神様にはなんかほど遠いような?
「まさかとは思うけど···神様?」
「まさかは余計じゃが本物の神さんやでぇ。
お嬢ちゃんが願い事をするからわざわざ出てきてやったのに···
まったく···」
「神様···本物。
じゃあ、お願いをよろしくお願いします」
清衣弥は直立不動になってうやうやしくハハァって礼をする。
日常生活では絶対にすることがない90度以上も頭を下げた。
そんな態度に神様は悪い気はしてないようだ。
「う〜ん、お願いはいいがお賽銭、ちょっと安くないか?
願い事っていうのは普通はひとつじゃ。
お嬢ちゃんはあれやこれやと多すぎる。
そうだな···よし、今回は特別におまけじゃ。
3つの願いにしてやるぞよ。
どうしてもという3つに絞れや」