マリナのスキル
帰宅中マリナと名乗った女性は、ナーサの腕に絡みつくようにべったりと引っ付き、胸をゴリゴリと押し付けている、まるで恋人とのデートさながら、マリナはルンルン♪気分だと顔を見れば一目瞭然だ、ただ相手のナーサは困った顔をしながらたまに痛いのだろう顔をしかめていた。
「マリナちゃん、離してくれない?歩きにくいから。」
「お姉様、ダメです愛し合う二人はできるだけ引っ付いていないと。」
「あ、愛し合う!?…えーと私たち同性だよね?それに私そっちの趣味はないよ。」
「同性でも関係がありません!私たちが出会うのは運命!そして愛し合うのは天命ですから!」
「運命!天命って!…とほほ…助けて。」
ナーサが俺たちにヘルプの目線を送って来たが、助ける術を持たない俺はどうする事も出来ない、ニナに教会では同性愛の扱いに付いてを聞いてみたら。
「教会では同性愛に対し推奨はしていませんが、批判する程の事でもない、との教えですね。基本的に本人たち次第だと。」
(おっと、こっちの世界は同性愛に慣用的なのね。)
「結婚相手が見付かって良かったね、ナーサ。」
「エルフの教えでは同性愛は批判的なのよ!」
多少いざこざ?が有ったが無事ヴィル達と待ち合わせ場所で合流ができた、ただ街の中で依頼の話をするのははばかれるので屋敷へと帰路についた。
応接間の全員がそろいソファーに座る、上座はヴィル夫妻、右に俺とニナ、左にマリナと腕を放してくれないのでナーサも座った。
「…依頼だったな、詳しく教えてくれ。」
少し呆れた顔をしたヴィルがマリナに依頼話をしだすとマリナが。
「まずは自己紹介のし直しから。私はダース・フォン・ワーズ男爵が三女マリナ・フォン・ワーズ。依頼は私を助けてほしいのです。」
デレデレだった顔が一気に引き締まり自己紹介をしたが、姿勢を正さずナーサに抱き着いたままだった。
「貴族だったのか、助けるとは何から助ければ良い?」
「はい、モグダ・フォン・ゴーゼ様、男爵の三男ですが、彼から私を守ってほしいのです。」
「もっと詳しく教えてくれ。」
要約すると、いわば幼馴染ではあるが彼はいじめっ子で散々泣かされてきたのだが、ある日の事どこで知ったか不明だが私にあるスキルが目覚めた事を知った彼が無理やり結婚をしろ、と脅迫まがいで迫ってきたらしい、父もこれに激怒し相手の親に抗議をしたが収まらず、強硬手段に打ってきたとの事だった。
「依頼料として大銅貨5枚でいかがでしょうか?」
「貴族が相手となれば最低でもその倍が相場だな。この場合さらに倍以上は必要だぞ。」
「最低でも小金貨2枚!!そんな・・・貧乏貴族の家族が払えないわ。」
「何せ講義をしても駄目だとなると、最悪排除も視野に入れて対策しないと駄目だからな。」
「そこまで・・・」
「ところで狙われる原因となったスキルはどんなスキルだ?」
「・・・賢者・・・・」
「なに!賢者だと!」
「いえ違います。」
「は?賢者と言ったはずだが?」
「賢者・・・見習いです。」
「「「「「は?」」」」」




