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【The Clown Assassin】〜道化の暗殺者物語〜  作者: 空の上の猫
〜道化の章〜〔出会い編〕
2/41

出会い 【一】

月に一度の休暇を過ごしていた。


さっきまで王国周辺の草原で寝ていたせいか妙に首が痛い…

周りの冒険者達は

ーよく魔物が多発するあんな草原でぐっすり寝れるな〜ー

とドヤしてくるが、俺には関係ない……。

そもそも、あの草原に出るようなモンスターなんて一番高い位でも

E級程度だし、駆け出しの冒険者でも狩れるほどの大人しい個体だ……。

前に一度この酒場で他所から来た

冒険者が……


「ここは低級モンスターしか湧かなくてレベル上げ出来ないじゃないかっっ!!……」


と独り言でほざいていたけど、

レベル上げってなんだ……?

まぁ、そんな事はどうでもよく、

冒険者達がそう嘆くほど

うちの王国周辺は安全という訳だ……。

いいじゃんか…平和が一番でしょ。


シエル:「なっ?店主……そう思わないかい?」


店主はキュッキュ…とグラスを布で拭きながら無言で俺を見ていた。


酒場の店主:「まぁ……なんだ、いきなり話ふられてよく分からんが…お前んとこのギルドは…まぁ大変だな……」


なぜか悲しい目で俺を見てくる酒場の店主……


シエル:ーえ…?なに…?なんでそんな哀れみの目で俺を見るの?怖いよ……?ー


酒場の店主:「まぁ…休みのたんびに俺の店来てるしな、それも月に一度だけ…中々に忙しいギルドなんだな…と思ってな」


シエル:「別に…忙しくはないよん??ギルドメンバーも結構いるし……?」


店主はキュッキュとグラスを拭きながらまた哀れみの目で俺を見る…。


シエル:「え…?なんでその顔 !?

俺なんかおかしな事言って

る…?!」

酒場の店主:「お前……可哀想だな」


シエル:「やめて…!?なにその言葉……

なんか刺さるんですけど…?!」


酒場の店主:「まるで奴隷だな…ずぅ〜っと働いてんだろ?俺でも月に三回は休んでるぞ」


シエル:「ど……どれ…い」


シエル:ーどうやら俺は気づかない内に奴隷のように働いていたらしい…ー

と店主の(あわ)れむ顔を見て思っていた…。


シエル:ー かといって俺自身そんなに疲れてる訳でもないし今の仕事に嫌気なんてものすらない……あれ?この考えがおかしいの…??ー


………とテーブルに膝をついて考えていると奥から装備を見るにおそらく冒険者であろう青年がなにやら嘆いていた。


??!:「あぁー!!!どうして……!

どうしてなんだぁぁぁっ!!」

???:「ちょっ…!?ちょっとユウトっ!……声が大きいよ…周りに迷惑でしょ」

??!:「あ…あぁ…ごめん。でもショックで………ショックでぇぇぇ……!」


なにやら青年は不幸な事があったみたいだ……まぁ、やけ酒ってところだろう。

一緒にいるのは多分パーティーメンバーなのだろう…とは思うが2人とも女性とは、まぁ〜また美女に囲まれたいいメンバーじゃないかと少し青年に嫉妬する。


シエル:ー にしてももう1人のあの子はなにを

しょんぼりとしてるんだ…??

あの子が原因なのだろうか…?ー


俺は席を立ち上がり酒をもって青年達の元へ移動した。


シエル:「なぁ…大きい声で騒いでたもんだから気になって声掛けに来ちゃったんだけど、どしたのん?」


??!: 「え…!?あっ…ぁあごめんなさい!すいません!!迷惑でしたよね!?怒ってますよね!?

ほんっっとすいません……!!」


シエル:ー え……えぇ……。ー

ものすごい勢いで床に土下座する青年を見て少し引いてしまっていた……。


シエル:「あぁ…いや、こっちこそなんかごめんよ?そんな大袈裟な…、別に怒ってなんかないよん?この国じゃ見かけない顔だったし、なんか困ってる感じだったから。無駄な世話かもだけど…アハハハ…。」


?!!: 「あ、あのぉ……。お兄さんは冒険者の方かなにかですか……?」


そう聞いてきたのは先程までしょんぼりとしていてずっと無口だった少女だった。


シエル: 「えーとっ……まぁそんなとこかなん! あっ…俺はシエル!

よろしくね!

もし俺で良かったら何があったか教えてくれないかな…?

それと、そこの青年はそろそろ土下座やめよっか…」


青年は顔をバッッと上げものすごく泣きじゃくった顔で俺を見ていた。

??!:「ぎぃでぐれまずぅかぁああ……!!」

シエル: 「おっ……おん」

変わった子だな……と少し遠い目で見てしまっていた……。


まぁとりあえずいっぱい飲もう!

…と酒場イチオシのゴッキュを青年に渡すと、青年は瞬きをする間もなく一瞬で飲んでしまった……。


シエル:「おっ!いい飲みっぷりじゃんか!いいね!青年!」


ユウト:「あ…すいません…!そういえば自分の名前まだ教えてなかったですね…。自分!とりあえず魔王討伐を目標に勇者に憧れる駆け出しの冒険者!

シラガミ ユウトって言います!」


アイリーン: 「私はハイウィザードで精霊召喚を得意とする

"ダルマス・アイリーン"

と申します。

それとこの子は……」


シルフェ:「あ…。わ……わたしは防御と攻撃に特化したガーディアンファイターの"アルベス・ル・シルフェ"で…です……!。。。うぅ……」


シエル:ーうわぁ………。

なんか突っ込みどころの凄いパーティーだな……

てかユウト駆け出しなのに後の2人がゴツイようなぁ・・・。

どうゆう出会いでそうなるの…??ー


と不思議に思うが、とりあえず

話を聞いてみることにした。


ユウト:「実は……パーティーメンバーを募集していて、色んな場所をまわってるんですけどなかなか集まらなくて……」


シエル:「え?そう?他のとこはどうだったか知らないけどココは結構駆け出しも多いし、ギルドメンバーに入りたい人も多いと思うけどなぁ……?」


アイリーン:「そ……それは……そうなんですが…」


アイリーンはなにか言いたげな顔をしていると突然、ユウトがいきなりテーブルにバンッッ!!と

握った拳を叩きつけグッッと顔を上げて俺を凝視した…。


シエル: 「どっ……!?どうした!?ユウト……。」


ユウト:「シエルさん……確かにこの国はとっても広くて人も冒険者もたっくさんいます……」


シエル:「うん…そうだね……」


ユウト: 「でもっっっ……自分以外のこの2人が強すぎて声をかけても断られるんですぅうう!!!

もう!どうすればぁぁぁ……!!」


アイリーン:「ごめんね……!ユウト!!私もやっとパーティーに入れてくれたのがユウトだったの!!」


シルフェ:「わ……わたしも……こんなだけどユウトが…パーティーにいれてくれて…ほんとに感謝してるの……」


2人はユウトにものすごく申し訳なさそうな顔をしてユウトの背中をさすっていた……

ユウトはというと…

もうそれはそれはすっごい顔で……

転んで怪我をした小さな子供でもここまでは泣かんでしょ…とドン引きする程の大泣き顔でした……。


シエル:ーまぁ…納得です・・・

こんな大物二人抱えたユウトの

パーティーには入りずらいよね……。ー


シエル:「アハ……アハハ……」

すいません…笑うしかありません。


ユウト:「どうしたらいいですかぁぁぁ!!シエルさんんんん…!!」


シエル:ー……と言われましても

まぁ、元はと言えば俺から聞いたんだし……無視する訳にもいかないし〜

んんん〜……かといって俺の周りは

"何かと物騒"だしなぁ……

あっ!ー


シエル:「なぁユウト!アイリーンやシルフェがいてもきっとパーティーに入ってくれるような"奴ら"が集まる場所があるぞ!!」


シエル:ー 二人をお邪魔扱いしたような言い方をしてしまって少し胸が痛いけど

許せユウト……。ー


ユウト: 「ほっっっ!!本当ですかァァァ!!そっ…それはどこですか!?」


アイリーン: 「ぜひ!私達も教えて欲しいです!!」

ウンウンと首を縦にふるシルフェ


シエル: 「え…え〜と……あんまり大きい声で言えないんだけど…」

クイクイっ…と手招きし近寄る三人


ゴニョゴニョ………

青ざめるユウト

目を輝かせるアイリーン

そして気を失ったシルフェ……


ユウト: 「地下のコロッセオ………ですか……

アハ……アハハハハ…」


シエル:「うん、王都の地下に強者が集まるコロッセオがあってね…魔法あり召喚ありでなんでもありのこ…殺し合い…?的な腕試し場があるんだよねぇ〜……まぁ、優勝したら名誉とがっぽり賞金もあたるし!悪いはなし…では…ないと………思う!」


アイリーン:「行きましょう!ユウト!!私とシルフェがいれば大丈夫よ!ね!シル……」


シルフェ: ゴボボボボ・・・

シルフェ気絶して泡吹いてます……。

アイリーン:「あぁ…!!シルフェしっかり…!

シルフェの肩をゆするアイリーンを見ているユウトの目は死んでいました……。


シエル:「やっぱ…厳しい…よねん……?」


ユウト:「いえ、せっかくシエルさんが教えてくれた有益な情報なので行ってみたいと思います」


シエル:ーえ・・・まじで?ー


ユウト:「そこで強さを証明できれば腕をかってパーティーに入ってくれる人がいるかもなので!」


シエル:ー死ぬなよ……三人とも……

特にユウト…お前駆け出しって事忘れるなよ……ー


言ってみたはいいものの後悔していました……ものすごく・・・


ユウト:「ありがとうございました!

シエルさん!!また会えたら嬉しいです!」


アイリーン:「私からもお礼します、次お会いする時は新しいメンバーを紹介出来ればと思います。」


シルフェ:ゴボボボボ……


シエル:ーあの…一人もう逝ってない……?ー

シエル:「おん!楽しみにしてるよん!」

冷や汗が止まらんっっっ……!


ユウト:「ではまた!!あっ…マスターご馳走様でした!」


酒場の店主:「アイヨ〜頑張れや、また顔出せよ!」

カランカラン〜


シエル:ーまぁ…なにはともあれ良かったのか?あれで……。考えても無駄か…ー


シエル:「さて!俺も行こうかなん!なんか騒がしいし…」


酒場の店主:「お…?お前ももう行くのか…?今日は珍しく早いな、なにか用事ごとか?」


シエル: 「まぁそんなとこ!んじゃまた来るよ!あんがと!」


酒場の店主:「おう、気をつけてな…また次の月元気な顔出せや」


シエル:「あーい!」

カランカラン〜

酒場の店主: 「ったく…元気なこった……ってあいつ……代金払ってねぇじゃねぇか!また"あいつ"に活いれてもらうか」


・・・ー場所は変わり酒場周辺裏路地……


ハァ…ハァ…ハァ……!

一人の男が息を切らしていた…


「くそっっ!どこまでもついてきやがって……!俺が何したってんだ」


「なにをしたかだって……?思い出させてやるよ」


「誰だ…!お前!!」


「ざんねん…もう1人いるんですけど…?」


「お…!?女だぁ?はっ…随分と舐められたもんだな〜おい」


声のする方へと男が顔を向けると

そこには透き通る空のような水色の髪の女と海のように深く瑠璃色の髪の男が立っていた…。

「もう逃がさねぇよクズ野郎…。

体力ももうそれ程残ってねぇだろ」


「あ?舐めてんじゃねぇぞガキが…!」


「もう…!ちょっと煽りすぎ」


「え…?そう?んな事ないだろ……」


「クソッタレッッ!!甘くみてっと痛い目見るぞ……お前らまだわけぇな...見たところ殺しの経験も浅いだろう...」


「は?そっちが舐めてんだろ……こっちも仕事でやってんだよ…んな甘くみられちゃたまったもんじゃねぇよっっ!!」


男はタガーを抜き相手の男に瞬時に近ずいた。

だが相手の男も即時に腰から剣を抜き突きの構えをとった。

相手の突きを間一髪で避けた男は

瞬時にしゃがみ、回転しながら足の関節を斬る……。


「うがぁっっ……足が動かねぇ……お前その装備を見るにアサシンだな…!」


「ご名答〜…って事はそろそろなんで狙われてるか理解できたか…?クズ野郎」


「あなた…私くらいの女の子達をさらって随分楽しんだみたいじゃない…?」


「へっ……もっとわけぇよ…なんせ発育も良くてなぁ〜…それなりの育ち盛りだからヤリがいがあったぜぇ…?」


「うわ…うざっ…てか本当のクズね

そんなあんたには……!」


女は相手の男に向かって糸を投げた…。

その糸は男の腕に強く巻き付き

ギュッっっと離れなくなった

女が糸を引っ張るとシュッ……っと男の腕は綺麗に斬れ地面に落ちた。


「私の糸はクイーンエルスキュラから採取した特注の糸なの、綺麗に切れたでしょ…?」


「お前のその糸怖ぇって…エルスキュラの粘膜で痛みも麻痺するんだろ?」


「解説ありがとうレイン」


「あ…あ……うぁあああっっ!!!

てめぇら俺を食肉のようにスパスパ切りやがってっっ!!殺す!殺す殺す殺すっっっ!!女ぁああ!!」


女は…ひっっ…!!っと引いた顔でその場で立ち止まる

その瞬間を勝機と見た男は残っていた片腕をいきなり噛みちぎり始めたのである。

その行動に恐怖と殺気で全身を刺されたかのような感覚に、二人は身動き一つ取れなかった。


「我、ここに代償を献ずる…我が崇拝する者よ…!!我が従順なる下僕に今こそ力を授けたまえ……!!」


そう男が発すると男の周りに黒い陣が現れた…。


「おいおい嘘だろ……

"契約呪文"か…!?」


「しかも"魔族契約"よ……ダメ……

身体が……動かない……!!」


"契約呪文"とは

本来二種があり

・一つは精霊契約や聖獣契約があり

精霊または聖獣と契約を交わし、

自らの髪の一本や涙、その他にも身に付けているもの等を捧げる事で精霊や聖獣の力を一時的に使用出来る呪文である。

・もう一方は魔族契約といい

自身の体に魔族の刺青を彫り

力を使用する際、物ではなく

自らの体の一部…皮膚や歯等の部分

を捧げなくてはならず、捧げる部位の大きさや量で威力が段違いに上がるのである。その為どの国でも禁止され、使用した者は即死罰とされる程禁断とされ危険な呪文なのである。


「アッハハハハハハハハハ…!!!ガキ二人消してやるよ!!大人を舐めた罰だ〜!」

二人の体はビクともせず、逃げることすら出来ない状況だった。

いくらあがこうとも指の一本すら動かせず焦る二人……

呪文を唱えた男に黒い煙が覆い

動かせなかった足は動き、斬られたはずの腕が黒く…尖り…魔獣のような腕で再生していた…。


「グッバァ〜ィ…おふたりさぁ〜ん……まずは女からだ……イヒヒヒッ……男の目の前でグッチャグチャにしてやるよォ〜……」


男はとてつもない速さで女の目の前へと移動し鋭い爪の付いた腕を振り上げた・・・・

その瞬間……

辺りの空気がスッ……と変わる……

音も無く…風すら感じない無風な空間が辺りを包み…まるで全てが止まったかのような時間が流れる……。


シエル:「おぉ〜……!これはまぁ〜鋭い爪ですなぁ〜……。ん〜でも顔は人間…?さてはっ!あんたぁ〜…魔族契約でしょ〜……当たり?」


男が振り上げた爪の先につま先で立ち、男の顔を見下ろした。


シエル:「騒がしいと思って来てみれば……って…!おっ!! これはこれは〜 うちのギルド一の美少女シオンじゃ〜ん!どちたのん?じーっとしちゃって……??」


男の爪先からひょいっと降り

ーおーい…おーい……ーと呼びかけながらシオンの顔の前で手を振るが

反応は無い......。


シエル:「そのちょ〜ぅどいいくらいのおっぱい触っちゃうぞ〜ん?

シオン〜…?え…いいの?

ほんとにさわるよ……?

めっちゃさわりたいよ…?

まじでさわるよ……?」


そういいながらいやらしい手つきをしていると横からとてつもなく痛い視線を感じ……横をチラッ…と見ると…


シエル:「うぅ〜っわ……なんだよ…レインもいたのかよ……見てんじゃねぇよ

ばーか……チラ見とか趣味悪いぞ?

動けっつの…もう動けるでしょうが……!」


ビクともしない2人を見るやいなや

男の殺気のせいだと悟った。


シエル:「ありゃりゃ〜、B級の依頼にしてはえらい物騒なお相手だこと…悪い人はさよならしないとね!」


陽に照らされ神々しく輝く白銀のダガーを抜き剣先を額に当てる…。


シエル:「感じろ...風の流れを、鼓動の音を...感じろ...己の強さを!!」

深く息を吸い、目を閉じる…

相手の鼓動の速さを聞き相手の行動を読む。


「て…てめぇ……なに…もんだ……こ…ここ…ころじで…やるぅぅ゛…!!」


シエル:「そうかいそうかい〜…んじゃ!

いっちょ俺と踊ろうか!とっておきの踊りをお見せしましょう…」


男は少しづつ動けるようになった事に気づき自分目掛けて爪を構えて向かってきた。


ダガーを上空へ高く投げ、腕を後ろで組み男の攻撃をかわす。

男は何度も攻撃をしてくるがかすりもせず、焦りを感じたのか魔獣化をさらに進め、足や顔までもが魔物のような形相(ぎょうそう)になった。


先程よりも動きが素早くなり爪をさらに長く伸ばしたが自分にとってそれは全くの無意味だった。


シエル:「ちゃんと見えてる〜?酷い踊りだなまったく…見てられないから終わり!」


上空へ投げていたダガーを手に取り瞬時に男の目の前へと移動した。


「でめぇ゛!ぐちゃぐちゃに……じでやるぅぅぅ゛!!」



シエル:「綺麗な道が汚れるでしょうが…もう静かに寝てな…」


シュッ・・・・・ジュバァァッッ…!!


男にはどう見えているだろうか、

まだ自らの身体がつながっている…そう錯覚しているであろう。

ゆっくり…ゆっくりと地面に向かって視線が落ちていく男は何を思うだろう……。


ボテッッ…………ーーー

ドサッッ…

男の身体から頭が落ち地面で転がる、胴体は倒れ痙攣を起こしていた。


シエル:「いい踊りだったろ?お付き合いどうもありがとう…。」


気がつくと先程まで微動だにしなかった二人が動きだしていた…。


レイン:「はぁ……助かった……」


シオン:「な…何が起きたの……?」


シエル:「おーはよんっ!おふたりさんっ」


シオン:「え…!?シエル?!いつの間に……?」


レイン:「俺もゆっくりだが、馬鹿な事をするシエルが見えてな…このド変態が…...!」


シオン:「えっ…と〜どゆこと??」


シエル:「シオンは知らなくていいよん…

アハハ…」


シオン:「って!あいつは!?…どこ…?」


なにをキョロキョロしてるんだよ…

こういう天然なとこちょっと可愛いよな…

と無言でシオンの頬を

むにぃ〜とつかみ、倒れた男の死体を見せる


うぅぅ……///

シオン:「あ…死んでる…。」


レイン:「まぁ、マジ助かったシエル…

礼を言う」


シエル:「いいよいいよ!飲んでたら二人の殺気感じたから追ってきただけだし…ダメだぞ?依頼中ちゃんと殺気隠さないと〜、誰かにバレたらどうすんのさ…。」


シエル:ー タイミング見計らって上で見てたとはさすがに言えないわ......。ー


と二人を見るとシオンとレインはお互い顔を見合わせ、そんなに殺気出てた?と不思議そうな顔をした。


レイン:「それよりもいいのかよ…お前」


シエル:ーえ?なにが…?って顔しても

無駄ってわかってんだよなぁ……ー


シオン:「でも…可哀想だよシエル、私達の事助けてくれたんだし……マスター許してくれないかな…?」


レイン:「んん……、シエルが来なかったら今頃俺たちの肉片が転がってただろうしな……なんとか言ってみるか…」


・・・・・数分後ピポッピポッ……。


???「てめぇは……」


プルプル


???「バカかァァァ!!!!!」

キャイン……


レイン:「まるで飼い主に叱られて縮こまったハウンドだな……」


???「レインっ!てめぇもだ!」

レイン:「えっっ!?」


???「今度一から鍛え直してやる…覚悟しとけ」

レイン: キャイン……


シオン:「あ…レインも縮こまった…」

シオンがしゃがんで俺とレインの頭を優しく撫でる......。


ここは酒場地下に組織された

俺たち3人も所属している

"ギルドマスター・ロキシル"

が組織する

アサシンズ・ギルド

【アサシンズ・ガーデン】


ちなみに今大激怒しているのは

緑色の髪が特徴のマスター

"ロキシル"だ……。


年齢はそれなりにだとは思うが

ギルドマスターだけあり

語り継がれる過去の伝説は

多く、その偉業から鬼神とも呼ばれ、他国のアサシンズギルドからも恐れられているらしい......。


シエル:「あ…あのさぁ…ロキシル……さん?」


ロキシル:「おい…てめぇ殺されてぇのか

マスターって呼べって何度も言ってんだろ!

さん付けても変わんねぇよ!……

変わんねぇからな !?」


シエル:ーえ…なんで二回言ったの…?

変わる可能性あるの……?ー


シオン:「ごめんなさいマスター…!

でも今回はシエルがいなかったら私とレイン死んでたかもなんだよ!?」


シオンの説得しようとする姿勢は感銘を受けるが......

ロキシルはしぶとい...

そう易々と折れる人では無い事を俺は知っている...。


ロキシル:「まぁ…今回、依頼の等級はBだったはずだが…魔族契約を使う奴だと分かってたら等級はSだっただろう…。そこに関しては偵察が足りてなかった俺の責任だ、偵察メンバーの奴らももう一度しごかないといけないな」


あれ...?意外といけるのでは...?

と少し期待してみる。


シエル:「んじゃ俺ら悪くねぇじゃん…」


言ってしまった......。

とてつもなく分厚い大剣を俺に突き刺すかのように剣先を向け、

鬼神の如く凄い形相で睨んでくる

ロキシルに俺は死を覚悟した……。


ロキシル:「あのなぁシエル……俺が怒ってんのはな?

お前今日休みにしてたよなぁ〜?

.....んでお前酒場で飲んでたらしいじゃねぇか」


シエル:ーあ………察し

あ〜………俺死んだな…ー

瞬時にそう悟ると全身に物凄い衝撃がはしる...。


ボゴォォォォンッッッ!!


ギルド中にゲンコツの音が響いたそう……

酒場の人達は地響きと勘違いしたとかしてないとか……?


フシュ〜…………。


ロキシル:「てめぇ代金払ってないの何回目だ?あん...??」


ロキシル鬼ギレです......。


シエル:「……十回以上……?フヒ...?」


ボゴォォォォォォォンン…………


・・・・チーン


一方…酒場内

客:「なぁ…マスター、この国大丈夫かぁ?崩れたりしねぇよな?」


酒場の店主:「あ……あぁ……コロッセオのモンスターでもあばれてんじゃねぇか?

なんてな……アハハ…」


ーさすがにちと可哀想だったかな

少し悪い気もするが……まぁ反省してもらおう……許せシエルのあんちゃん…ー


シオンは気絶したふりをする俺に

優しく

シオン:「シエル〜ねぇ....生きてる?

シエルゥゥ……グスン...。」


と俺の体をゆっさゆっさと揺すぶっていた。


レイン:「まぁ…これに関してはシエルが悪いからかばえねぇわ…」


レインは俺を見ようとしなかった……。


ロキシル:「はぁ〜……ったく…バカの面倒は疲れる。

こんな奴でも俺のギルドでは一番なんだから信じらんねぇよな」


レイン:「俺とシオンのパーティーリーダーでもあるんだけどね……。」


シオン:「うぅぅ…シエル…起きてよォ……」


やべ……シオン俺の嫁になって欲し……。

ロキシル:「シオンもう大丈夫だ、このバカは倒れたフリしてるだけだぞ」


シエル:ーくそっ…!ロキシルの馬鹿野郎!

いいとこ邪魔すんな……!

てかバレてたんかいっっ......ー


ロキシル:「おい…お前の考え読めるぞぉ〜」


シエル:「スイマセン…!!」

シュバッと起き上がり土下座した。

シエル:ー俺…。なんて無様なんだ………ゥゥゥ。ー


ロキシル:「はぁ〜…ため息しか出ねぇよ…

まぁとりあえずこの話は終わりだ。任務も無事完了した訳だしな……

シエルもいる事だし今伝えるぞ...

集合ッッ!!」


その瞬間空気がガラッと変わり

ロキシルの前に

ギルド内にいた全員が瞬時に集まる。


ロキシル:「今から合同依頼だ、依頼主は俺から、報酬は高くつける…!!」


周りからは

ーオォーー

と喜ぶ声が聞こえるが

俺は嫌な予感がし息を飲んだ……。

ロキシルの依頼なんて滅多にない。

この依頼はかなりデカイだろうと悟る……。


ロキシル:「今回の依頼内容は…シエル少し聞くがココ最近でデイン達を見たのはいつだ?」


そう聞かれ

俺はすぐに事情を察した…

デイン達は俺たちのギルドメンバーでありギルドの二番を与えられた男だ……。気がつけばもう2週間程見ていなかったことに気づく…。


シエル:「偵察依頼のクエストを受けて行ったのが2週間前だ……でもデインだぞ?」


ロキシル:「あぁ、そのデイン達がだ……2週間だぞ、たかが王国近辺の村や森の偵察でだ……そもそもの依頼内容は

北部のクラノース村の村長からだった。

ここ最近他国の何者かと思われる数人が村人によって確認されていると報告を受けデイン達を偵察に向かわせた。

仮にその者達と対面したとしてもアイツらなら心配無いと思っている……だが、2週間もの間伝達すらない状態だ……、さすがに俺も動かなくてはと思ってな。」


レイン:「そこで俺たちがデイン達を探しに行くって事か?マスター……。」


先程まで無言だったレインが俺を見てフッ......と鼻で笑う

こいつのこういう性格が嫌いだ...。


ロキシル:「さすがレイン…察しの通りだ。

お前たちの仲間を必ず見つけ出してここに連れ帰ってもらいたい。俺の大切なギルドメンバーの一人だ…頼む…安否だけでも知らせて欲しい。」


なにか激しく胸騒ぎがした……

きっと俺だけじゃなく、この場にいる全員がだ……。

場合によっては宣戦布告とも捉えられる……。

まさに戦闘態勢だ……。

シエル:ー生きててくれよデイン…!!ー


レイン:「デインとマキシスがいて殺られるなんてことは無いよな……」


レインの顔は強ばっていた……

焦りからなのか…それとも得体の知れない相手への恐怖か……


シオン:「デインの妹のミリスも心配……お願い…3人とも生きてて…」

シオンも体が震えてる……

ミリスとはここで仲が一番いいからな……


「俺たちで必ず見つけ出すぞ…

レイン…シオン……!!」


「お前ら………任せたぞ……

神の加護あらんことを...行け!!」

ロキシルの力ずよい号令と共に

一同

ー了解!!ー

一斉に現地へ向かった……。


〜道化の章〜・出会い【二】

へ続く……。

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