ザザムーン
馬車で移動する事15日、目的のザザムーンに到着した。
ザザムーンは、町の中央を谷と城壁で東西に分裂した街で一本の橋が城門に繋がっている。シスの街程ではないがそれなりに栄えている街だ。
まずはブリュークの領主から渡された手紙を村長に渡すため村長宅へ向かう。
「ようこそザザムーンへ、街の中央を分断する奇妙な街でしょ?もともと敵対国との唯一の貿易のために橋と街ができ、その後に町を守るように城塞が谷に沿って作られ整備された街でしてな、今でも隣の領との貿易で栄えていますのじゃ…」
「すまないがブランクシード侯爵様から手紙を預かっている。」
村長がこの街の成り立ちを説明し始めたので慌ててヴィルが話を遮る。
「それは飛んだ失礼を、領主様からの手紙を拝見させていただきます。」
村長が手紙を読み終わると険しい顔になった。
「非煙匂集魔香ですか、厄介な物を…、この街には護衛が40名と冒険者インペルの方々が警戒に当たってくださっています、今日はインペルの方々がお休みのはず、宿屋におられると思います、まずはその方たちにお会いした方が良いでしょう。」
俺達は村長に教えてもらった宿に向かいインペルの女性陣と合流することができた。
「片翼の翼もこの街の防衛任務に?」
インペルのミリアが、片翼の翼までもこの街の防衛任務に付くことに、少し大げさでは?と言いたげな顔をしながらヴィルに確認をする。
「あぁ、領主様よりこの街が重要なカギになる可能性があるとのお言葉でな。」
「重要なカギ?」
「明細は知らないが、俺達が防衛任務に付いた町で非煙匂集魔香の残骸が発見された。」
「「「「非煙匂集魔香だって!」」」」
国の禁止薬物の名前が出てきたことにビックリするインペルの女性陣。
「ところで休みと聞いていたがフェブリクは?もしかしてナンパにでも出かけているのか?」
ヴィルはフェブリクが居ないのは女あさりだろうと決めつけ確認するがミリアたちは険しい顔になった。
「フェブリクは魔物を狩りに行っているよ、ここ最近異常なほど狩りまくっている、毎日返り血で真っ赤になるほどに。」
「この前のドラゴンとの戦闘がよほどこたえたのか?」
「…違うと思う、聖剣が聖なる光を失っているんだ。まるで聖剣を汚すように扱っているし。」
「なに?聖剣をか?汚せるのか?」
「分からない、だけど今のフェブリクは異常だ、まるで何かに取り付かれているみたいだ。」