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48の片隅で君を見ている

作者: 堆烏

カタカタと音を立てる風は春の訪れ α

カラカラと笑うその目は濡れていて β

カアカアと飛び立つ、そんな夕暮れ γ


δからのε


急き立てられるように。何から?

追いかけるように。何を?


私は、僕は、走ってきた。何のために?


ふと立ち止まって振り返る。

制。そして静。夜空。星。

飛び立ったはず、でも静かに僕を見つめる。

そして僕に問いかける。何を見ているのかい、と。


それは明るい未来だろうか。スピカのように輝く光を追い求めてるのだろうか。

重い暗い将来の不安だろうか。都市部を照らす街灯は、その夜空の色を曇らせる。


でも君は言う。僕は一歩ずつ、歩いてきたはずだと。

僕はそうやって構築されてきたのだと。

経験が、人生が、毎日の些細なことが、僕を形作っているのだと。

そこから目をそらすのは、もったいないと。


地続きの道。雨はもう上がっていて、柔らぎながらもしっかりと。

花のように舞う星空はどれも綺麗で、でも目立つものばかりが目に入る。

地道な光は、彼ら彼女らを惹き立たてる脇役と化しているように見えてしまう。

そうだろうか。本当にそうだろうか?


バサっと飛び立つ黒い君は、そんなことを気にも留めていないだろう。

他人は他人。僕は僕。そして、君は君。


賢く、鋭く、柔軟に。その足跡を、しっかりと。

新しい季節の始まりだ。ぬかるんだ泥に足を取られながらも嘲笑っていこう。楽しいじゃんかと。


生み出したものをしっかりと踏みしめろそれが人生だ。

捨てられたものは目ざとく拾え。我が才は貪欲でそれが差異となる。


この先、一等星なんて腐るほど目にしていく。

そして、自分は二等星ですらない事を自覚していく。


だから?それがどうだというのだ?

つまらないよりはいい。毎日を楽しんだもん勝ちだ。

勘違いするな、ここはゴールじゃない。もちろんスタートラインでもない。

何も変わらない。一方でゆっくりでも確かに移ろっていく。


ただ忘れるな。その爪を研ぐことは。いつでも寝首を掻けるように。

啄む嘴は遠慮なく突き刺せ。

三等星の火はいつまでも燈し続けろ。


それでいい。嘲笑ってやろう。さあ行け。










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