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8話:冒険者から見たアゼル

 詰所から去るアゼルの背中を見送ってから、リアナは不満げな声を漏らす。


「アイツずっと不愛想だったわね。なーんか、感じ(わる)っ」


「そう言わないの……気持ちはわかるけどね」


 発言を窘めるエマだが、彼女もまたアゼルの態度に思うところがあった。とは言っても、それは悪感情からではなく、どちらかと言えば心配から来るものだった


 彼の態度は反抗期を迎えた若者らしいものであった。しかしむやみに反発するのではなく、他人の意見にも耳を傾け素直に受け入れ、一般的な反抗期のイメージよりも聞き分けが良いとエマは感じた。

 道中もリアナが積極的に対話を試みていたが、返答はするものの非常に簡潔で深く踏み込ませないような棘があった。それは反発精神が強いというより、もっと冷たい「拒絶」の意思を感じた。


 カイルとコーネルも同じことを感じたのか、同意するように頷いた。


「彼の態度は反抗的というよりも、こう……警戒心が強すぎるような気がするな」


「そうですね。特に魔術の話題に対しては、返答を明らかに避けているようでした」


「それに関してだがリアナ。人の内情をむやみに詮索するのはやめておけ、魔術や剣術なんかは俺たち冒険者にとっても大切な飯の種だ。相手のとらえ方と出方によっては、お前の身も危うくなるぞ」


「うぐっ……それに関しては悪かったと思ってるわ。冒険者以外で身体強化魔術を使っている人が珍しくって、つい」


「確かに都市や町以外では魔術を学べる機会は少ないでしょうが、存外珍しいというほどではありませんよ。引退した騎士や冒険者が村に帰って広めるケースもありますし」


「へーそうなんだ。私は冒険者や魔術師以外で魔術を使う人を見たことなかったから、使っているのを見て結構びっくりしちゃった」


 そのように四人が話していると、それを聞いていた案内を引き継いだ兵士が申し訳なさそう顔をした。


「アゼルのせいで気を悪くさせたようで、すまない。あいつは昔から人付き合いが苦手でな。あれでも随分と丸くなった方だ」


「……なにか、余所者を嫌うようなことでもあったの?」


「いやいや、そういうわけじゃない。あいつの人嫌いは生まれ持っての性格だろうな……今でこそ俺たちには心を開いてくれるようになったが、ガキの頃はとにかく人を寄せ付けないようなヤツだったよ。そのくせひとりで森の中に入ったりして危険なことを繰り返しやっていたから、あいつの家族も周りも随分と手を焼いていた」


「ふーん」


「フィリア様だけだったよ。アゼルの態度に臆せず、あっちこっち振り回せたのはよ……」


 その話を聴いたリアナはもう一度、アゼルの向かった方向を見た。もう遠くへ行ってしまい、その背中は小さい点のようになってしまっていたが、赤らんだ夕日の光を受けたその背中はまっすぐに伸び堂々としていた。

 しかしリアナはその背中に、なぜか寂しさのようなものを感じた。

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