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シャブ姫無双

作者: ミステリオ

「いい条件とは思いませんか?我が国への侵攻を止める代わりに、上等のコバインが格安で手に入るのですよ?」

「だから我が軍では麻薬はやらぬと言っておろうが!!」


状況を説明すると、現在魔王軍が王都へ攻め入り、四天王ドグマスチールが、王族たちに対して「降伏か死か」を宣告している最中である。

その中で、カンナビス王国の王女ウィード・シャブハーブが持ち出した提案が麻薬取引であった。


カンナビス王国は元々国力の乏しい小国であり、魔王軍の侵攻など到底防げぬ国である。

しかしその小国が「近年になり膨大な国益を得ている」という噂が各地で広まり、こうして魔王軍の標的となったわけだが、その国益の源が、ウィードが裏ルートで始めた麻薬売買である事は、各国はおろか魔王軍ですら掴んではいなかった。


閑話休題


「あなた方は魔王軍なのでしょう?この世に災厄をもたらす存在なのでしょう?クスリの1つや2つ嗜まずに威厳が保てるとお思いですか!」

「そんな威厳があるか!我々は愚かな人間たちに代わり地上を征服し、魔族の楽園を作る事が目的!麻薬などという生物を腐敗させる害悪に手を染めることなどせぬわ!」

「…、聞いてて頭が痛くなってきました…。」

「こっちのセリフだっ!おい国王!こいつは、お前の娘なのだろう!貴様はどういう教育をしているんだっ!」

埒が明かなくなったドクマスチールは、PTAの保護者の様に国王を問い正す。そして国王の回答は、


「あうあうあー、ああぅあああー。」


「あぁ、父上に話をしても無駄ですよ。慈悲深い父上は、私の事業のモルモットとしてその身を差し出し、廃人になられてしまいましたから。まぁ強制的にですが。」

「やっぱり、【ダメ、ゼッタイ!】な代物じゃねーか!もういい!殺す!!」

ドグマスチールの激昂と共に、彼の背後に控えていたオーガ4体がウィードに近づく。

自分の数倍の大きさはあろうオーガに対し、ウィードはこれまでの営業スマイルをやめた。


笑っていた。獣が牙を剥くように。


「やれやれですわ。魔王軍ならいい顧客になると思っていましたのに…。交渉決裂。後は…、」

いつの間にかウィードは、自身の首筋に注射器を3本ぶっ刺し、そして、


ウィードとオーガ4体の首が消えていた。

(??? 見えなかった!何が起きている!)

四天王の目にも捉えられぬ出来事。困惑するドグマスチールは背後の気配に気がついた。

(振り向くな。振り向くな!)

歴戦の経験が最大級の警告を与える。しかし、彼は振り向いた。そこには、


オーガの首を両手に持ち、1つを咀嚼し、残る1つでリフティングをしている、ウィードの姿があった。

「いぎゃああああああああ!!!!!」

「っぺッ!あら、はしたないですわね四天王さん。少しドーピングして小鬼さんと戯れていただけですのに。」

咀嚼していた首を吹き飛ばし、リフティングを続けながら答える可憐な姫ウィード。

「化物め!と、いうか地の文!この光景のどこが可憐だ!」

「やれやれ、地の文さんに八つ当たりとは、そこが知れますわよ四天王さん。」

麗しき姫君は、どこまでも冷静である。それに引き換え四天王ドグマ(略)の何と情けない事か…。

「うるせぇ!てめぇ後でブチのめしに行くから憶えてろ!」

パーワハラ!パーワハラ!

「黙れっていブルヴァッ!!」

麗しき姫の放ったオーガシュートが四天王ド(略)に命中し、四(略)は王宮の壁を突き破り空の彼方へ消えた。


「あら、四天王がこの程度とは情けない。

さて親玉が消えた事で、部下の魔物はどうしてるのかしら?」

バルコニーから王都の眺める姫。だが、王都の魔物達は、四略が消えた事も知らず、都の住人を襲う指令を待っている所であった。怯える住人達。

「…、はぁ、我が王国の民を脅かすとは不届きな。と言えばいいかねぇ。それでは、」

姫は見目麗しく跳躍し、瞬き1つする間に1キロは離れた王都の一角に降り立った。

「ご機嫌麗しゅう化物共。それでは消えて。」

姫の言葉が乱雑になってきたのは、ドーピング薬物の効果が濃くなってきた為である。そして言葉に比例してその行動も…、



(ただいま読者様に見せられない光景が続いております。しばらく脳内のお花畑をお楽しみください。ただいま読者様に見せら)



姫の華麗なる活躍が繰り広げられた後、王都の一角は血の海と化していた。返り血を浴びてなお美しい姫君。そしてそれを武者震いで見つめる王都の住人達。

「我が民達よ。さぞ不安だったでしょう。安心なさい。私がいる限り、私に従う限り、あなた達には永遠の平穏が約束されます。何せ我が王国の麻薬栽培の貴重な労働力になるのですから。…、あらこれは、来月発表する予定でしたわね。少し酔っているようですわ、私。てへぺろ!」

姫の戯れに沈黙で答える民衆。姫の美しさゆえか、まるで薬でも飲まされたようだ。


「あら、化物共が撤退していきますわ。ちょっとお待ちになって。

待てって言ってんだろおおおぉぉぉぉ!!!!」

姫は跳躍1つで再び王宮へ戻り、魔物達が北へ、魔王の支配する地域へと撤退するのを見た。

「てめえら、人ん地土足で上がり込んで、しかもカネも出さねぇで。タダで帰れると思ってんのかコラァ!!」

姫は文字通り彗星の様に北へ飛び出し、撤退していく魔王軍を粉々にしながら、地平線の彼方へと消えていった。


消えていった。



消えていったよね?


いや、地の文なんですけどね。


「シャブ姫無双」ってタイトルを考えついて、勢いで書き始めたんですけど、何かもう序盤から怖くなりましてね。

姫自身も。

色々な所から怒られるんじゃないかとかも。

ほら、住民も怯え切っているじゃないですか。これからこの国、北〇の〇みたいになりますよ。

ちなみに王様だけじゃなくて、家臣全て廃人になってるから、もう姫のやりたい放題なんですね。


ちなみに「シャブ姫」だからドーピングだけじゃなくて、色々な攻撃とか考えていたんですよ。クスリばらまいて粉塵爆発とか。後は―

あ、北の方でキノコ雲が上がってる。これもう粉塵爆発ってレベルじゃねぇや。

私は逃げます。皆さんも早く逃げた方がいいですよ。



逃げられればね。

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