賢者見習い
「ですから…、賢者見習い…です。」
マリナは恥ずかしいのか、うつ伏せながら答えた。
「賢者見習い・・・そんなスキルが存在するのか?」
ヴィルは半信半疑で聞くと。
「現に私がそうですから。」
マリナは顔を上げたが、目線はナーサに向け話す。
(話す相手に目線を向けなよ。)
「そ、そうか・・それで?」
ほら~ヴィルも困惑しているじゃないか。
「モグダ様は私のスキル、賢者見習いが将来賢者へと進化すると思っているようで、『今のうちに妻とすれば、進化後に王から良い待遇が得られる』と思っているらしく、ちょっかいを出してきて、お父様が抗議をしましたが聞いてもらえず、強硬手段にうって出てきまして、念のために護衛を雇ってくださいましたが、…数には勝てず護衛が逃げ出したため王国で一番の冒険者に守っていただこうと街へ出たところ、襲われてお姉様に助けてもらいました。」
「スキルの進化か、有り得るのか?聞いたことがない。」
「ギルドにも確認をし、図書館でも調べましたが、私が調べた限りでは有りませんでした。」
「だよな、ならなぜモグダ様は進化すると思っているんだ?」
「分かりません、ただ以前から思い込みが激しいお方でしたので。」
「以前から?古くからの知り合いか?」
「はい、幼い時から知っておりますが、よく泣かされた記憶しかありません。」
「なるほどな、ところで君の使えるスキル、魔法などを教えてくれ。」
「?はぁ?・・・全属性を無詠唱で使えますが、全て初級魔法です、ただ連射度は誰にも負けない自負があります。それと付与と共有が有ります。」
マリナは依頼内容の話から、自分の能力の話に変えたヴィルの意図が分からず疑問に持ちながら答えていく。
「共有?知らないスキルだな。」
「こちらも調べたのですが資料が有りませんでした、効果は使った事がないので分かりません。説明では一つの物を二人以上が共同で持つこと。とあります。」
「気にはなるが効果が分からないのなら仕方がない。よし!依頼を受けよう、ただし条件が付く、最低でも全額支払えるまでは一緒のPTで冒険者をしてもらう。それと、襲われた以上家に帰るまたは宿に泊まるなどは避けた方が良いな、この家に泊まれ。ヴィータ、マリナの家族に使いを出してこの事を知らせてくれ。」
「良いのですか!!」
「あぁ、ただ…ナーサに迷惑をかけるなよ。」
「はい!」
こうして仲間が一人増えたが、この話をしている最中、マリナはナーサを愛しい人を見るような目線を送っていた,それに対しナーサは顔面を引き攣らせ、だれか助けて!と目線を送っているが、誰も助けなかった。
(だってさ~、怖いぐらいの愛しいって目線を送っているんだよ?邪魔をしたら思いっきり噛み付いて来そうだもん!)
以前、男爵の嫡男の話を飛ばした話を少し変更し新キャラと絡めることで書きました。