(1)
「たのむ……死なせてくれ……死なせ……」
うるさいね……。
誰の声ね? まったく……。
にしても、おかしかねぇ?
ウチは、あの「勇者」とか云う人間の精液袋に殺された筈やけど……何で、まだ意識が有るとやろ?
困ったね。
何も見えん。
状況が何も判らん。
「お姉様、一旦、眠らせましょうよ」
「そうだな」
ん?
どっかで聞き覚えが有る声のようだけど……。
それに、さっきの「死なせてくれ」とか云う声よりも遠くから聞こえてくるような……。
どうなってるんだろう?
探知系の魔法とか使えるか、試して……。
「ふにゃっ?」
ん?
さっきの死にたがりの声のようだねぇ……。
それに……さっき、誰かが魔法を使ったよ〜な気配が……。
えっ?
体に感覚が戻ったようだ。
でも、何かおかしい……。
おかしか……。
おかしか……。
絶対におかしか……。
ウチの体じゃないみたいな気が……。
あ……そうだ……。「使い魔」の体に意識を移した時のようだ感じだ……。
でも……体の構造は……ウチの体に似てるけど……何かビミョ〜におかしか……。
筋肉は……ウチの元々の体より多いようだ。
骨も……頑丈そうだ。
あれ? 肝臓が……かぁ〜なぁ〜り荒れとるね……?
それに……おかしか……。待たんね……。
股座の間の大事な穴が無くなって……余計なモノが付いとる……。
確かめんといかんけど……確かめたくない……。
あ……。
助かった……。
幸か不幸か、体を縛られとる……ウチにとって最悪の事を知るのは、嫌でも後回しになったみたい。
とりあえず……目を開け……ん?
何で、ウチば殺した「勇者」とかゆ〜ド腐れオス畜生の手下どもが、ウチば取り囲んどっとね?