043 アースドラゴン
討伐隊は10人1グループの計10グループに分かれて戦いを展開する。
ルシアスたち3人は、7人組のA級PTと行動を共にすることとなった。
「1グループ当たりドラゴン5体か。同時に倒すのは難しいから、1体ずつ倒していこう。ウチのメンバーがマンツーマンで4体を足止めするから、その間に協力して残りの奴を倒すぞ」
リーダーの男が指示を出し、ルシアスたちを見る。
ハルカが代表で「了解」と答えた。
「さぁこい、アースドラゴン! 俺が相手をしてやるぜ!」
「俺を倒してみろ! ほら、かかってこいよ!」
まずはマンツーマンによる足止めだ。
アースドラゴンはB級の大ボスなので、足止めも楽ではない。
しかし、熟練のA級冒険者にかかれば、多少の時間稼ぎなど造作もなかった。
「すげぇ」
「本当に1人で1体のドラゴンと戦っていますよ……」
感心するルシアスとミオ。
他所のグループも同じ作戦を採っていた。
「ボケッとしてんじゃないよ、私たちはアイツをやるんだから!」
ハルカが1体のドラゴンを指す。
そいつには3人のA級冒険者が群がっていた。
少し遅れてハルカもそのあとに続く。
「俺たちも加勢しよう!」
「はい!」
ルシアスとミオも距離を詰めた。
とはいえ、他の連中に比べて随分と離れている。
だが問題ない。
アサルトライフルの有効射程圏内だ。
「攻撃だけなら!」
「私たちだって役に立てるはず!」
二人のアサルトライフルが火を噴く。
銃声と共に無数の弾丸がドラゴンを襲う。
「グォオオオオ!」
ドラゴンが悲鳴を上げる。
アサルトライフルの攻撃はしっかり通用していた。
しかしながら、100発ほど撃ち込んでも致命傷には至らない。
皮膚が頑強なためだ。
銃弾は軽くめり込む程度で止まっていた。
「なんという攻撃力だ!」
「アースドラゴンが体中から血を流しているぞ!」
同じグループのA級冒険者たちが驚いている。
「やっぱり普通じゃないわね、その武器」
ハルカも感心していた。
「流石はハルカちゃんの見込んだ若手だ」
「これなら楽に倒せる!」
たしかにルシアスたちの攻撃は致命傷に至らなかった。
それでも、敵の動きを鈍化させるには十分だった。
あとは仲間の仕事だ。
「グォオオオオオオ!」
ドラゴンが薙ぎ払うように炎のブレスを吐く。
それに対して、ハルカや他の冒険者は素早く跳躍する。
垂直跳びなのに10メートル近く跳ぶ。
魔法で作った風を足の裏で爆発させて跳躍力を高めていた。
「すげぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「なんですかあのジャンプ!」
ルシアスとミオは大興奮だ。
「よっしゃ!」
「取り付いたぞ!」
「チャンス到来!」
冒険者たちはドラゴンにしがみつき、ブスブスと剣を刺す。
研ぎ澄まされた短剣は、ドラゴンの硬い皮膚もあっさりと切り裂いた。
「グォ……グォォオオオオ……!」
アースドラゴンは飛ぶ力を失い、地面に伏せて実を丸める。
どうにか仲間が来るまで攻撃を耐えようとしていた。
しかし、その仲間は例外なく他の冒険者に足止めを食らっている。
「一斉攻撃!」
「うおおおおおおおお!」
ハルカを含む4人の冒険者がドラゴンを斬りまくる。
翼、胴体、尻尾、頭……全てに深い傷を負わせた。
そして――。
「これで、おしまいよ!」
ハルカがフィニッシュを決める。
ドラゴンの首に剣を突き刺した。
アースドラゴンが魔石になる。
「この調子でガンガンいくぞ!」
「おう!」
ルシアスとミオがアサルトライフルで削り、ハルカたちが命を刈り取る。
見事な連携によって、ルシアスのグループはドラゴンの殲滅に成功した。
「その謎の武器のおかげで俺たちが1位だな!」
A級PTのリーダーを務める男が言った。
「初めて見る武器だが、自作か?」
彼の仲間がルシアスに尋ねる。
「ま、まぁね。俺たちは発明家だから」
「なるほど。それでまだF級なのか」
発明に勤しむせいでランクが低いわけだ、と誰もが勘違いする。
それに対して、ルシアスは「そういうこと」と話を合わせた。
「他はあと2~3体か。手こずっているところに加勢しよう」
リーダーの男がそう言った時だ。
「ヴォオオオオオオオオオオオ!」
地面が震える程の咆哮が島に響いた。
「まさか……!」
ハルカが唖然とする。
そのまさかだった。
盆地の中央にある火山からドラゴンが現れたのだ。
見た目はアースドラゴンだが、大きさは通常の3倍。
大地に巨大な影を作る程のサイズだ。
それを見た他グループの冒険者が叫んだ。
「キ、キングだぁあああああああああああ!」
A級の大ボス、アースドラゴンキングの襲来だ。




