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映画の小骨  作者: トリム
2/9

マリリンとアインシュタイン (1985/イギリス)

原題は「INSIGNIFICANCE」。

辞書をひいてみると「無意味。取るに足らないこと」。

タイトルが「無意味」とは

逆に何か深い意味があるような気がしてなりません。

「マリリンとアインシュタイン」

この、おそらく日本人だけに与えられた素敵なタイトル。

もっとも劇中でこの名前が出てくることはなく、

「女優」と「教授」でしたが。


が、しかしとても素敵な夜でした。

人類史上屈指の天才と、アメリカの、いや今や世界の恋人、

20世紀を代表する女優のひとりが出会うこの素敵な夜。


「この映画はすべてフィクションです」

まず最初に出てくるこのクレジット。

分かっています。分かってるけど、でも夢のような組み合わせです。


特殊相対性理論をまくしたてながら説明してみせるマリリンと

それをうれしそうにうなずきながら聞いているアインシュタイン。


まままマリリン「・・・光は常に同じ速さで全方向へ同時に進む

秒速18万6282マイルで」

アインシュタイン「 .397」ああああああああああああああああああ

マリリン「速くなったの?」まままままままままま

アインシュタイン「正確に言えば、ね」あああああああああああああ

マリリン「驚かさないでよ」まままままままままま

まさに相対するこのふたりの会話はなぜかとても素敵なのです。


マリリンが実際に愛読していたという

「カラマーゾフの兄弟」の本が何気なく登場したり

光の不連続性を象徴しているのでしょうか、時おり出てくるネオンサイン。

そしてアインシュタインの懐中時計は

ヒロシマのあの時間、8時15分で止まってる。

実際の「マリリンとアインシュタイン」と

フィクションの「マリリンとアインシュタイン」、

現在と過去が折りかさなって映画は進んでいく。


自らが導きだした公式E=mc2 が

最悪の方法によって実証されてしまったアルバート・アインシュタイン。

ひとり歩きし始めたマリリン・モンローのイメージを

自分ではもはやどうすることもできず、

しかしそれでも演技派女優をめざした

マリリン、いやノーマ・ジーン・ベイカー。


もしかしたら、ふたりが抱える哀しい何かは

同じものなのかもしれません。

でもこのふたりが出会ったからといって

何かとてつもないことが始まるわけではありませんし、

何かが大きく変わるわけでもありません。

たしかにそういう意味では「無意味」かもしれませんが。


『時間とは相対的なものであり、2人にとって同じではない』

でも、とても素敵な時間でした。


2001,7/23


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