ヴィルとフェブリクの最後の戦い
ヴィルが地下室の一番奥の部屋の扉を開けた。
その部屋は言わばSN部屋だった、いろんな器具、薬物らしき物体、注射器などが置かれている。ゆっくり部屋に入ると部屋の奥に設置されたX字枷に変わり果てた全裸のナーサが張り付けられていた。
綺麗だった髪の毛は数ヵ所むしり取られ、右目はつぶされ、尖った左耳はちぎれ、四肢は杭で打ち抜かれ、右乳首には乳首ピアス、左乳首は引きちぎられ、体には無数の青あざと切り傷、そして女性の大事な所と後ろの穴には棒状な物を突っ込まれ、穴と言う穴からいろんな液体が流れている。
ヴィルは思わずナーサの名前を呼び駆け寄り意識レベルを調べるが…
意識はあるが唸るだけで会話は出来ない、ゆっくりと棒、杭、拘束を解く。
ヴィルは亡き妻、リーリを思い出す、スタンピード後のほぼ植物人間と化した妻、今のナーサはまさにその状態に近かった。
自分で歩くことも出来ないナーサを背負いSMの部屋から出て隠し階段を上がる。
執務室に出ると兵が何人も剣を抜きヴィルが出てくるのを待っていた。
ヴィルはこの侵入に邪魔になる盾と背中の大剣を家に置いてきているため腰の片手剣を抜き対峙した。
私兵とSSの冒険者、本来なら相手にもならないのだがヴィルは背中にナーサを背負っているので本来の力が出せない。
それでも執務室を抜け屋敷を出て庭までは成功したがそこで。
「グレイバー侯爵!!今までの悪行の数々の証拠を押さえた!王子と勇者フェブリクの名のもとに縛に着くがよい!王兵よ!グレイバー侯爵一味を捕らえよ!」
グレイバー侯爵家入り口の門前には王子とフェブリク、そして門を囲むように多くの王兵が囲んでいた。
「「「「「おー!!」」」」」
王兵が掛け声とともに門を無理やりこじ開けなだれ込む、そしてヴィルの前にはフェブリクが立ちはだかった。
フェブリクは「おっちゃん、残念だ、まさかグレイバー侯爵の仲間だなんてな!」と言い切りかかってくる。
もちろん「違う!」と訴えるが聞き届ける気が無いらしい。
フェブリクは数号打ち合ってから、限界突破を使って切りかかって来た、ナーサを背負ったままではさすがに受け止める事は出来ず片手剣を持った右手を失うと同時に大げさに吹き飛ぶようにバックステップでグレイバー侯爵家から飛んで行く。
柵を超え数キロ飛んだ所でナーサを庇いながら着地に成功した。
幸い追手が来なかったので、そこから隠れ逃げるようにナーサと一緒に姿を消した。
その日の内に指名手配された事は言うまでもない。
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あとがき
来週12日は更新をお休みさせていただきます。




