避難誘導
王都のギルドに戻り1階に降りると、冒険者はおらずギルド職員だけがあわただしく書類を整理している。
受付の前に行くと、あわただしく動いていた1人の受付嬢が慌てて受付の席に座った。
「いらしゃいませ、緊急事態に付き王都民の避難誘導並びに取り残された人が居ないかの確認依頼しか発行できません、出来ましたら避難誘導と確認の応援をお願いします。ちなみに一日小銀貨5枚の報酬となります。避難先は貴族だと王城裏に、現在門は西と東の門しか開いておりませんので平民は城門の西か東にお願いします。」
俺達はこの依頼を受け。俺とニナ、ナーサとマリナ、インペルのミリアとキャリン、アマルとサーニー、それぞれ東西南北4つのグループに分かれ平民地区の避難誘導と捜索に当たった。
既に多くの冒険者が避難誘導を開始していた為、既に多くの人が指示に従い避難を開始している。
だが自分の意志で残っている人たちも多くいた、特にお年寄りが多い、『もう老い先短いから自分の家で死にたい。』と言う理由だった。
時間がかかるが説得していく、ただ冒険者の中には無理やり引っ張って避難させている人もいた。
何人か避難させているうちに王都教会の前に出た。
「トモヤさん、私は教会で闇の光について調べたいと思います。」
ニナはあの闇の光である邪心の心について少し知っていた、以前教会で教わったと言っていたし、資料が有ると思うのは当然で、強力な敵に対し少しでも有力な情報を掴みたいと思うのは当たり前だろう。
「分かった、俺はこのまま避難と確認の作業を続けるよ。」
ニナと別れて避難と確認を続けると、兵たちが慌ただしく連弩と槍弩に投石を城から城壁へと運んでいる。
移転魔法陣で各移転カ所からの応援で運ばれてきた物だろう、俺はこれに付いて行く事にした。
邪心の心に負けた後にザザムーンの宿屋で考えた事をヴィルに伝える事と、できれば弱いうちに《闇に葬る》で一気に片を付けたいと思っている、その際フェブリクも…。
そのためにはヴィルの居場所とフェブリクの居場所を知る必要がある。
王都内より最前線の方が情報が新鮮だろう、避難誘導と逃げ遅れの捜索依頼は他の人に任せるしかない。
兵に見つかると追い返されるかもしれないので気が付かれない様に王都を出た。